狙う魚種に合わせて選ぶ使いやすいベイトリールの選び方
釣りにはまると一度は試してみたくなるのがベイトリール。
バスゲームで主に使われるリールですが、実は小型魚から大型魚、場合によっては船釣りにも使用できる多様なモデルが並んでいます。
適さない物を使うと釣りにくいだけでなく、故障に繋がることもあります。
今回は狙いたい魚種から、どういったベイトリールを選ぶべきかをご紹介します。
釣りに慣れたら挑戦したいベイトリール
バスフィッシングを愛するバスプロの多くが愛用しているのがベイトリールです。
スタイルもかっこよく、キャストしたときに糸を流す音も独特で、一度は使ってみたいと思うリールですよね。
これからベイトリールデビューを考える方のために、まずはベイトリールにどのような特徴があるのか考えてみましょう。
スピニングリールから乗り換えるメリット
釣りに使うリールで、入門用とされているのはスピニングリールです。
ライン(糸)を出す方向から見て水直に糸を出すタイプのリールで、初心者釣りセットに付属しているのはこのスピニングリールでしょう。
スピニングリールは投げやすくトラブルが少ないというメリットもあるので、特に投げ釣りではメインのタックルとして使われています。
スピニングリールと比較した場合、ベイトリールのメリットはトルクにあります。
スピニングリールはスプールに巻く方向からラインの出す方向へ90度ラインが曲がっているためギアも直角に組み合わさっており、ラインとガイドの抵抗も生まれるので巻きつけるときにトルクが逃げてしまいます。
ベイトリールはラインを出す方向とスプールに巻く方向が同じなので、抵抗も少なくギアもすべて水平についているため、巻きつけるときのトルクが強くなるという特徴があります。
またラインが切れるリスクを減らすドラグもスピニングよりも強く、10kg以上に調整可能なモデルも存在します。
これは比較的大きな魚や、ファイトの激しい魚に有効なメリットです。
ベイトリールのデメリット
スピニングリールの場合、ラインは投げた仕掛けに引っ張られる形で自然に出て行きます。
仕掛けを投げた後着水した時点でラインは出て行かなくなるので、操作に余裕があります。
一方ベイトリールは、ラインを出すためにはラインを巻いているスプールも回転することになります。
もしスピニングリールのように着水後まったり操作すると、スプールは慣性で回り続けるので仕掛けはもう着水しているのに必要以上にラインが出続けることになります。
これによってスプール内でラインが絡まり、「バックラッシュ」という現象が起こります。
着水した感覚がわからない初心者においては、このバックラッシュのトラブルが非常に多く、釣る時間より直す時間のほうが長くなってしまうでしょう。
魚種別ベイトリールの選び方
このような特徴を元に、魚種別にどういったリールが適しているかを考えてみましょう。
バス
ベイトリールが日本でよく流通するきっかけになったのはバスゲームが一般化したことからでしょう。
バスプロも多くがベイトリールのタックルを使用しています。
バス釣りでは、インレッドやウィード、落ち葉溜まりなどバスが潜んでいそうな場所、つまりピンスポットに投げ込む必要があります。
ベイトリールはバックラッシュが起きやすいため、スプールの回転数を調整してくれるブレーキが装備されています。
バス釣りのように狙って様々な距離に落とす場合はこのブレーキ性能が重要で、貧相なブレーキだとバックラッシュの確率が上がり、強すぎるブレーキだとピンスポットまで届かないという問題が起きます。
細かなスペックはバスゲーム用のベイトリールを選べば問題ありませんが、快適に釣るならその中からブレーキの性能に長けたモデルをおすすめします。
シーバス
シーバスとは、なじみのある名前で言えばスズキのことです。
スズキも近年多くの方が狙うルアーフィッシュの代名詞になっています。
ひとつ必ずチェックしたいのが、シーバスはその名のとおり海水、もしくは河口の汽水域で狙う魚です。
このため、必ず海釣り対応のベイトリールを選ぶ必要があります。
商品説明に「海釣り対応」と書いてある場合や、型番の後ろに「S(Seaの頭文字)」と書いてあるモデルを選びましょう。
対して「F」はフレッシュウォーター、つまり淡水を指しているので使用には向きません。
シーバス専用のベイトリールはまだまだ少なく、汎用品から適したものを選ぶ必要があります。
シーバスは50cm以上、時には1m前後になることもあり、掛かったときによく動くという特徴があります。
このためラインブレイクを防ぐためドラグは4kg程度、2号のラインが150m以上巻けると扱いやすくなります。
また暴れまわることを考え、少ないタイミングで逃さず巻きつけられるハイギアのモデルがおすすめです。
雷魚
雷魚は日本の沼や川に潜む大型の肉食魚の魚です。
かなり気性の荒い魚で、淡水で狙える魚としてはもっとも激しい駆け引きが楽しめます。
このため他の釣りで求められるタックルとは特徴がまったく違います。
まず沼地など、ブッシュが多いエリアを狙うことになり、暴れる雷魚をひきつけるだけの強力なラインが必要になります。
このため必要なラインは8号以上とかなり太くなり、それを十分に巻けるサイズのリールであることは必須条件です。
遠投する場面は少ないので、最低でも50m巻けるとよいでしょう。
重く暴れる魚を巻き上げるので、ギアはパワーのあるローギアが絶対的におすすめです。
ドラグは7~10kgはあると好ましいでしょう。
またかなり過酷な状況で使用することになるので、修理を見越して構造がなるべくシンプルなものがおすすめです。
なまず
元々バスゲームや鯉釣りの外道として扱われてきたなまずですが、そのなまずを狙って釣るナマジングは近年徐々に人口が増えている釣りのひとつです。
ナマジングはなんといってもあたりの多さが魅力の釣りです。
このため、手返しがいいベイトリールを使用することは大きなメリットになります。
なまずも大きくなると70cm以上と大型になりますが、かかったときの感覚は力強いながらも鈍いので制御しやすい魚です。
それでもラインは最低でも5号以上が必要で、ライントラブルが多いポイントを狙うことになるので100m以上は巻いておけると良いでしょう。
ドラグはうまく制御すれば4kg程度でも対応できますが、7kg程度あると扱いやすいです。
動きは鈍く比較的コンスタントに巻き上げられるので、ギアはノーマル~ローギアがおすすめです。
穴釣り
防波堤などの隙間から根魚を狙う穴釣りは、スピニングリールよりもベイトリールが一般的によく使われています。
穴釣りの場合は遠投の必要がなく、基本的には20cm前後の小さな魚を狙うことになります。
このため細かなスペックにはあまり左右されません。
ひとつこだわるとすれば、比較的コンパクトなモデルが扱いやすくおすすめです。
ワカサギ釣り
初心者にも愛されるサビキ釣りには一般的にベイトリールは使用しません。
最たる理由としては、ベイトリールはタックルを竿立てに置いておくことを考えるとリールが上にくるベイトタックルは重さでひっくり返ってしまうので、いざ魚がかかって引き上げようとしたときに扱いにくいからです。
同じ理由で置き釣りをする遠投の投げ釣りにもあまり使用されません。
またラインが極端に細くなるので、スプールの外にラインを挟み込んでしまうリスクが大きくなります。
サビキ釣りのひとつに氷に穴を開けてワカサギを狙うワカサギ釣りがありますが、ワカサギ釣りではベイトリールがよく使われています。
ワカサギ釣りのベイトリールはワカサギ専用のもので、1号程度の細いラインを70m程度巻ける超小型のリールです。
スプールをフリーにするクラッチ機能などもなく、非常に単純な作りでトラブルが少なく価格も安いことから愛用されています。
どうしてもサビキ釣りにベイトロッドを使いたい場合、ワカサギ釣り用のベイトリールがもっとも適したものになります。
まとめ
ベイトリールはスタイルが良いだけでなく、特に大きい魚や激しいゲームに最適なリールです。
ただしベイトリールは汎用性の高いリールで、そのため専用品があまり販売されていません。
今回紹介したような釣りたい魚種の特徴と狙うポイントを元に、「ブレーキ性能」「ドラグ力」「糸巻き量」「ギア比」から適切なものを選ぶようにしましょう。