女性の育毛のための「医薬品」はどんなものがあるのか?
女性のためにいろいろな育毛剤が出回っていますが、ほとんどが「医薬部外品」です。
育毛のための「医薬品」は高い効果が認められる一方、副作用の心配もあり注意が必要です。
また購入する際には医師の処方箋や薬剤師の許可がいるなど制限があります。
女性の育毛のために使用できる「医薬品」の内服薬と外用育毛剤について、種類、効果、副作用、購入方法などをご説明します。
目次
「医薬品」とは何か?
ネットで買えるほとんどの育毛剤は「医薬部外品」(一部は化粧品)です。
またサプリメントは「健康食品」であって「医薬品」ではありません。
「医薬品」は病気の治療を目的としたもので、厚生労働省により配合されている有効成分の効果が認められたもので、医師の処方箋や薬剤師の許可を必要とするなど販売に制限があります。
病気の防止や衛生を目的とした医薬部外品や、清潔を保ったり美化を目的とする化粧品とは違います。
育毛剤でよく「薬用」や「厚生労働省認可」と記された製品ありますが、これらは「化粧品ではなく医薬部外品である」ことを強調するための表示、または「厚生労働省で認められた有効成分を含んでいる」という意味であって、医薬品という意味ではありません。
女性の育毛のための医薬品はごく少数
これからご説明する女性の育毛のための医薬品は、外用育毛剤と内服薬があり、次のような特徴があります。
•育毛(発毛)効果が認められるが副作用がある。
•購入するときは医師の処方箋をもらうか、薬剤師のいる薬局で説明を受けてから。
•ネット販売で買えるものも病気や妊娠などについての質問に答えて薬剤師のチェックを受けてから購入が許可される。
•日本で正式に許可が下りていないものは、個人輸入代行の通販サイトで入手する。
(副作用については自己責任)女性が育毛に使用できる「医薬品」は、以下のように外用育毛剤1種類、内服薬2種類のみです。
•ミノキシジル配合外用育毛剤(リアップジェンヌ、ロゲインウーマン、など)•ミノキシジル配合内服用タブレット(外国製品いくつか)•パントガール内服用タブレット
ミノキシジル配合外用育毛剤について
ミノキシジルという成分は血管を拡張させる効果があり、元々血圧降下剤として使用されていましたが、血流を良くすることから発毛効果もあることが発見されて、発毛剤として使われるようになりました。
血流が良くなると髪の根元の毛包に栄養分が多く運ばれて、毛母細胞の分裂やたんぱく質の合成を促進するので育毛につながるのです。
男性用の育毛剤でミノキシジルを含むものは、大正製薬のリアップX5、リアップジェット、外国製品では、ロゲイン、カークランド、ポラリスNR-10などがあります。
男性用の育毛剤には高濃度のミノキシジル(5%~16%)が含まれているので、女性の使用はおすすめできません。
家族が使っている男性用のものを借りて使うのは危険なのでやめましょう。
リアップジェンヌの効果と副作用
女性用のミノキシジル配合育毛剤として、代表的なものは大正製薬の「リアップジェンヌ」です。
女性用の育毛剤なので、ミノキシジル濃度は1%に押さえられています。
リアップジェンヌが向いている薄毛は、女性ホルモン減少による「女性男性型薄毛(FAGA)」です。
加齢による薄毛、頭頂部の薄毛に特に効果を発揮します。
しかし生活習慣の乱れや無理なダイエットやストレスによって起こる薄毛、産後の薄毛、薬剤の副作用による薄毛、円形脱毛症には効果がありません。
3か月から6か月間継続使用すると効果が表れます。
副作用は刺激感、皮膚のほてり、かぶれ、かゆみなどが少数の人にあらわれて、また稀ですがめまい、動悸、むくみなどが出ることもあります。
特に乾燥肌やアレルギー体質の人は副作用が出やすい傾向があります。
20歳未満の人や妊娠・授乳中の人は使用できません。
血圧や甲状腺の病気がある人、アレルギー体質の人、65歳以上の人などは医師や薬剤師に相談してから使用しましょう。
その他詳しいことは説明書をよく読んで、また使用量や回数は必ず順守しましょう。
外国のミノキシジル配合女性用育毛剤
女性用のミノキシジル配合育毛剤で、もう一つ有名なのはアメリカの「ウーマンロゲイン」(Woman Rogain)です。
こちらはミノキシジル濃度が2%です。
外国製の製品なので、個人輸入通販サイトから申し込むようになります。
使用し始めてから2週間から4週間目くらいに一時的に抜け毛が増えて不安になるかもしれませんが、これは初期脱毛と言われるもので、新しい育毛サイクルを始めるための準備です。
その時期を過ぎると効果が上がってきて、大体半年ほどで効果が目に見えてわかるようになります。
「ウーマンロゲイン」以外の外国製品では「アクタビス2%」「ツゲイン2%」などがあります。
外国製品でも育毛のメカニズム、効果がある薄毛の種類、副作用などについては国産のリアップジェンヌと大体同じです。
ただ国産のものよりもミノキシジル濃度が高いので、副作用のリスクは高くなります。
これら外国製の製品は、副作用については自己責任、一か月分の使用量分ずつしか輸入できない、説明や注意書きが英語、などの制約がありますが、国産のリアップジェンヌよりも低価格です。
ロゲインはリアップジェンヌより約2~3割安、その他の製品はロゲインよりさらに2~3割安になっています。
あまり女性におすすめしないミノキシジルタブレット
ミノキシジルには内用薬もありますが、女性にはあまりおすすめできません。
内服薬は外用よりも血圧や循環器への影響がさらに大きい、内用薬には全身の毛が濃くなる副作用がある、大手の製薬会社は女性用のミノキシジルタブレットを生産していない、女性がタブレットを使用した前例が少ない...といった理由があります。
外用のミノキシジル育毛剤がどうしても肌に合わなくて、内服薬にしたらうまくいったという男性の例もありますので、人によっては外用育毛剤よりも内服薬の方が良いかもしれません。
ただ内服薬は肌への影響は少なくても体全体への副作用のリスクは大きくなります。
特に女性は体毛やひげが濃くなるので覚悟が必要です。
育毛クリニックでは女性には内服用のミノキシジルはすすめていないことが多いので、代行会社に頼んで個人輸入になります。
男性用のミノキシジルタブレットがいくつかネットで紹介されていますが、女性が飲んではいけません。
どうしてもという人は、女性用のアメリカのMutual Pharmaceutical製ミノキシジルタブレットか、タイ製のノキシジルがありますので、自己責任で購入して使ってください。
女性のための育毛治療薬パントガール
女性の薄毛のために開発された内服薬「パントガール」は、スイス製かオーストリア製で、多くの育毛クリニックで処方されています。
加齢に伴う薄毛に特に効果的で、抜け毛や薄毛のほか、髪が細くなった、艶やこしがなくなったといった髪質の問題にも有効です。
パントガールは様々な栄養成分をバランス良く含んでいます。
ビタミンB1(チアミン)は、糖質をエネルギーに変えて代謝を助けます。
パントテン酸カルシウムは、髪や皮膚の生成に大切な成分です。
L-シスチンは、体内のコラーゲンの代謝を助けて健康的な髪を作ります。
薬用酵母は、髪や皮膚や爪を成長させる成分です。
ケラチンは髪に艶やコシを出し、紫外線を防ぐ効果もあります。
パラアミノ安息香酸は、細胞分裂を促進して髪の老化を防ぎ、白髪を黒くする効果もあると言われます。
このようにパントガールは、育毛だけではなく美肌やアンチエイジングに優れた成分を含んでいるので、女性には特におすすめできます。
パントガールの効果と副作用
パントガールは副作用がほとんど無く医薬品の中ではかなり安全です。
ただ12歳未満のお子様や妊娠・授乳中の人は使用できません。
一日3カプセル服用して、3か月から6か月で効果が表れます。
パントガールの効果ですが、配合成分から見てもミノキシジルの血管拡張作用のような決定的な働きをするものは無く、ほとんどが栄養成分なので効き目は穏やかで緩慢です。
人によっては効果が薄いこともあり、パントガールをミノキシジル配合の育毛剤と併用する方法を取る人もいます。
(例、パントガール+ロゲインウーマン)パントガールは皮膚科や育毛クリニックで処方してもらうことをおすすめしますが、通販サイトを通して個人輸入することもできます。
まとめ
高い育毛効果を求めるなら「医薬品」の使用という選択肢がありますが、医薬品はあくまでも「薬」であり副作用のリスクがあります。
今は「医薬部外品」で副作用が無い優れた育毛剤がたくさん出回っているので、まずそちらを試して、それでも効果が無ければ最終手段として医薬品を考えましょう。
その際も、まずは育毛専門のクリニックで相談してからの使用をおすすめします。
体全体の健康を守ってこその育毛ですから、「医薬品」を使用するときには特に慎重に決めましょう。