骨盤のズレと腰痛の関係性を知って腰痛を治そう
骨盤のズレ、腰痛は多くの人が体験し、一度は悩んだことがあるのではないでしょうか。
痛みというものはとても厄介で、日常生活に支障をきたしてしまうこともしばしばあります。
そもそも骨盤のズレとはなんなのか、何故それが腰痛に関係があるのか、どうしたら治るのか等、骨盤と腰痛の関係について掘り下げて紹介していきます。
1.骨盤と脊柱の関係
まず、骨盤と脊柱はどんな役割をしているのか、お互いにどのような繋がりがあるのか紹介していきます。
1-1.骨盤と脊柱の骨のつながり
骨盤とは、腸骨、恥骨、坐骨、仙骨の4つの骨の総称です。
何となく聞いたことがあると思います。
腸骨は骨盤内の内臓や生殖器を守る役割があります。
そして、腸骨は動きます。
リラックス状態では開き、緊張状態では閉じます。
恥骨は陰部付近の骨のことで、骨盤の中でもっとも前面にある骨です。
坐骨は座ったときにイスと触れる部分の骨のことです。
長時間座ると痛くなってくるところです。
仙骨は、骨盤の中央の後ろにあり、腸骨と腰椎を繋ぐ骨のことです。
この仙骨もまたわずかに動きます。
骨盤もいくつかの関節でできているので、わずかですが動くのです。
1-2.骨盤と脊柱の筋肉のつながり
骨同士は筋肉や靭帯など複雑に作用してつながっています。
細かくいえばキリがないので、今回は2つの大きな筋肉を紹介します。
脊柱起立筋と大腰筋です。
脊柱起立筋とは、背骨に沿って発達している筋肉で、骨盤にくっついています。
背中を反ると触りやすいと思います。
大腰筋は脊柱起立筋より下の方で働いており、これも腰椎から骨盤、股関節にまでまたがった大きな筋肉です。
二つとも姿勢を支える上で重要な働きをします。
2.仙腸関節
先ほど骨の紹介で仙骨はわずかに動くと紹介しましたが、実はとても大切な関節になります。
仙腸関節は、仙骨と腸骨の間にある関節であり、周囲の靭帯により強固に連結されています。
ただ、重いものを持ち上げたり負担をかけることでズレが生じることがあります。
これが腰痛と勘違いされることも多いです。
3.腰痛の原因
腰痛と一口に言っても、鈍痛や鋭痛、骨が痛むのか筋肉が痛むのか、どんな動作で痛むのかなど、人によってそれぞれです。
今回は骨盤と腰痛の関係に注目しているので、その観点から話します。
腰痛で一番多い原因は筋肉への過剰な負担をかけることです。
重い物を持ち上げるときに膝を曲げずに持ち上げていませんか?
体は固くありませんか?
腰だけで持ち上げようとすると無理な力がかかり、オーバーワークとなった筋肉が悲鳴を上げて炎症を起こしてしまいます。
4.骨盤のズレとは
さて、骨盤のズレって果たしてなんなのでしょうか。
医学的に考えて骨盤が「ゆがむ」ということは実はありえないのです。
体は外見上左右対称に見えて内臓の配置は左右対称ではありませんし、手足の長さも全く同じではありません。
また、右利きか左利きかでよく使う体の部位も変わってきます。
その結果、体の中央に位置する骨盤も左右対称ではなくなり、骨盤周囲の左右どちらかの筋力が比較的低下した状態や、動きやすさが違うといったことが発生してきます。
その状態で負荷をかければ弱い方に痛みが出たりするのです。
骨の形状が変わるのは骨折などなので、先に述べた状態は「ゆがみ」ではありません。
ただし、骨盤の姿勢自体は体の真ん中に対して前後左右に傾くことがあります。
背中を丸めたり反ったりしてみると骨盤が動くのがわかると思います。
ただ、傾きが過度になると(猫背や反り腰など)姿勢が悪くなることによる骨盤のズレ、腰痛につながる原因となります。
5.骨盤の状態をチェック
では自分の骨盤がどうなっているのかチェックしてみましょう。
5-1.目を閉じて足踏みチェック
鏡の前で行うとわかりやすいと思います。
あるいは家族の方に見てもらってください。
自分が立っている位置に目印をつけ、目を閉じて30回その場で足踏みをします。
終わったら目を開けてみてください。
最初の立ち位置の目印から30cm以上ずれていると骨盤にズレがある可能性があります。
・前に進んでいた→骨盤が前に倒れている・後ろに進んでいた→骨盤が後ろに倒れている・左右どちらかに進んでいた→左右どちらかに傾いている
5-2.目で見て触って骨盤の傾きを確認
もう少し簡単な方法もあります。
足を延ばして座った時に足の長さに左右差はありませんか。
また、両方の腰に手を当て、ゆっくり下げていくと骨盤の上の方で手が引っ掛かってそれ以上下に行かなくなると思います。
引っかかったところの両方の手の高さはどうでしょうか。
左右差はありませんか。
6.骨盤を正しい姿勢に直す方法
腰痛の原因のところで述べたように、普段の生活が骨盤に影響をおよぼすことがあります。
まずは生活の中で直せることを治していきましょう。
座ったり立ったりしているときの姿勢は、骨盤が過度に傾かないように真ん中の位置で保ちましょう。
おなかに少し力を入れるように意識すると良いです。
また、癖で組みやすい足があると思います。
足を組まないようにできれば一番いいですが、癖と反対側の足も同じ時間組むようにしましょう。
立っている時も片脚重心にならず、左右の足に均等に体重が乗るようにするように心がけましょう。
そして、重いものを下から持ち上げるときは横着せずに股関節と膝を曲げ、全身をうまく使って持ち上げるように心がけましょう。
7.余裕があれば骨盤回りのストレッチ
骨盤回りの柔軟性を高めておくことは怪我の防止につながるので、余裕があれば行うことをおすすめします。
ではひとつ、冒頭で紹介した大腰筋のストレッチを紹介します。
ストレッチで痛いのを我慢していると逆効果になりかねないので、まずは痛みのない範囲で行いましょう。
では方法を紹介していきます。
まず、立膝の状態から片膝を前に出し、後ろの足は膝をのばします。
この状態で、良い姿勢を保ちます。
股関節を前に突き出すような形で、股関節の前が伸びている実感を感じながら行ってください、呼吸は腹式呼吸が良いです。
息を吐く方を長めに行ってください。
片脚15秒ずつくらいで、伸びるまで繰り返し行ってください。
8.腰痛=骨盤のズレとは限らない?
今までの説明は?
となる見出しかもしれませんが、最後に、放っておくと大変な腰痛についても少し紹介しておこうと思います。
腰が痛いけど骨盤がゆがんでいるんだろうな、で済ませてはいけない腰痛があります。
病気の名前は、ヘルニア、脊柱管狭窄症、坐骨神経痛などです。
これらの病気はただ筋肉を傷めたものとは訳が違うので、すぐに病院を受診することをおすすめします。
ヘルニアは椎間板の一部が変性し、中の髄核が飛び出て神経を圧迫してしまうものです。
前かがみになると痛みが増大する特徴があります。
脊柱管狭窄症はヘルニアの逆で、腰を反ると痛みが増大する特徴があります。
脊柱をとおっている神経を圧迫するため、しびれるような、電気が走るような痛みを感じます。
坐骨神経痛はお尻や、お尻から下がビリビリと痛くなる特徴があります。
神経の痛みは電気が走るような痛みであり、鈍痛とは違うので異変に気付いて自分の身を守りましょう。
病気になったときの無理なストレッチは症状を悪化させてしまう危険性があります。
まとめ
骨盤のズレと腰痛の関係についてお話ししてきましたが、まとめると、自分の体の構造について理解を深め、日ごろから腰を痛めないような生活動作を行うことが重要です。
単に骨がゆがんでいるわけではなく、骨盤と脊柱をつなぐ関節や筋肉、普段の姿勢などが重要なことがお分かりいただけたかと思います。
腰を痛めると自分もつらいですし、周りの家族も大変な思いをします。
腰を痛めないような生活を心がけましょう。