特別養護老人施設でのマットレス選択
ある特別養護老人施設でのマットレス選択の具体的な運用について説明したいと思います。
特別養護老人施設は、病院や老人ホームとは違って、終の棲家として位置づけられている施設です。
認知症や片麻痺、圧迫骨折既往歴がある人など、さまざまな疾患や障害を持った高齢者がいて、看護師や介護職や医療職などで検討したうえで、それぞれの人に合ったマットレスを提供しています。
12年間腰痛の私が絶対おすすめするマットレス・敷布団ベスト16ランキングはこちら
どんなマットレスを使用しているか
通常のマットレス、やわらかめの体圧分散マットレス、エアーマットの三種類を使用しています。
体圧分散マットレスは、素材がウレタンで通常のマットレスよりは柔らかい物です。
エアーマットは風船状のマットに機械で空気を送り込むようになっていて5段階にかたさを調整できるものを使用しています。
12年間腰痛の私が絶対おすすめするマットレス・敷布団ベスト16ランキングはこちら
マットレス選択の基本的な考え
基本的には、褥瘡リスクが上がるに合わせて、通常マットレス→体圧分散マットレス→エアーマットと段階的に変更していきます。
高齢者にとって、特殊なマットレスにはリスクが存在するので、褥瘡リスクと危険度が高いかを考えてより良いマットレスを選択します。
褥瘡リスクは、ブレ-デンスケールで評価します。
14点以下になれば、マットレスの変更を検討します。
点数以外にも、寝返りが出来なくなった、食事量が減少した、体重が激減したなどが、あれば検討します。
勿論、褥瘡が出来れば、即段階を下げた手厚いマットレスで対応します。
ちなみに褥瘡とは、床ずれと言われるものです。
通常マットレス
通常の身体能力、認知能力、皮膚感覚、栄養状態であれば、これが良いです。
ただし、認知症がひどくなったり、痛覚の低下、身体能力の低下で寝返りがうてなくなると、寝ている時に同じ姿勢になりがちになります。
同じ姿勢が続くと、マットレスが接する身体の出っ張りがある部分に圧力が集中し続けやすくなります。
皮膚に圧が長時間かかると、その部分に血流が流れなくなり、褥瘡ができやすくなります。
これに、栄養状態の悪化が重なると、ハイリスクのなります。
体圧分散マットレス
体圧分散マットがあれば、一点に対する圧が軽減されるため、寝返りがうてなくてもある程度の時間は耐えられます。
これに、体位交換介助を行う事で、褥瘡のリスクを大幅に軽減出来ます。
ただし、リスクがあります。
以下から説明します。
体圧分散マットのリスク1
柔らかいマットレスを身体が沈みこみます。
身体を支えるために全身の筋緊張が上がります。
特に、緊張が高いタイプの片麻痺がある人などは、より筋緊張が上がりやすくなります。
長時間の筋緊張が続くと、姿勢が固定されてしまい、関節が固まってしまう拘縮につながる事があります。
また、腰痛がある人は、痛みが増す可能性があります。
体圧分散マットレスのリスク2
ベッドに自分で座る人の場合、転倒転落リスクが増します。
柔らかいベッドに座ると座面が不安定になり、バランスを崩しやすくなります。
特に理解が乏しい認知症の人、筋力低下がある人、片麻痺などで安定が悪い人などは、座面の不安定化の影響が大きく、危険度が高いため、注意が必要です。
エアマット
体圧分散マットレスよりも、圧分散効果は高い。
また、空気の量を調整する事で、状態に合わせる事が出来ます。
エアマットのリスク
ベッドからの転落リスクが大きく増えます。
柔らかさを調整する事は出来るのですが、風船の上に乗るようなものなので転倒リスクが高くなります。
また、全身の筋緊張が高い人などでは転がりやすくなるので、柵などにぶつかりやすくなります。
また、高価でコンセントが必要になったりもあるので、誰でもというわけにはいきません。
まとめ
適切なマットレスを選択する事は、高齢者にとって重要なケアとなります。
特に、状態が悪くなればなるほど、寝て過ごす時間が多くなります。
当然、生活の中でマットレスと接する時間が増えていきます。
良いよい老後生活をおくれるようにするために、高齢者特有のリスクとメリットを比較しながら使用していく必要があります。