グラフィックボードGPU GeForce RTX2080の新機能とおすすめ用途

GeForce GTX1080

MSI GeForce RTX 2080 GAMING X TRIO グラフィックスボード VD6723

2018年9月20日、パソコンのグラフィック処理関連の装置を手掛ける大手企業のNVIDIA(エヌビディア)は、2年ぶりにパソコン用のゲーム向けのGPU(グラフィックス プロセッシング ユニット、画像の処理に特化した計算を行うための心臓部となる処理装置、半導体)を販売しました。

その最上位のシリーズとなるのが、今回紹介するRTX2080(Ti)です。

今回、その特徴を説明し、おすすめの用途についてもお話しします。






NVIDIA(エヌビディア)とは

アメリカの半導体メーカーで、設立は1993年と、この分野では比較的老舗の企業になります。

半導体を手掛けていますが、冒頭にもある通り画像処理関連の半導体製造に大変な強みを持っており、特に今回紹介するGPUと呼ばれる製品については世界最大の企業の一つです。

つまり、今回の新製品発表は、GPU分野における一大ニュースと言えます。

NVIDIAの製品群

画像関連の半導体製造に強みを持ち、ワークステーション(映像やデザイン分野などの業務用コンピューター)向けの半導体であるTesla(テスラ)や、タブレットやスマートフォン向けのSoc(システム・オン・チップ、画像処理以外にもトータルに様々な計算処理を行う半導体)のTegra(テグラ)などがあります。

Tegraは聞きなれない方も多いと思いますが、Nintendo Switchの処理装置として使用されています。

そして、一番有名な分野がパソコン向けのGPUシリーズであるGeForce(ジーフォース)になります。

NVIDIAのGPU:GeForce(ジーフォース)

NVIDIAの主力製品の一つであるGPUのブランド名がGeForceです。

この製品は、AMD(NVIDIAのライバル企業)のRadeonと共にパソコン向けのグラフィック関連部品の分野をリードしています。

このブランドは、繰り返しモデルチェンジがなされ、今回のモデルチェンジでGeForce 20 Series(前モデル群はGeForce 10 Series)と呼ばれる製品群が発表されました。

RTX2080の位置づけ

MSI GeForce RTX 2080 GAMING X TRIO グラフィックスボード VD6723

RTX2080は、GeForce 20 Seriesの中位シリーズに位置付けられています。

(シリーズ内にはRTX2080Ti、2080、2070がある。)2080と言うナンバーが 20 Seriesのトップとなっており(2018年11月現在)、更にTi(2080Ti)がそのシリーズの中のトップ(フラッグシップ、最上位)と言う位置づけになっています。

つまり、今回発売されたRTX2080は新製品の中でも上位のモデルと言うことになるのです。






RTX2080の性能:従来との比較

2年ぶりのモデルチェンジと言うことで、様々な面において性能農向上が図られていると期待できるのが新シリーズの宿命です。

この項目では、今回発表された2080について従来の10 seriesと比較していきます。

先代モデル1080との比較

従来の1080(10 seriesの上位)と比較し、カタログ上のスペック(性能)では、コアと呼ばれる心臓部の更に心臓部となるチップが20%増えています。

また、クロック周波数と呼ばれる数値は、通常稼働時のベースクロックが低下しているものの、ブースト時のクロック周波数が向上しています。

これは、少ない処理の時はパワーをセーブし、大きな処理が必要なときはブーストをかけることで省エネルギー効果を狙ったものとも言えるのです。

ここから単純に言えることは、一つ一つのコアの本気時(ブースト時)性能が向上し、作業するコアの数が増えたのが特徴です。

具体的にもっと変わったこと

これだけ見ると2年の割には極端な向上が見られていない(通常時のクロック数はむしろ低下している。)印象を受けるかもしれませんが、製造のしやすさや価格を抑える(これだけの努力をしても低下は前モデルの定価より上がっています。)ための措置が行われているのです。

しかし、確実に性能の向上は図られており、このカタログ上のスペック以上に、新たに三つの機能を加えることによって実際にゲームを行った時の処理速度を向上させています。

その三つの機能は、RT Core、DLSS、NVLinkです。

これらの機能によって20 seriesは、10 series以上の性能向上が図られているのです(ベンチマークテストでは20~45%以上のスコアアップを果たしている。)。

RTX2080の新機能1:RT Core

新しい機能の一つとしてRT Coreというレイトレーシング機能を補助する半導体が導入されました。

この部品の追加が大きな特徴の一つで、この装置によりGeForce自体のサイズが大きくなったのですが、その代償を払っても導入したい機能と言えるのです。

レイトレーシングとは

レイトレーシングとは、レイ(光)をトレーシング(追跡)することで、2080の目玉の一つと言えるものです。

例えば、水面から反射して岩に水面の影が映る場面や木漏れ日が顔に当たる場面などのシーンがあるとすると、レイトレーシングはソフトウェアであらかじめ書き込みを行うことなく、GPUの処理によって計算しリアルな映像やゲーム画面を描き出すことができるものなのです。

この機能をアシストする(この機能専属の半導体)を追加することで、常にリアルな画像を見ることができるようになりますし、GPUのコア本体への負担を軽減し、コア自身の仕事に専念できるようにします。

RTX2080の新機能2:DEEP LEARNING SUPER SAMPLING(DLSS)

2つ目の機能は、Tensor Coreと呼ばれる装置のよって、機械学習を行うことです。

グラフィックボードに学習機能を加えることによって一度行った映像処理(グラフィックの質を上げることやノイズを取り去ること)を学習し、同じ処理が必要な時に、より少ない処理で同じ効果を得るという機能です。

従来は、この処理をアンチエイリアス処理と言う処理で行ってきたので、同様の場面のたびにGPUのコアに負担をかけてきました。

しかし、この新しい機能であるDLSSによってGPUのコアへの負担を軽減し、実質的なGPUの性能を上げるのに貢献します。

アンチエイリアスとは

アンチエイリアスとは、一言で言うと画像を滑らかにし、画質を上げる処理のことです。

画像の境界線(顔の輪郭など)に、わずかなぼかしを加えて遠目で見ると、より自然な画像に見せるという処理です。

このアンチエイリアスは、近くで見ても、自然な処理に見せるため向上が図られてきましたが、その分GPUへの負荷が強くなっていたので、その負担を軽減させる機能をつけたのは画期的な向上と言えます。

RTX2080の新機能3:NVLink

最後の主な機能は、NVLinkです。

これはCPU(コンピューター自体の心臓部)とGPU(グラフィック処理の心臓部)を、より高速でつなぐ機能です。

通常グラフィックボードとパソコンの基盤は、PCI Expressと呼ばれる端子で接続されていますが、ここの処理が遅いといくら二つの心臓部が速くても効果が発揮できません。

これを解消するための開発されたのがNVLinkで、これにより従来の5~12倍の速度でデータ交換ができるようになります。

今までは2つ以上のGPU(グラフィックカード)をつけた(SLI接続した)パソコンの場合、GPUはCPUを介して様々な処理を行っていましたが、GPU同士で処理できるものはGPU同士で行わせるという機能です。

SLI接続とは

NVIDIAが販売するGPUを、複数同時に動作させるシステムを言います。

例えば同じ商品を二つ装着すれば相当の処理能力の向上が期待できるのです(ただし、単純に2倍の性能アップという訳にはいきません)。

NVLinkは、このSLIを更に効率よく機能させるものと言えます。

おすすめの用途

ゲームなどの処理能力が向上しており、非常に快適な環境でネットワーク対戦や上質なグラフィックのゲームを楽しむことができるので、ゲームを熱心に行うユーザーにおすすめできます。

また、e-sportsなどの競技者においても、処理能力の向上は競技を有利に運ぶ要素にもありますからおすすめです。

e-sportsとは

「エレクトロニック・スポーツ」の略で、広義には、電子機器を用いて行う娯楽、競技、スポーツ全般を指します。

今回おすすめしているのは、とくに競技によるe-sportsに携わる人です。

まとめ

まとめとしては、 RTX2080は、先代の10 seriesと比較して、物理的には極端な性能向上(2倍の性能アップなど)がなされているわけではありませんが、RT Core、DLSS、NVLinkの三つの新機能により、実際のベンチマークの成績は大きく向上しています。

ただ、現在(2018年11月現在)このGPUを搭載したグラフィックカードは、かなり高額な金額で推移しているので余程熱心に行っているユーザーか、それで競技を行っているユーザーには強くおすすめしたいのですが、それ以外のユーザーは、検討にとどめるという選択肢もあります。

しかし、このハイスペックなGPUは、ゲーム用のGPUとしては現在最強と言っても過言ではありません。







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