ロープロファイル対応のグラボとは?どんなものがある?
グラボには「ロープロファイル対応」というタイプの製品があります。
これはいわゆるスリムタイプのPCケースに対応したグラボで、グラボの基板や背面のブラケットの左右幅が小さくなっているのが大きな特徴です。
ロープロファイルのグラボにはどんなメリットがあるのか、逆にデメリットにはどんなものがあるのかなどについてまとめました。
目次
そもそもロープロファイルとは何か
ロープロファイル仕様というのは、幅の小さなスリムタイプのPCケースでも使用できるようににサイズやレイアウトなどを一部変更したタイプのグラボの事を言います。
最近多いロープロファイル対応グラボは、グラボとPCケースとを固定するブラケット(ディスプレイなどの接続端子のある所です)を取り外して専用サイズの物と交換することで通常のPCケースとスリムタイプのケースの両方に対応したタイプの製品が多いです。
このタイプのグラボに共通している点として、スリムなケースに対応するために基板やファン、ヒートシンクに至るまで全てのパーツを小型にしている点があります。
先述したようにブラケット部分を取り換えることで、通常のタワー型ケースでも使用可能なようになっている製品も多いですが、あくまでも互換性があるというだけで特別なメリットがあるという訳ではありません。
そのため「ロープロファイル対応グラボはスリムタイプのケース向けのグラボ」と考えていただければほぼ間違いありません。
ロープロファイル対応グラボのメリット
ロープロファイル対応のグラボのメリットとしては、次のようなものがあります。
- コンパクト
- スリムタイプのケースでも使える
以上の2点が通常のグラボにはない利点と言えます。
コンパクトさに関しては特に顕著で通常のグラボの半分程度の幅しかありません。
そのため、いつものグラボのサイズに慣れている人は手に取った時に相当な違和感を感じるかと思います。
ただし、残念ながらこの「コンパクトさ」という点は通常のタワー型ケースを使う場合には殆どメリットにならないです。
強いて挙げるなら、処理能力云々ではなく出力できるディスプレイの数を増やす時に使う安価なグラボを使う時に、ケース内のスペースをそれほど占有しないで使える時くらいです。
あるいは、オフィスで使用されていたと思しき中古のスリムPCをちょっと使えるという場合には安くてそこそこに性能が良いロープロファイル対応のグラボを搭載する、という方法を取る人も居ます。
最大のメリットは「スリムタイプのケースで使える事」?
ロープロファイル対応グラボの一番のメリットは当然「スリムタイプのケースに搭載出来る」という点です。
この点だけを見ると、コンパクトというメリットと重なってしまう部分がありますが、必ずしもサイズだけの話ではありません。
例えば、スリムタイプのケースというのは電源容量の確保が難しく、どうしても電源容量が少なくなりがちです。
そのため、仮に普通のグラボをライザーケーブルなどで繋いだとしても電源容量が足りずに動作が上手く出来ないトラブルが起きる可能性があります(ライザーケーブル自体が色々問題があるという点もありますが…)。
ですが、ロープロファイルのグラボの場合にはその点も考慮に入れて設計されているため、ある程度確実にグラボの動作を見込める、というメリットがあります。
ただし、あくまでも「ある程度」であり、やはり高負荷な状態にすると落ちてしまったり、動作が不安定になることがあるため過信は禁物です。
ロープロファイル対応グラボのデメリット
ロープロファイル対応のグラボは、サイズ面で制限の大きいケースでも使えるようになっている分、次のようなデメリットがあります。
- グラボのスペック自体は低いものが多い
- 出力端子の種類や数が少ない
- ファンやヒートシンクが小さいため冷えにくい
などのデメリットがあります。
いずれもハードにPCを使うユーザーにとっては痛手となるデメリットですが、そもそもスリムタイプのケースもロープロファイル対応のグラボもそういった用途に使うものではないため、ある程度のデメリットは仕方がないと言えます。
スペック面での制限が特に大きい
ロープロファイル対応グラボのデメリットにおいて、特に大きいのは「スペック面での制限」です。
メリットでも書いた通り、スリムタイプのケースに収まる電源の容量に合わせたスペックになっているため、どうしてもフルサイズのグラボと比べるとスペックは1~2ランク下がったものを採用される事が多いです。
そのため、通常のグラボでいうエントリーモデルに近い性能のグラボが大半を占めていて、逆にハイエンドユーザー向けのロープロファイル対応グラボというのは殆どありません。
尤も、最近はエントリー向けのグラボでもだいぶ高性能になっているため、性能面では欲張らない限りは困る事は少ないと思っていいでしょう。
ただし、注意したい点として「冷却性能があまり高くない」という点があります。
ロープロファイル対応グラボはどうしてもファンやヒートシンクの幅をケースサイズにに合わせて小型化しているため、冷却性能が低くなりがちです。
また、低い冷却性能を補うためにファンは高速で回転する事が多く、意外とうるさいです。
さすがにGPUやメモリが熱に耐えられないような構造にはしていませんが、それでも普通のグラボと比べてしまうと見劣りする部分があります。
ロープロファイル対応のグラボを使う時の注意点
ロープロファイル対応のグラボを使う場合、やはり気になるのは排熱関係と電源容量です。
廃熱関係は特に重要で、元々冷却性能が低いロープロファイルに加えて、スリムケース内は非常に狭いため空気の逃げ場がなくなりやすいです。
特にこれから気温や室温が高くなってくる時期になると熱暴走のリスクは普通のタワー型ケース異常に高くなるため、要注意です。
そして、もう1つは電源容量です。
大抵はスリムケースに合わせて低消費電力のモデルになっていますが、経年劣化で電源容量が減っている場合には、それでも足りない事があります。
グラボを変更してから急に電源が落ちたりするようになったら、電源の劣化を疑った方が良い可能性があります。
ロープロファイルのおすすめグラボ「MSI GeForce GTX 1050Ti 4GT LP」
ロープロファイルのグラボしか使えないケースだけど、少しはゲームもしたい!
という人には、MSIのGeForce GTX 1050Ti 4GT LPがおすすめです。
名称からも分かる通り、現在のnVidiaのメインストリームであるGTX10xx系のGPUのエントリーモデルである「GTX1050 Ti」を使用しているため、ロープロファイルのグラボでありながら比較的高い性能を持っています。
当然、エントリーモデル相当なため、最新の3Dタイトルを最高画質でプレイするといった事には対応できませんが、大抵の3Dゲームを動かすことができる性能を持っています。
難点は、ロープロファイル対応のグラボとしては高性能な分、消費電力も少し多いです。
そのため、電源容量が足りなくなる可能性があります。
ロープロファイルのおすすめグラボ「MSI GT710 2GD3H LP」
ゲームなどの高負荷処理ではなく、あくまでも画面出力用としてのグラボが欲しい場合には、MSIのGT710 2GD3H LPなどがおすすめです。
機能・性能は思い切り絞られていますが、併せて消費電力なども控えめになっています。
3Dゲームなどを動かすスペックは持ち合わせていませんが、その分価格は5千円前後で購入できるほど低価格になっています。
主な用途としては、内蔵GPUを持っていないCPUを使っている時の画面出力用などになります。
ロープロファイル対応もですが、ファンレス仕様なため動作中でも無音です。
DVD動画の視聴程度ならこのグラボでも十分対応できる範囲なので、重い処理をしない予定の人におすすめです。
まとめ
性能面では劣る部分が目立つロープロファイル対応のグラボですが、用途を絞って考える場合には通常のグラボよりも優れている部分もあるかなと思います。
特に出力端子の増設目的の場合には安いグラボで良いですし、ブラケットを交換すればケースを変更したときにも対応できる汎用性は通常のグラボにはないものです。
そんなにハードに使う気が無い人であればロープロファイルのグラボを選んでみるのもおすすめです。