子どもが使っても安心、ホホバオイルの手作りリップクリーム
乾燥して空気の冷たい冬は、リップクリームが手放せないという人は多いでしょう。
大人用のリップクリームはたくさん市販されていますので、選ぶ楽しみというのもあります。
けれども子どもが安心して使えるリップクリームとなると、その数はがくんと減ります。
唇が切れて血が出ているというお子さんは、意外と多いのではないでしょうか。
ここでは保湿効果が高く、かつ赤ちゃんにも使える安心のホホバオイルを使ったリップクリームの作り方をご紹介します。
ホホバオイルとは
ホホバ
ホホバとは、砂漠などの乾燥した土地に育つ、シモンジア科シモンジア属の多年生の常緑低木で、アメリカのアリゾナ州や北メキシコが主な原産地です。
ホホバの育成は難しいとされていたのですが、育成方法が確立されてからは、オーストラリアの乾燥地帯で、綿花栽培の替わりにホホバの栽培が行われています。
そのほか、南アメリカやイスラエルなどでも栽培されています。
日本でも大規模には栽培されていませんが、育てることはできるようで、種子を購入することが可能です。
木は雌雄が異なるため、一本だけでは受粉ができず実はなりません。
雄株と雌株がそろうことではじめて、雌株の花が受粉でき実をつけることができるのです。
ただ、雄株なのか雌株なのかは花が咲くまでわからないため、実をつけることを目的にするのなら、複数の種を植え育てていく必要があります。
花が咲くまでにおおよそ3年、実をつけるようになるのは5年後以降になりますので、気長に育てていかなくてはなりません。
樹齢は100年を優に超えるため、記念樹としても人気があるのだそうです。
実からとれる油
ホホバの実からとれる油がホホバオイルです。
オイルという名がついていますが、厳密には実からとれる液状の油脂のことで、「ワックス」に分類されるものです。
主成分はワックスエステルで全体の97パーセントを占めています。
その他の成分としては、ビタミン類が多く含まれています。
ホホバオイルの特徴
ホホバオイルの最大の特徴といえば、その保湿力でしょう。
高い保湿力をもつ理由は、ワックスエステルという成分が多く含まれていることにあります。
ワックスエステルとは私たちの肌にも存在するもので、高い保湿機能やバリア機能を持ち、乾燥や紫外線などの外部刺激から皮膚を守ってくれる成分です。
人間の肌に存在するのと同じ成分を、ホホバオイルはたくさん含んでいるというわけです。
そのため、肌にやさしく浸透もよく、しっかり保湿をしてくれるのです。
人間の肌と同じワックスエステルを、これだけ高い割合でもつのは、ホホバオイルだけだと言われています。
抗炎症作用にもすぐれ、日焼けや火傷にも効果があります。
毛穴の中まで浸透し汚れを落とすこともできるため、クレンジングとしても使用できます。
同じ理由から、頭皮の毛穴のケアにもなり、抜け毛対策にも有効です。
また、強力な抗酸化物質も含んでいるため、ビタミン類も多く含んでいることとあわせて、アンチエイジングにも効果を期待できます。
バクテリアから守る抗バクテリア作用や、真菌(カビ)から守る抗真菌性作用ももっています。
最近では、黄色ブドウ球菌やカンジダ菌などの細菌類に対する効果もあるというデータが報告されているそうで、アトピー性皮膚炎の治療などにも使用されています。
人工心臓の潤滑油としても使用されていることからも、その安全性は推し量れます。
医療現場のスタッフも、度々の消毒液から手肌を守るために使用しているといいます。
古くは、アメリカの先住民らが、傷の治療や肌の乾燥予防など様々な用途に、このホホバオイルを用いていたそうです。
リップクリームの作り方
材料
リップクリーム2~3本分として、以下のものをご用意ください。
◎ホホバオイル10グラム
◎蜜蝋3グラム
◎リップスティック容器2~3本
たったこれだけで、保湿力抜群の安心のリップクリームができるのです。
お好みのアロマオイルを1~2滴用意すると、自分好みの香り付きのリップクリームも作れます。
作る過程で、蜜蝋を溶かしたり混ぜたりしますので、耐熱容器と竹串なども用意しておいてください。
作り方
作り方はいたって簡単です。
1、耐熱容器にホホバオイルと蜜蝋をいれ、湯せんして溶かします。
2、材料が溶けたら、竹串などでよくかき混ぜます。
3、混ざったら容器に注ぎます。
4、冷やして固まったら完成です。
香り付きのリップクリームにする場合は、材料を溶かしてよく混ぜた後に、アロマオイルを1~2滴加えるとよいです。
容器に移す際など、途中で固まってくるようでしたら、再度加熱してください。
蜜蝋の分量でクリームの硬さを調節できます。
スティック状にしない場合は蜜蝋を少なめにするなど、用途や好みにあわせて、硬さを調整してみてください。
2種類のホホバオイル
ゴールデンホホバオイル
ホホバオイルには2種類あります。
その一つ目がゴールデンホホバオイルと呼ばれるものです。
その名の通り黄金色をしています。
ホホバの実を圧搾して、抽出されたそのままの状態のオイルです。
無精製ですので100%ピュアなホホバオイルと言えます。
ホホバオイルはその97%がワックスエステルという成分でできているのですが、残りの3%には、ビタミンやミネラルなどの成分が含まれています。
ゴールデンホホバオイルは無精製のために、これらの有効成分がそのまま入っているというのが、大きな特徴でしょう。
肌への浸透力も高く、上質なゴールデンホホバオイルになればなるほど、肌への浸透力は高まります。
ゴールデンホホバオイルは、たくさんあるホホバの実のなかでも、より上質のホホバの実から作られていることも、その質の高さを後押ししています。
ホホバオイルのもつ力をたっぷりと感じたい人に、ゴールデンホホバオイルはおすすめといえます。
しかし、ホホバを搾ったままのものであるため、独特のホホバの香りがします。
人によってはこの独特のにおいが苦手ということもあるでしょう。
また、アロマオイルと合わせて使用したい場合などは、このホホバオイルの香りが難点になるかもしれません。
クリアホホバオイル
ゴールデンホホバオイルが、ホホバオイルそのものであったのに対し、クリアホホバオイルは、ホホバオイルを精製したものになります。
その色はクリアホホバオイルの名の通り透明です。
ワックスエステル以外の成分を排除しているため、栄養価という点ではゴールデンホホバオイルに劣りますが、劣化が少なく、化粧品などにもあわせやすいという利点があります。
匂いも気にならなくなっていますので、アロマオイルとあわせても気持ち良く使えるでしょう。
また、もともとホホバオイル自体、低刺激なものではあるのですが、クリアホホバオイルの方が、精製している分、より刺激が少なくなっており、安心して使用できます。
値段もゴールデンホホバオイルよりは、リーズナブルであることもうれしい点と言えます。
お子さまのリップスティックを作るために使用するのであれば、精製されてより低刺激で無臭のクリアホホバオイルのほうが、おすすめと言えます。
ワックスエステル以外の成分を取り除いているため、栄養価という点でゴールデンホホバオイルに劣るわけですが、精製後、失われた栄養成分を添加して補っているクリアホホバオイルもありますので、商品を選ぶ際には注意して見てみてください。
他にも使い方は色々
リップクリームを作るために購入したホホバオイルには、まだまだおすすめの使い方が色々あります。
例えば、リップクリームと同様の材料で、蜜蝋の割合を減らせば、やわらかなクリームになります。
蜜蝋自体も肌の保湿や柔軟に効果があります。
ハンドクリームや手足のマッサージ用クリームにしてもよいでしょう。
お好きなアロマオイルを加えると、オリジナルのクリームになり、よりリラックスして気持ちよく使用できます。
お風呂に何滴か加えると保湿入浴剤替わりにもなります。
わざわざ加えなくても、手足にオイルを塗ってマッサージしてから、そのまま入浴するとお湯にも溶けて一石二鳥です。
髪につけて洗い流すだけでトリートメント効果も期待できます。
まとめ
万能オイルと言っても過言ではないのがホホバオイルです。
リップクリームは直接食するものではありませんが、唇に塗る以上、多少なりとも体内に摂取されていきます。
小さな子どもでも安心して使用でき、荒れて切れやすくなっている唇を守ってくれるもの、それがホホバオイルのリップクリームではないでしょうか。
リップクリームケースを、お子さんと一緒にシールなどで飾ってみてはいかがでしょう。
世界に一つだけの、オリジナルのリップクリームが出来上がります。