うつ病・パニック障害・自律神経失調症のための入浴法・精油系入浴剤について
日本人の5人に1人が、なんらかの精神障害に罹患・薬物療法などにより治療をしているというデータがでています。
中には5年・10年と病歴が長くなるかたもいらっしゃるようで、常に体調不良や不安に悩まされながら暮らしている人も少なくありません。
ここでは、入浴・自律神経にいい入浴剤との付き合い方ということをテーマにして、生活習慣から心の健康を取り戻す方法について考えてみます。
心の健康のための入浴の基本
筆者は長年、自律神経失調症・季節性の不安障害に悩まされています。
医師から生活指導の一環として、毎日の入浴習慣を厳格に守るように促されていますが、はじめの頃は守ることができませんでした。
しかし、自分に合う入浴剤や、アロマテラピーの観点から様々な勉強をするうちに、お風呂を好きになることができました。
ここでは、心の健康に問題を抱える人のために、東洋・西洋両面からみたおすすめの入浴法をまず紹介します。
温度
まずはお湯の温度について。
ご自宅の給湯施設が古いと、夏と冬で同じ温度設定でも暖かさの違う湯がでてしまったりします。
また、冬だけは意図的に熱めのお湯にしている人も少なくないのではないでしょうか。
心の疲れをとるための入浴で最も重要とされるのが、お湯の温度です。
この目安ですが、一般的には39度が境目と言われています。
- 39度以上…交感神経が優位になる
- 38度以下…副交感神経が優位になる
このように、1度違うだけでも全く違う効果がでます。
イライラ・不安・睡眠障害などの原因となるのは、交感神経が必要以上に活発になることであり、入浴においては「ぬるめのお湯」を心掛けたいところです。
しかし、アロマ系の入浴剤を使う場合は、ちょっとした問題もあります。
当然のことながら、温度が高いほど香りの揮発性がよくなり、入浴初期のリラックス効果は高くなります。
このあたりの見極めがなかなか難しく、ご自宅の湯船のサイズ・給湯設備などによって入浴剤の量を調節していくのがコツとなります。
時間
次に、入浴時間について。
筆者が整体師・医師から指導をうけたのは、「10〜15分程度」でした。
これ以上浸かると、ぬるめのお湯でも交感神経が活発になる可能性もありますし、単純にのぼせる危険性があるのだとか。
しかし、普段からシャワーだけで過ごしていると、たかが10分でも非常に長く感じます。
東急ハンズやロフトに売っているお風呂グッズを持ち込んで「耐える」のもありですが、入浴剤が一助になってくれることも否定できません。
なかでも、これから紹介したいアロマ系の入浴剤は、筆者が特別おすすめしたいものとなっています。
ツムラの実験結果
入浴剤で名の知れたメーカー・ツムラが研究発表している結果に、興味深いレポートがあります。
ここで紹介をしてみましょう。
香りの揮発性の高い入浴剤の効果
多くの読者にとってイメージが湧きにくいものになるので、具体的な入浴剤の提案は後ほどとします。
自律神経を整え、副交感神経を整える効果があるものとして「溶解時高揮発性入浴剤」というものが挙がっています。
平たい言葉でいうと、水と交わったときに気化する効果の高い成分が含まれている入浴剤ということですね。
ここから筆者は、独自に「揮発性とはなんぞや、市販されているもののなかであるのか」ということを調べてみました。
結論から述べると、揮発性について明示している入浴剤はほとんどなく・精油系やバスソルトにおいては、ほとんど揮発しないそうです。
擬似的に香りを高くする方法として一部のメディアが紹介しているのは、炭酸入りの入浴剤。
東急ハンズやロフトなどには、入浴剤を作るキットとして炭酸を起こす材料も一部販売しているようです。
これらと精油を組み合わせて、アロマ系のオリジナル入浴剤を作ってみてもいいのではないでしょうか。
最も効果のある香りは…
ツムラの発表によると、自律神経に影響する香りはずばり「ローズ」だそうです。
しかし、筆者の身近にいる友人・知人の話によると、「バラの香りが苦手」という方も一部いるのだとか。
また、同じローズの香りといっても、精製時のバラそのものの鮮度によって随分と香りが変わります。
朝摘みローズの精油などは、少し高価ではあるものの、後引きのない爽やかな香りになる傾向にあります。
一方で、安価なラインナップになると、ケミカル臭が少し強いこともあり、純粋なローズの香りを得るのは難しくなってきます。
安価で高品質なローズの香りを手に入れたい…と考えるみなさんに筆者がおすすめするのは、生活の木です。
アロマテラピーの有資格者が常駐しているお店も多く、お悩みを素直に話すと、ブレンドに適した精油を紹介してもらえることがあります。
かくいう筆者も、生活の木で相談・精油入浴剤の手作りにこぎつけました。
是非ご検討を。
副交感神経を優位にする入浴剤
ここから先は、アロマテラピーの観点から述べるお話になります。
ひとくちに自律神経の失調といっても、身体に著しい症状がでるかた・心と生活リズムが乱れるかたと、症状は千差万別です。
そこで、身体的症状・心身の症状にわけてお話を進めたいと思います。
筆者の体験ベースとなるので、ここはご容赦ください。
まず、季節を通して使えるのは「イランイラン」の香りです。
これは原産国でも神経を鎮める効果ありと認められており、古くから用いられてきたアロマになります。
ブレンドにも適しており、ミント系やフラワー系のどの香りでもしっくりきます。
肌荒れやアトピーなどといった症状が顕著になるときは、ミルラ(乳香)をベースにしました。
古代メソポタミアやエジプト、かのクレオパトラも愛用したという、肌美容にいい成分ですね。
香りも非常に高く、肌の炎症を抑えてくれる効果を十分に期待できます。
ストレスによる身体症状のひとつとして「アトピー」もありますが、この場合はユーカリがおすすめです。
ユーカリの木といえば毒性が高いということで知られていますが、抽出された精油には炎症をしっかりと抑える効果があります。
余談ですが、筆者は花粉症になると、ユーカリの油を直接鼻の下に塗っていました…。
心身の状態がかなり悪化すると、自傷行為などが出ることもあります。
リストカットだけではなく、抜毛症・爪噛みなども自傷行為の一種と指摘されています。
こんなかたには、柑橘系の香りがよいと言われています。
手癖や体を傷つける癖を抑える心理が働くそうで、爪噛み癖の人向けにオレンジの香りのマニュキュアが販売されているくらいです。
最後になりますが、精油系入浴剤の作り方を簡単に紹介したいと思います。
天然オイルで入浴剤を作ってみよう
精油はきちんとしたものを買うと、コストが結構かかります。
節約のために、肩まで入浴ではなく、半身浴に切り替えてみましょう。
前述もしましたが、揮発性を高めるために炭酸系の市販の入浴剤と併用するのがおすすめです。
新陳代謝の促進も重要なので、安価なバスソルトをミックスするのも良いでしょう。
気をつけなければならないのは、「香りへの飽き」です。
季節ごとに精油を変える・常に何種類かの入浴剤を常備してローテーションにするという遊び心が、実は結構大事です。
まとめ
精神疾病といっても様々な容態がありますが、生活リズムを整える・自律神経の正しい働きを促すということが、自分でできる最も治療効果の高い方法だと言われています。
とりわけ大切なのは入浴の習慣で、嗅覚に作用する入浴剤は、継続による心への影響がとりわけ大きいのだとか。
かかりつけの医師やアロマテラピーに詳しいかたと相談しつつ、入浴習慣を治療の一助として見直してみてください。