サイコンから取得できるトレーニングに有効な4つのデータと活用法
趣味としてロードバイクを楽しむファンライドユーザーにも一般化してきたサイコンですが、そのデータは楽しむだけに留まりません。
サイコンから得られるデータは、ロードレースでの成績を上げるためのなによりの指標になります。
今回はロードレースでの成績を上げるトレーニングを目的としたサイコンから得られるデータ活用法をご紹介します。
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トレーニングにはサイコンが不可欠
ロードバイクはひとつの趣味として確立されましたが、元々は競技用の自転車です。
最近は市民参加型のレースも多く開催され、ロードレースに参加する間口が広くなりました。
しかし競技である以上トレーニングは必須で、体力が基本になるロードレースは特にその影響は顕著です。
そんな時に不可欠になるのがサイコンから得られるデータで、ロードバイクのトレーニングには不可欠です。
トレーニングに有用なデータがあふれている
ロードバイクは性質こそマラソンに似ていますが、機材を使う特性上独特の指標が多く存在します。
ペダルの回転数を表すケイデンスなどはその最たるものでしょう。
いくら心肺機能を鍛えても、筋力を鍛えてもペダルを回さなければ自転車は走りませんし、ペダルをどれだけ効率よく回しているかは重要です。
また心肺機能に関しても、有効活用できているかは自転車に乗って初めてわかることです。
これらの情報を取得できるサイコンには、自分の弱点を知るための情報があふれているのです。
カスタマイズの前にサイコンを買い換えよう
ロードレースでは少なからず機材の良し悪しが影響します。
しかし、それを生かすも殺すも乗っている人間次第です。
乗っている人間の状態を把握するバロメーターになるのが、唯一サイコンからの情報です。
高い軽量ホイールを買えば間違いなくペダリングは軽くなるでしょうが、乗っている人間の能力がわかっていなければ好成績には繋がりません。
まずはより詳細なデータを取得できるサイコンを購入することからトレーニングは始まります。
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どんなサイコンを選ぶべきか
せっかくトレーニングを始めても、必要な情報が取得できなければ意味がありません。
まずはトレーニングに使うにはどのようなサイコンを選ぶべきか考えてみましょう。
心拍計・ケイデンスは必須
どのサイコンを選んでも「走行速度」「平均速度」「走行距離」「走行時間」を取得する機能は付いています。
しかしトレーニング目的だとこれだけでは足りません。
トレーニングをするなら、これらにプラスして最低限「心拍計」と「ケイデンス」は必須です。
これらは安いサイコンには搭載されていない機能なので注意して選ぶ必要があります。
また心拍計とケイデンスに関してはそれぞれ別途センサーが必要になるので、忘れず購入しましょう。
バッテリー持ちが良いものを選ぶ
最近はサイコンの高機能化も進んでいますが、その分バッテリー消費も激しくなっています。
特に高性能なGPSサイコンに関してはバッテリー持ちに注意が必要です。
トレーニングデータにはリアルタイムな情報取得が必須なので、途中でバッテリーがなくなるようでは意味がありません。
トレーニング中にデータをチェックすることも考え、最低でも8時間は十分に持つモデルを選びましょう。
もしバッテリーに不安がある場合や、より長時間使用したい場合には、一部機能をオフにすることでバッテリー持ちを改善することができます。
バックライト付きを選ぶ
実際に自転車に乗ってトレーニングする場合、日本は道路が狭く交通量が多いため、昼の時間帯に快適にトレーニングするのは困難でしょう。
サイクリングロードであっても、犬の散歩などで快適に走れないシーンがよくありますよね。
車や歩行者に配慮してスピードを出せなかったりすると、トレーニングの効果も薄れてしまいます。
本格的なトレーニングをする場合には夜がおすすめですが、その場合はサイコンも夜見えるようにバックライト付きが必須になります。
夜間使用するなら、バックライトを付けた状態でのバッテリー持ちも合わせて選ぶ必要があります。
重視するデータ1.走行速度
走行速度は、走行中の現在の速度を表示しています。
重要なデータではありますが単純に速ければ良いというものでもありません。
まずは役割分担に使用する
ロードレースはチームスポーツです。
このため役割分担があり、それぞれ重視するポイントが違い必要とされる能力も違います。
その指標になるのがトップスピードで、例えば坂道で速いならクライマーに、平地で速いならスプリンターに、と言った判断基準のひとつになります。
その役割がわかった上で、トレーニングでどれだけトップスピードが上がったかを把握する指標にしましょう。
走行速度を上げることに取りつかれる事なかれ
ロードバイクのトップスピードはもちろん速いに越したことはありません。
しかし、ロードレースでトップスピードを出すシーンはそう多くないので、優先されるのはレース全体で力を発揮できるかになります。
またトップスピードは筋力とギア比で決まりますが、筋力の付けすぎは体力の浪費につながり、長距離を走るロードレースではデメリットにもなりえます。
このため、人に比べてあまりにトップスピードが遅すぎるのでなければトップスピードを重視しすぎないよう注意しましょう。
重視するデータ2.平均速度(巡航速度)
平均速度は、走り始めてから現在までの平均速度を表示します。
実はロードレース参加を目指すのであれば、トップスピードよりもこの平均速度のほうが重要になります。
平均速度を制する物がレースを制す
ロードレースは競輪のような短距離走ではなく、マラソンのような持久走です。
このため瞬発的なスピードが出せるよりも、スタートからゴールまでの平均速度が速いほうが強いレーサーです。
なのでまず目標にされるのがこの平均速度で、脱初心者のためには平均速度30km/hが必要と言われています。
街中の平均速度は無視しよう
しかしこの平均速度には問題があって、完全停車までの減速期間も検知されてしまうという欠点があります。
つまり、信号で止まれば止まるほど平均速度のデータには狂いが生じます。
信号の多い街中であれば平均速度が20kmを割ることも多く、これはまったく参考になりません。
巡航速度の正しいデータを取りたい場合は、サイクリングロードなど信号のない区間をレースで想定できる距離走った場合のデータを取りましょう。
もしそういった環境がない場合は、サイクルトレーナーやローラー台を使用することをおすすめします。
重視するデータ3.心拍数
ロードレースは持久走に近い競技性があるので、体力をどれだけもたせるかが重要です。
そのために重要になるデータが心拍数です。
運動強度を図るためのデータ
ロードレースでは、コースの状況によって「有酸素運動」と「無酸素運動」を使い分けます。
有酸素運動はジョギングのように長時間続けられる運動で、無酸素運動は重量上げのように瞬発的なパワーを必要とする運動です。
レースではどうしても爆発的なスピードを出さなければならないシーンがあるので、ある程度の無酸素運動状態は避けられませんが、無酸素運動を長く続ければたちまち体力がなくなってしまいます。
つまり無酸素運動状態を無駄に使わないことがレースの鍵になるのです。
この有酸素運動と無酸素運動の切り替わりは心拍数なので、心拍計が必須となります。
トレーニング時の心拍数も重要
走行中の運動強度だけでなく、トレーニング時の心拍数も重要です。
なぜならトレーニング中の心拍数はそのトレーニングが体にどう作用するかが変わるからです。
例えば持久力を鍛えたい場合は最大心拍数の70~80%の状態を維持し、筋力を鍛えたい場合は80~90%を維持するのが効果的とされています。
これを心拍トレーニング(ハートレートトレーニング)と言います。
重視するデータ3.ケイデンス
ケイデンスは1分間に何回ペダルが回ったかを表すデータで、rpmという単位で表されます。
自転車はペダルを回すことで動力が発生するので、なくてはならない数値のひとつです。
ケイデンスは安定させることが重要
ロードバイクの基本として、ペダルの回転数を大きく変えないことが重要です。
これは心拍とカロリー消費に影響するからで、負担が大きくなれば長距離の巡航は不可能です。
ロードバイクにはレースグレードでリアに11枚ギアが付いているので、ギアを上手く選ぶことでケイデンスを安定させることが可能です。
ケイデンスは90rpmが理想とされていますが、乗っている人間の脚質によっても変わります。
まずは目標とする距離を走る場合、自分がどれぐらいのケイデンスで走るのが適しているのかを把握したうえでトレーニングに入りましょう。
高ケイデンストレーニングと低ケイデンストレーニング
心拍数と同じく、ケイデンスもトレーニングに有効なデータになります。
ケイデンスを実際の走行よりも高い状態で維持するトレーニングを「高ケイデンストレーニング」と言い、ペダリングの技術を向上させ心拍数を上げないようにする効果などがあります。
逆にケイデンスを実際の走行よりも低い状態で維持するトレーニングを「低ケイデンストレーニング」と言い、重いギアを低い回転数でまわし続けることにより、筋力アップや筋持久力のアップなどの効果が期待できます。
この場合も、その意図に合った心拍数を維持することが重要なので、心拍計と合わせたデータ分析が必要になります。
まとめ
このように、サイコンからは走っている最中に必要なデータだけでなく、トレーニングをより効率化するデータも把握することができます。
対応するサイコンだけでなく、心拍計やケイデンスメーターも必要になるのでコストとしては大きくなってしまいますが、その効果は確実に成績に影響するのでサイコンをトレーニングに導入することを強くおすすめします。