GTX1080に比べ純粋に性能が高いRTX2080の実力

GeForce GTX1080

NVIDIA GeForce RTX 2080 Founders Edition

GTX1080の次のグラフィックボードとして注目を集めるRTX2080ですが、その実力に疑問を投げかける声も少なくありませんでした。

同ラインとしては新しい技術であるリアルタイムレイトレーシングへの対応に特化した製品だからです。

ですが実はシンプルにRTX2080は性能の高いグラフィックボードということが判明するようになってきました。






グラフィックボードの構造と特徴

RTXの性能の高さを把握するにはまずグラフィックボードについて知る必要があります。

専門用語が頻出する分野でもあるのでしっかりとチェックしておきましょう。

グラフィックボードはGPUとメモリによって構成されるパーツです。

GPUというのは正式名称をGraphic Processing Unitと呼び、画像処理に特化した演算装置となります。

一方パソコンにはCPU(Central Processing Unit)という中央演算装置というパーツも存在しています。

そしてこれら2つの演算装置は全く異なる性質と役割を備えているのです。

CPUはパソコン内の処理全体をカバーする演算装置であり、計算を行うコアの数は数個となっています。

対してGPUは画像処理のみを行い、コアの数は数千個です。

画像処理だけに対応していれば良いので構造は単純で、並列して大量かつ高速な計算ができるのがGPUといえるでしょう。

またグラフィックボードには専用のメモリも搭載されています。

メモリもパソコンの主要なパーツではありますが、グラフィックボードに搭載されているものはもっと高速です。

名称としては通常のものがDDRなのに対し、グラフィックボード用のものはGDDRと呼ばれています。

以上がグラフィックボードの主な構造です。

では何が性能に寄与するのかというと、それはGPUの演算速度となります。

多くデータを処理できればできるほど画面に素早く画像を表示することができるというわけです。

NVIDIAとベンダーの関係

例えばRTX2080は様々なメーカーから販売されています。

しかもそれらは少し外見や消費電力が異なっていたりするもの。

何より値段が全く違うこともあります。

同じRTX2080なのになぜこのような違いが出るのかというと、それは中心となるGPU以外については各メーカーが自由に設計できるからです。

搭載するメモリや冷却装置、またグラフィックボード上のチップセットやその配置などはメーカーに一任されています。

そしてこうしたグラフィックボードを作るメーカーのことを特に「カードベンダー」というのです。

また、NVIDIAは「リファレンスモデル」という基準となる製品を自身で開発・販売しています。

冷却性能などに懸念が残る場合もありますがリファレンスモデルでも十分に使えたりするのが実情です。

基本的にリファレンスモデルと各カードベンダー製のグラフィックボードの性能は同じといえます。

少なくとも同じGPUと同じ量のメモリを搭載しているなら大きな違いはありません。

値段や外見を優先して選んでしまっても良いでしょう。

ただオーバークロックを目指す場合はカードベンダーにこだわる必要が出てきます。

オーバークロックとは本来の性能以上の力を引き出す取り組みを指しますが、同時に高い負荷もパーツに与えてしまうため通常は行わない方が懸命です。

冷却への深い知識も必要となってくるため、普通に使う分には縁のない世界だったりします。






世代で異なるGPUのアーキテクチャ

NVIDIAのグラフィックボードシリーズであるGeforceにはGTX1080やRTX2080のように製品名がつけられています。

これは正確に言うとブランド名であり、GPU自身の名称ではありません。

このあたりをチェックしておきましょう。

GPUにはアーキテクチャ(構造)が存在し、NVIDIAのGPUアーキテクチャは世代に分けることができます。

世代の名称は「Tesla・Fermi・Kepler・Maxwell・Pascal・Volta」などと呼ばれている形です。

そして世代においていくつかのGPUが存在しています。

例えばGeforceの10シリーズにはPascal世代のGPUアーキテクチャが採用されています。

そしてPascal世代のGPUとしては「GP108・GP107・GP106・GP104・GP102」などがあるのです。

またGTX1080 TiとTITAN Xには同じようにGP102が搭載されていますが、少しクロック数(演算能力を示す値)が異なります。

同じGPUを搭載しているにも関わらずチューニングがされているわけです。

ここまでのことを一旦まとめておきましょう。

  • GTX○○やRTX○○はNVIDIAのGeforceというブランドの製品名
  • GPUには世代があり、GP○○などの名称がつけられている
  • 同じGPUを搭載していても性能に差がある

RTX2080にはTU104を搭載

例えばGTX1080 TiをGTX1080 Tiたらしめるものは何かというと、それは「GTX1080 Ti用に調整されたGP102」といえるでしょう。

搭載するGPUはまさしくそのグラフィックボードを作るために設計されているわけです。

ではRTX2080はどう表現すれば良いのか考えてみましょう。

RTX2080に採用されているGPUの世代は「Turing」というものです。

そしてRTX2080にはTuring世代のGPUである「TU104」が搭載されています。

以降TU104を搭載したグラフィックボードが現れればまた事情は異なりますが、現状ではTU104を搭載したものをRTX2080と呼んで良いでしょう。

またRTX2080 Tiには「TU102」が、RTXシリーズの廉価版であるRTX2070には「TU106」がそれぞれ搭載されている形です。

GPUに取り付けられた無数の演算装置CUDAコア

GPUの内部にはGPC(Graphics Processor Cluster)というブロックが存在します。

またGPCにはSM(Streaming Multiprocessor)というブロックが存在する形です。

さらにSMは複数のCUDA(Compute Unified Device Architecture)コアがあります。

簡単にいうなら「GPU国GPC県SM市CUDAコア」のように階層構造となっているのです。

実際に演算を行うのは最小単位であるCUDAコアです。

ということはCUDAコアの数が多ければ性能が高いということになります。

そしてRTX2080は実際に従来の製品よりもCUDAコア数が多いのです。

GTX1080のCUDAコア数が2,560基なのに対し、RTX2080のCUDAコア数は2,944基となります。

もはやこの時点でRTX2080の性能が高いことは保証されているといえるでしょう。

より高いTi付きの性能

RTX2080Tiはもっと性能が高く、そのCUDAコア数は何と4,352基です。

GTX1080と比較すると1,792基もの差となります。

予算が十分にあるのであればTi付きのものがおすすめです。

不安を払拭する結果

RTX2080は「レイトレーシングに特化したグラフィックボード」という要素を全面に打ち出した製品です。

ですが現状、レイトレーシングの効果がどれほどなのか市場に対応ゲームがどれくらい現れるのかが分かっていない状況でもあります。

そのため果たして手に入れるほどの価値があるのか懸念が抱かれるのは自然なことなのかもしれません。

ですがCUDAコア数を見ても分かるように、シンプルにGTX1080よりも性能は高いといえます。

またSMにはレイトレーシング専用のRTコアやTensorコアも備えている形です。

ざっくりとした比較によるとGTX1080に比べ1.3倍ほどのスコアを期待できるので買い換える価値は十分にあるといえるでしょう。

参考:https://www.youtube.com/watch?

v=rCf8dumE_MM

リファレンスモデル「RTX 2080 Founders Edition」

NVIDIA GeForce RTX 2080 Founders Edition

RTX2080Tiは性能が良いものの高価なので、Tiの付かないRTX2080のリファレンスモデルをおすすめします。

もちろん他のメーカーからもっと安価で冷却性能が高そうなものが見つかればそちらでも良いでしょう。

まとめ

RTX2080についてグラフィックボードの基礎的な部分からみてきました。

リアルタイムレイトレーシングへの対応は確かに耳目を集める要素ではありますが、単純にRTX2080はCUDAコア数が多い優秀なグラフィックボードでもあります。

また、今後リアルタイムレイトレーシングに対応したゲームがリリースされればよりRTX2080の優位性は高くなっていくでしょう。







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