エギングロッドとカサゴ釣り
この10年間でソルトウォーターの世界はすさまじい進化を遂げたことは皆さんご存知だと思います。
これまでは釣りの対象魚そのものから外れていた魚が狙えるようになったり、あるいはこれまでも対象にはなっていましたが、道具の進歩と共に釣果が飛躍的に向上したという魚種も数多くいると思います。
そんな中トップクラスの進化を遂げたのはエギングではないでしょうか。
エギングには不可欠なエギングロッドですが、今回はそれを、カサゴ釣りと結び付けて紹介したいと思います。
カサゴについて
釣りをされる方は馴染み深い魚だと思いますが、普段スーパーなどではそれほど見かけない為、最近釣りを始めたばかりの人にはあまりピンと来ない魚かもしれません。
カサゴとは、カサゴ目フサカサゴ科に属する魚類の標準和名であり、全長はおよそ30 cm程度です。
ただし、中には40センチを超えるようなものも居ます。
生息域は日本近海を含む太平洋西部の暖海域で、沿岸の岩礁や海中林などを好むとされています。
水深も20センチ程度の場所から100メートルを超えるような深場まで幅広く生息していて、堤防周りでも確認できます。
食味は非常に良くて、煮付けやお吸い物、から揚げなど上品な白身の魚なのでどのような料理にも合います。
釣り方
カサゴを狙う場合、大きく分けてルアー釣りと餌釣りの2種類の方法が存在します。
ルアーを使う場合は、メタルジグやソフトルアーといったものがよく使用されますが、基本的に非常に貪欲な魚なので、あまりルアーの種類に関してはこだわる必要はありません。
一方餌釣りの場合は、釣り具店などで売られているキビナゴやイワシ、サンマの切り身などから、ゴカイやイソメなどの虫エサ、そしてシラサエビやオキアミといったものまで多種多様な餌を使います。
釣り方はジグヘッドに餌を刺してルアー感覚で狙う釣り方もあれば、堤防から足元あるいは少し沖に胴付き仕掛けを投げて狙う釣り方もあります。
他には、ベラやフグといった餌取りが非常に少なくなる冬場にテトラポッドの穴の中に仕掛けを垂らす穴釣りでも狙うことができます。
ポイント
どのようなポイントが良いのかと言えば、海底が砂地ではなく岩礁になっているような場所がおすすめです。
この魚は岩やテトラポッドなどの障害物を好むので、その辺りを重点的に攻めるように意識して下さい。
何も変化の無い場所には、他の条件がどれほど良くてもカサゴが潜んでいることは少ないです。
また、船釣りの場合は基本的に船長さんが釣れる場所まで連れて行ってくれると思うのでここでは割愛します。
注意点
テトラポッドから穴釣りをする際は必ずライフジャケットを身に付けてスパイクシューズを履いてください。
コケなどが生えて非常にすべりやすくなっています。
落水しなくても、滑って後頭部を強打するようなことになれば、大怪我は免れないので十分に注意してください。
ロッド
カサゴ釣りの為だけに作られたロッドというのはあまり見当たらないので、多くの人は安いコンパクトロッドや万能竿で代用している方がほとんどです。
しかし、私がおすすめするのはエギングロッドです。
一口にエギングロッドと言っても値段は本当にピンキリですが、カサゴ釣りに使うようなロッドはそれほど高くないもので十分です。
というよりはむしろ、いつ壊れても経済的にそれほど痛くないようなできるだけ安価なものをおすすめします。
その理由ですが、堤防からルアーや餌のどちらで釣る場合でも基本的に障害物の周辺を重点的に探る為に、どうしても他の釣りに比べて根掛かりが増えてしまいます。
そこで外したり、場合によっては糸を切るわけですが、そういった場合往々にして竿にはかなりの負荷がかかってしまいます。
根掛かりもずっと釣りをしていると一度や二度で済むことはそれほど無いでしょうから、そういった場合に高いロッドですと力まかせにするわけにもいかず、かなり根掛かりを外すのに苦労するはめになります。
また、破損することも十分考えられるのでそうなった場合は経済的にもかなりの痛手となります。
また、穴釣りの場合は、どれだけ注意していてもテトラの角などにぶつけてしまうこともありますから、上記のケースよりもよりダイレクトに破損に繋がりかねません。
言ってしまえば壊れてもともとくらいのロッドを使う方が思い切った攻め方をしやすくなるので釣果も上がります。
なぜエギングロッドが向いているのか
なぜかというと、その硬さにあります。
カサゴやハタといった根回りに普段生息している魚は、通常餌を口にしたらすぐに自分の巣穴に戻ろうとします。
つまり、アタリがあればできるだけ早くアワセを入れて、海底から引き離す必要があるのです。
そういった動作をするために何が必要かと言えば、「感度」に直結するロッドの硬さです。
エギングは通常、遠投したエギを大きくしゃくり上げて周囲のイカに対してアピールする釣りなので、ロッドが柔らかいと釣り人が竿をしゃくる衝撃を吸収してしまい、遠くのエギにまで力が伝わりません。
なので、全体的に張りのある仕上がりになっています。
根魚の場合もアタリをできるだけ素早く取って、かつ海底から多少強引に引きはがす必要があるのでやはり硬さというのは必要不可欠になります。
こうした「感度」と「パワー」の両方の観点からもエギングロッドは非常に理に適っていると言えます。
逆に柔らかい胴調子の竿は、例えヒットさせても相手が大型であればあるほど巣穴に戻ろうとするダッシュ力も強くなるので、取り込むのが難しくなります。
リール
リールは遠投する必要が無く足元で釣れる場合は、スピニングリールよりも巻き取る力の強いベイトリールの方が向いています。
逆に、多少沖に仕掛けを投げて釣る必要のあるポイントでは操作性や遠投性に優れたスピニングリールを使うべきです。
それほど大型のリールは特に必要ではありませんが、かといって小型過ぎるものは若干パワーに不安があるので中型のものが使いやすいです。
道糸はナイロンでもPEラインでもどちらでもかまいませんが、穴釣りをする場合にPEラインを使用すると、確かに感度は良くなりアタリを感じやすくなりますが、摩擦に非常に弱いために少しテトラに触れると切れる恐れがあるのでおすすめはしません。
多少感度は落ちてもナイロンラインのほうが伸びがあるので、根ズレにも強く釣りやすいです。
必要な小物
ルアーで狙う場合も餌で狙う場合もどちらにせよ比較的短時間でこまめに移動する釣りになりますので、できるかぎり荷物はコンパクトにまとめるように意識して下さい。
特に穴釣りの場合はかなり狭い場所で釣る必要も出てくるので、餌などもあらかじめ使う分を大きなクーラーから小分けにして小さい入れ物に保管しておくことをおすすめします。
また、中にはハオコゼやゴンズイなどの毒のある魚もヒットすることがあるので、プライヤーとタオルは必ず携帯して、針を外しやすいようにしておくことも大切です。
クーラーもできるだけ小さ目のものを用意した方が、移動する時も重くなくて便利です。
この釣りでは、とにかく不要なものは身に付けないことが一番です。
まとめ
ここではカサゴ釣りとからめて、エギングロッドの特性など紹介しましたが、カサゴ以外にもエギングロッドが一本あれば、他にも様々な魚種が狙えます。
特に堤防は予想以上に色々な魚がいるので、アオリイカやコウイカといったものに限定せずに自分なりに工夫して使ってみるとより楽しめるかもしれません。
また、磯にいけば堤防以上に根魚が住み着いているので、さらにその能力を発揮できる筈です。