世界が注目するジャパニーズウイスキー
近年、日本の文化が「クールジャパン」として海外からも注目を浴びるようになってきました。
マンガ・アニメから日本食まで、メイドインジャパンは広く海外に知られるようになりました。
そんな中、日本起源ではないけれど、日本独自の技術とクラフトマンシップによって作り出されたウイスキーも、海外で高い評価を得るようになりました。
「ジャパニーズウイスキー」と呼ばれ、本場をもしのぐと言われているウイスキーは、一体どんなものなのでしょうか。
目次
ジャパニーズウイスキーとはどんなもの?
日本で販売用にウイスキーが生産され始めたのは1920年代のことです。
日本のウイスキーの製造は、本場スコットランドのスコッチウイスキーを再現することから始まりました。
そのため、最も気候や風土の似た、北海道余市に蒸留所が設置されました。
戦後間もない頃は、専らアメリカ軍がウイスキーの主な消費者でしたが、その後の高度経済成長期によって、国内でもウイスキーを嗜む人たちが増えていきました。
その後の不況によってウイスキー業界の販売は停滞してしまいますが、各メーカーの様々な試みにより、品質はより向上しました。
大量消費の時代には粗悪品も多く出回り、世界からも全く相手にされないジャパニーズウイスキーでしたが、絶え間ない研鑽と努力によって、今では本場をもしのぐと言われています。
2015年には「ワールド・ウイスキー・バイブル」で、「山崎シングルモルトシェリーカスク」が世界最高のウイスキーとして選ばれました。
ジャパニーズウイスキーの特徴
日本のウイスキーはスコッチを手本にして作られていますが、日本人にはそのスモーキーさがあまり好まれませんでした。
そのため、スモーキーフレーバーは抑え目になっています。
日本のウイスキーの主流となっているのはブレンディッドウイスキーです。
心地よく香り立つモルトと、氷や水に負けない力強さを持つグレーンのブレンドにより、素晴らしい味わいを実現しています。
さらに日本の生成樽にはミズナラが使用されていて、この風味がウイスキーをより魅力的なものにしています。
ジャパニーズウイスキーの人気の秘密
一時は粗悪品と言われ、海外からの評価も最低だったジャパニーズウイスキーですが、長年の品質向上の努力が実を結び、高評価を得るようになってきました。
それと同時に、ウイスキーの海外需要も高まってきました。
そこで、ジャパニーズウイスキーは「希少性と高級感」を販売戦略としました。
海外の人たちが触れる日本産ウイスキーは安価なものではなく、少々高価で品質の良いものにしたのです。
そのため、ジャパニーズウイスキーは少々高価だが品質の良いもの、というイメージ作りに成功しました。
ボトルもシンプルで高級感あふれるものにしました。
そのスタイリッシュさで、アルコール専門雑誌だけではなく、「フィガロ」のようなライフスタイル紙にも取り上げられるようになり、ブランドのイメージアップにつながりました。
こうした戦略が功を奏し、海外におけるジャパニーズウイスキーの価値は高まったのです。
日本独自の楽しみ方がある?
ウイスキーに様々な種類があるように、その飲み方も多種多様です。
ウイスキーの味をそのまま楽しむ「ストレート」や、大きめの氷を一つ入れる「オンザロック」、冬には「ホットウイスキー」もいいかもしれません。
本来はこのように味そのものを楽しむものとされるウイスキーですが、日本では少々違います。
高度経済成長期には、サントリーが「二本箸作戦」を展開し、日本料理屋にウイスキーを積極的に販売しました。
食事をとりながらウイスキーを飲んでもらおうという戦略です。
そのため、食事を邪魔しない繊細な味と香りが追及され、ウイスキーはより広く飲まれるようになりました。
他にも、バブル期にはバーなどに高価なボトルをキープする事がステイタスの証とされました。
ジョニ黒、バランタイン、オールド・パーなどが主ですが、これも日本独特の楽しみ方と言えます。
賞を獲得したジャパニーズウイスキーは
数々の海外の賞を獲得しているジャパニーズウイスキーですが、どんなものが特に有名なのでしょうか。
いくつかあげてみたいと思います。
(竹鶴17年ニッカウヰスキー)ウイスキーの国際コンテスト「ワールド・ウイスキー・アワード」において、2012年、2014年、2015年に「ワールド・ベスト・ブレンデッド・モルトウイスキー」の称号を得、世界最高のピュアモルトウイスキーとして認定されました。
全体的に柔らかく、くせのない香りです。
甘さとスモーキーさの調和がとれた、まろやかな口当たりです。
お中元、お歳暮にもおすすめです。
(響21年サントリースピリッツ)ロンドンで開かれた世界的酒類コンペティション「第21回インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ2016」において、ジャパニーズウイスキー部門最高賞となる、「トロフィー」を受賞しました。
4年連続4回目の受賞となります。
甘いドライフルーツとスパイシーな香りが特徴です。
飲み口も柔らかく、21年の熟成の貫禄を感じることが出来ます。
山崎蒸留所へ行けば、有料試飲ができます。
(山崎18年サントリースピリッツ)アメリカで開催された世界的酒類コンペティション「サンフランシスコ・ワールドスピリッツ・コンペティション」において、最優秀金賞を受賞しました。
深くフルーティな香りと、ハチミツのようななめらかな口当たりが特徴です。
シェリー樽熟成により、甘酸っぱさとほろ苦さのバランスが絶妙です。
ジャパニーズウイスキーの最高峰とも言われています。
ジャパニーズウイスキーには最高のグラスで
数多の賞を受賞し、確固たる地位を築いたジャパニーズウイスキーですが、それを楽しむのにぴったりなのはやはり日本製のロックグラスではないでしょうか。
世界最高と名高く、こだわりのグラスを製造しているのはカガミクリスタルです。
日本を代表するクリスタルガラスメーカーで、皇室御用達のロイヤルブランドです。
世界各国の日本大使館・領事館でも使用され、その加工技術は海外でも高く評価されています。
また、サントリーウイスキーの酒瓶にも、このカガミクリスタルが使われています。
こちらで作成されるロックグラスは江戸切子と西洋の硝子技術が融合し、職人の粋を極めたオリジナルグラスです。
美しい様々なカットが成されたグラスから、お気に入りのものを選んでウイスキーを味わえば、くつろぎのひと時がさらに豪華なものになるでしょう。
日本でのウイスキーイベント
日本でも、ウイスキーの楽しさを体験できるイベントがあります。
中でも「ウイスキーフェスティバル」は毎年規模を拡大し、精力的に行われています。
世界中から40社以上の蒸留所、メーカー、バー、インポーターなどが出展しているので、メジャーブランドはもちろん、まだまだマイナーなウイスキーもこの場で一気に試飲することができます。
ウイスキーのブラインドコンテストもあり、誰でも気軽にチャレンジできます。
20歳以上のウイスキーファンなら初心者でも参加可能なので、こうしたイベントを利用して、お気に入りのウイスキーをみつけてみてはいかがでしょうか。
もちろんジャパニーズウイスキーもたくさん出展されています。
ジャパニーズウイスキーの今後は
朝ドラ「マッサン」の影響もあり、日本でもウイスキーブームが起こりました。
また、いわゆる「爆買い」の対象にもなって、ジャパニーズウイスキーは品薄になっています。
レア・ウイスキーは稀にみる高値で取引され、オークションでは300万円以上の値が付いたものもあります。
このように加熱するジャパニーズウイスキー市場ですが、コレクターにとっては抗いがたい魅力があるようで、まだまだ人気は続きそうです。
まとめ
日本製の質の高さはあらゆるところで知られていますが、他国にオリジンを持つウイスキーで、その名を知られるようになったというのは、本当に素晴らしいことです。
ジャパニーズウイスキーには、メーカーによって全く違った個性があると言われます。
それは日本人の職人精神がいかんなく発揮されるとともに、目指したものを諦めない強い思いがあるからです。
このようにして作られたジャパニーズウイスキーを知れば、私達はもっとウイスキーを身近に感じるのではないでしょうか。