最強クラスのベイトリールカルカッタコンクエスト400で怪魚釣り
私がタイのバンコク近郊にあるアマゾン怪魚の管理釣り場に行った時の体験談です。
タックルはルアーキャスティング用のベイトリールとしては最強クラスと言っていいシマノのカルカッタコンクエスト400をこの日の為に用意して臨みました。
南米アマゾンまで行けなくても東南アジアで怪魚が釣りたいというのももちろんありますが、そもそもはせっかく買ったこの最強ベイトリールで大物とやり取りしたいというのが発端でした。
目次
カルカッタコンクエストに憧れて
私は普段はバスフィッシング中心に釣りをしているのでベイトリールはシマノのメタニウムMgやアブガルシアのモラムSX3600なんかを中心に使っていました。
使い勝手に関してはシマノのハイテクリールに敵う物はまずなく、とはいってもロープロファイルのリールの見た目はちょっとハイテク過ぎて気に入っていませんでした。
丸型リールと言えばアブガルシアなのですがモラムSXはややクセがあり、どちらも一長一短でした。
そんなわけで私は次に買うリールは、シマノの丸形リールの金字塔カルカッタコンクエストと決めていました。
ルックスは金属感のある丸型かつ中身はシマノの最新技術が詰め込まれたハイテクです。
あとはどのサイズを買うかです。
サイズで悩んだ挙句まさかの最大サイズ購入
普通に考えればバスフィッシングで主流は100か200。
200ならビッグベイトまで対応できるので必要充分なことはわかっていました。
ちなみにライトゲーム対応の50という番手もありましたが、それは大きいサイズでカルカッタコンクエストの使い勝手に馴染んでからでもいいかなと思っていたので最初に買う選択肢はありませんでした。
でも私は悩んでいる最中にちょっと行った野池にライギョがいることが気になっていました。
もちろんバスフィッシングメインとはいえ、今後たまにはライギョ釣りをするかもしれないからそれを見据えてライギョにも対応できる300か400クラスを買ったほうが今の手持ちのリールとの用途も被らないし釣りの幅が広がるのではないかとひらめいてしまいました。
リールだけでライギョが釣れる訳ではないので、すぐにライギョロッドやフロッグ、極太PEラインが必要になることにはその時あまり考えが及びませんでした。
「大は小を兼ねる」という言葉が頭を駆け巡り、カルカッタコンクエスト400、約5万円を購入しました。
ライギョは思ったほど簡単には釣れなかった
無事カルカッタコンクエスト400を購入したことで踏ん切りがつき、エクストラヘビークラスのライギョロッドと100ポンドテストのPEラインをあっさり購入して早速先日からライギョを見かけていた野池に実釣に向かいました。
浅場の水面をリリーパッドが覆っているポイントにキャスト、キャスト、キャスト。
釣れません。
せっかくの最大ドラグ力7キロという協力スペックを持ったカルカッタコンクエスト400なのに、そもそも魚を掛けることができないのでその実力を発揮する場面がありません。
もちろん、スルスルと抵抗無く回転するスプールと遠心ブレーキの安定感、何よりシルキーな巻き心地は確かに特筆すべき物があります。
でもだからこそ、こんなに上品なソツのない造りなのに、いざ魚を掛けるとすごいんですというのを体感したかったのです。
スプールを回転させたり、ハンドルを回すだけなら家でもできるよという気分になりとぼとぼと帰宅してその野池には足が向かなくなってしまいました。
国内で釣れないなら海外で釣ればいいじゃない
ライギョがだめっぽいとなるとここまでオーバースペックな釣具で狙えるターゲットは国内になかなかいません。
シーバスは遠投が必要だからベイトタックル向きじゃないし、オフショアのシイラとかマグロを今からゼロから始めるのも変だし、ジギングに使うならキャストが必要ないからこのリールの意味が無いし何より淡水の大物を狙わないとどうもときめかない。
そんな時に以前見た怪魚釣りの本でおすすめされていたタイの怪魚釣堀を思い出しました。
タイには、バラマンディなどのルアーターゲットの養殖池の他に、アマゾンの怪魚、ピラルク、レッドテールキャット、ピーコックバス、アメリカのアリゲーターガーなどの文字通りモンスターフィシュを集めた管理釣り場があり、足場の良い安全な場所で気楽に怪魚釣りができるのです。
まさに、今ここにあるタックルで対峙する相手にふさわしい。
なんだかカルカッタコンクエスト400の購入あたりから計画性と金銭感覚のバランスがおかしくなって、思い立ったら吉日生活になっていた私は次の休みの予定をタイ旅行、メインはアマゾン管理釣り場に決定しました。
タイのフィッシングガイドを予約
思い立ったら吉日生活の釣りバカになった私は、格安航空券、格安宿、そして破格(に高価)なタイの釣りガイドを予約しました。
タイにはいくつか釣りのコーディネート会社があり、日本語で「タイフィッシングガイド」なんて検索するといくつもヒットしてきます。
日本語のページがあり、日本語の話せるガイドさんが付いてくれるのです。
値段は釣り場への送迎、釣り料金含めて日本円にして福澤さん3人分くらいですが、それまでにタックルやルアーに相当額つぎ込んでいた私にとっては誤差の範囲内でしたので予約しました。
いよいよタイのアマゾン管理釣り場へ
鼻息を荒くしてタイに赴き、約束の時間の朝7時くらいに私のホテルの1階ロビーでタックルを持ってスタンバっているとタイ人のガイドさんがやってきました。
ガイドさんはアクセントはタイっぽいものの日本語ぺらっぺらと言って良く、VIP待遇で私のタックルを運んでくれるとワンボックスカーに乗り込みました。
ガイドさんの他に1名ドライバーさんも付いています。
こちらは日本語も英語も全く話せない方です。
バンコクから西へ車を飛ばして1時間半くらい、バンコクのビル群が後ろに遠ざかると道路の左右は広い田んぼのような場所だけが広がっています。
途中でガイドさんが教えてくれてそれらはエビの養殖場だそうです。
とにかく広い池が隙間無くびっしり広がっている光景はなかなか異国情緒があります。
そうこうしているうちに、車がアマゾン管理釣り場に着きました。
「広い…。」東京ドームのグラウンドくらいの広さの四角い池が広がっていて、周りがあぜ道になっています。
端っこに掘っ立て小屋がありそこが受付、休憩所、管理事務所です。
壁には、ありえないくらいの巨大なピラルクを水中で抱えて記念撮影している写真がたくさん並んでいます。
小屋の脇でGT用みたいに巨大なスピニングタックルを使っているアメリカ人のお金持ち風の夫婦がいる他は貸切状態のようです。
「おお…、ついに来たか。」私は興奮を抑えながらカルカッタコンクエスト400をライギョロッドにセッティングしました。
ついにタイでファーストキャスト
水面を前にして立つと、あちこちで波紋がたっています、それも巨大な波紋です。
この池の中にまちがいなくでかい魚がうようよしているのがわかりました。
ここの釣り場では餌は10~15センチくらいのティラピアがメインと聞いていたので、用意してきた平べったいギル型スイムベイトをキャストします。
ライギョ用に国内で中空フロッグを投げていた時は空気抵抗の関係とトップウォータールアーなこともあり気が付きませんでしたが、スイムベイトをキャストした時に改めてカルカッタコンクエスト400のキャストフィールの滑らかさと巻き心地のシルキーさを実感しました。
ブレーキの効き具合にムラがないのでだだっ広いフィールドに遠投すると飛距離が気持ちよく伸びていき、リトリーブし始めるとリールの部品と部品がカチッとかみ合っているのでハンドルとスプールの間のノイズが一切ありません。
感度としては手釣りみたいなもんです。
水中の様子が手に通るようにわかり、着底や障害物、ルアーに絡んだ障害物が硬いか柔らかいかまで感じられるのです。
ルアーでアリゲーターガーをゲット
カルカッタコンクエストのキャストフィールに酔いしれること30分、何回か水流の変化、もしくは魚の身体をかすめたような違和感があった箇所に集中的にスイムベイトを通していて、ちょっとポーズを加えた時でした。
ググ!
と重さが乗り瞬間的にアワセました。
今までに無いアタリだったので夢中で追いアワセを2回くらい入れたところでガイドさんに「もう大丈夫、ゆっくりゆっくり。」と言われて冷静にやり取りをしました。
にょろにょろと蛇のように身体をくねらせるファイトはワニのようなギザギザの歯を持った魚、アリゲーターガーでした。
寄せてくるとどこからともなく釣り場の上半身裸のタイ人スタッフが現れて、大きな網で掬ってくれました。
「滅多に喰わない魚だよ。すごいね。」と褒められ私は最高に満足でした。
ドラグパワーの恩恵でレッドテールキャットもゲット
開始早々アリゲーターガーを釣り上げた私でしたが、その後は甘くありませんでした。
とにかく暑いのです。
ガイドさんからは40度近い猛暑で水中の酸素量が減って魚の活性が落ちてるんじゃないかと言われました。
つまり朝気温が低い段階ではなんとか釣れたけどこの後は厳しくなる一方なのではないかということです。
そこで登場したのが、タイならではのVIP釣りです。
バケツ一杯の餌魚ティラピアをガイドさんが池にばら撒き、その中に私がティラピアに似たルアーを通して魚を騙して釣ろうというわけです。
コマセを巻いて練り餌で釣るみたいなもんです。
ちょっと思い描いたルアーフィシングと違うけど、郷に入りては郷に従えです。
ガイドさんと息を合わせて「せ~の」で餌とルアーを放り込むと…、すごい勢いでギギギ…とルアーが引きずりこまれました。
リールのドラグパワー7キロをマックスに締めこんでいるのにすさまじい勢いでラインが引き出されていきます。
あまりのトルクに一瞬ラインブレイクを覚悟しました。
でもそこは信頼できるシマノの最高峰丸型ベイトリールのドラグでした。
弱いリールなら想定外のパワーで引っ張られたら、ガタガタガタとラインが不規則に出てラインへの瞬間的な負荷が掛かったり弛んだりして結局弱くなった部分からブレイクするはずですが、このカルカッタコンクエストのドラグはヌルヌル~と滑り出しが良く魚の引きに追随していくので安定感があるのです。
巻き上げ始めも同じです。
がたつかないのでラインへの負荷が点ではなく線で支える形とでも言いましょうか。
結局80mのラインのうち70mを引き出されたところで魚を止める事ができ15分のファイトの末上がってきたのはレッドテールキャットというアマゾンの巨大ナマズです。
水から上げるとブヒブヒ言っています。
もう殆ど子豚と綱引きしていたようなものですが、剛性感のあるこの丸型ベイトリールでのやりとりの最高の瞬間でした。
タイの土に汚れたボディが勲章
この日は結局レッドテールキャット3匹、アリゲーターガー2匹、タイのオオナマズ1匹といった釣果で、それぞれのファイト時間が10分以上なので大満足の一日でした。
ベイトリールに始まりロッド、ルアー、航空券、宿、ガイド代とずいぶん散在しましたがそれでもその分の元を取れた釣り遠征でした。
帰宅後、例のカルカッタコンクエストを見ると、金色のカバーに丸い穴を開けたデザインの穴の中に東南アジアっぽい薄茶色の粘土状の泥とガイドさんから借りた石灰のような滑り止めの粉がこびりついていました。
アウトドア用品の泥だらけの場所で使うためのベイトリールのデザインでこんなところにゴミが入りやすいのはどうなんだろう?
と思うべきところかもしれませんが、私にはそれがこの日の釣りの勲章のように思えて、なんだかまだその部分だけは掃除することが出来ないでいます。
まとめ
丸型ベイトリールが欲しいから始まって、できれば大きいのを、強いのをと発展して、とうとう海外まで行ってアマゾンの怪魚釣りに興じたという思い出のきっかけとしてこのシマノのカルカッタコンクエスト400は私にとって愛着が沸くリールです。
そもそもの渡航きっかけがそうだったように、国内ではオーバースペックなので使いどころがあまり無く実際に帰国後の国内で新たな釣果をまだ獲っていません。
ただ、このリールにこびりついたタイの土汚れを思い出しながら、ハンドルをクルクル回していると、グイグイ引っ張っていくモンスターフィッシュの感触を思い出すことができ、釣具って本当にロマンがあるなと考えながら次の釣行を計画しています。