アメリカで独自の麦芽製造を行うただ一つの蒸留所!コッパーフォックス蒸留所のおすすめウイスキー
バージニア州は、ウイリアムズバーグは英国植民地時代最も栄えた都市でした。
アメリカにとって大切な歴史を持つこの町はその思想においても重要な町。
現在のアメリカ合衆国の民主主義と理念はこの町で生まれたと考えられているからです。
そんな歴史的な町の近くに、コッパーフォックス蒸留所はあります。
大手とは違うインディペンデントな蒸留所ですが、こだわりのウイスキーは本場スコッチにも負けません。
どのようなウイスキーなのでしょうか。
目次
アメリカではバーボンが主流?
アメリカは5大ウイスキーの生産地でもありますが、アメリカン・ウイスキーと言って頭に浮かぶのはバーボンではないでしょうか。
ウイスキーはスコッチやアイリッシュが存在感を放っていますが、バーボンはアメリカでしか造る事ができません。
ですからアメリカン・ウイスキーというとどうしてもバーボンを想像しがちになってしまいますね。
しかし、バーボンは厳密な製造方法があり、一般的なスコッチウイスキーなどとは異なります。
バーボンとスコッチの違いは…
バーボンもスコッチも同じウイスキーです。
しかし味わいや風味は異なります。
ではどういう点が異なるのでしょうか。
まず両者とも厳しい原産地呼称統制法があり、その基準に満たないものはバーボンともスコッチとも名乗ることができません。
つまりバーボンはアメリカ国内で、スコッチはスコットランド内で造られなければならないのです。
原材料が違う!
スコッチウイスキーは大抵「モルトウイスキー」です。
「モルト」とは穀物のことで大麦を原材料として使用します。
ブレンデッド・ウイスキーと呼ばれるものはこれにグレーン(トウモロコシや麦など)を混ぜたもの。
しかし基本的には大麦主体で製造されるため、スコッチウイスキーの主な原材料は「モルト」なのです。
対してバーボンは「グレーン」がメイン。
規定により原材料の51%以上がトウモロコシでなければなりません。
同じウイスキーでもまず根本が違うのです。
スコッチとバーボンは樽が違う!
バーボンの特徴はパンチの効いた口当たりとバニラの甘さ。
スコッチはどちらかというと洗練された味わいです。
これは熟成に使用する樽が異なるため。
スコッチは基本的に酒類を熟成し終わった、使用済みの樽を熟成に使用します。
例えば、シェリーを造ったあとのシェリー樽や、バーボンを造った後のバーボン樽などです。
中古の樽を使用することで、熟成はじっくりと穏やかに進みます。
この過程がスコッチの洗練された口当たりと味わいを生み出すのです。
対してバーボンはオークの新樽で熟成されなければなりません。
それもただの新樽ではなく、中を焦がし、炭化被膜処理を行わなければならないのです。
この焦がした樽を使用するのがポイント。
焦がすことによって樽の香と樽成分が原酒に染みこみ、バーボン独特のバニラのような甘さが生み出されるのです。
同じウイスキーですが全く違った個性を持つのには理由があるのですね。
アメリカで造られる本格ウイスキーとは
アメリカでは近年ウイスキーブームともいえる現象が起きています。
バーなどでの注文も増えていますし、法律の改正で小さな蒸留所があちこちに造られ始めました。
ケンタッキー州以外の蒸留所でもバーボンを造るところが増えています。
(ケンタッキー州以外で造られたものはバーボンとは認めないという意見もありますが)そんなウイスキーウエルカムな状況においても、独自で穀物麦芽の製造まで行っている蒸留所はたった一つしかありません。
それが「コッパーフォックス蒸留所」なのです。
コッパーフォックス蒸留所
コッパーフォックス蒸留所はアメリカ合衆国・バージニア州スペリーヴィルで創業を始めました。
創業者は現在のマスター・ディスティラーでもあるRick Wasmund氏。
(リックワスムンド)2005年のことです。
自分の蒸留所を開くにあたり、ワスムンド氏はアメリカ国内の数多くの蒸留所を訪れました。
しかし、ワスムンド氏が考えていたような麦芽製造を行うところはなく、ついに本場スコットランドを訪れる決意をします。
そして130もの蒸留所がひしめくスコットランドで弟子入りを果たしました。
アイラ島の伝統的な蒸留所「ボウモア蒸留所」です。
ボウモア蒸留所は蒸留所内で独自の麦芽を作り続ける世界でも数少ない蒸留所だったのです。
このモルティング法に興味を持っていたワスムンド氏は6か月の間ボウモア蒸留所でインターンシップとして働きました。
そして帰国後2005年にバージニアABC理事会によって蒸留の認可を受けたのです。
コッパーフォックス蒸留所のこだわりとは
コッパーフォックス蒸留所の特徴は何といっても、独自の穀物麦芽の製造を行う点です。
大麦はバージニア州北部のネックのものを使用。
初期麦芽プロセスが終わったあと、リンゴやチェリーなどのフルーツの木を使ってスモークします。
これによりウイスキーに自然で独特な風味が生まれるのです。
使用されるフルーツの木は地元の農家から調達しています。
また、使用されているポットスチルはポルトガル製。
その後バーボン樽にて熟成されます。
エイジングは最低でも12か月ほどです。
現在はウイリアムズバーグに第二の蒸留所が建設されており、ここでボトリングが行われています。
この蒸留所は観光名所ウイリアムズバーグの中でも中心部にある901議事堂に造られました。
歴史的な場所に作られたということで、観光名所としてにぎわっています。
こちらではツアーやテイスティングも行っています。
将来的にはここでも全ての製造過程が行われる予定です。
Copper Fox Rye Whisky(コッパーフォックスライウイスキー)
66%のライ麦と33パーセントの麦芽大麦を原材料として使用。
ダブルポットで150~160プルーフまで熟成されています。
バーボン樽を使用。
中にアップルウッドとオークチップを入れて風味付けされているので、独特な味わいが楽しめます。
風味豊かで複雑なライウイスキーです。
- カラー:赤銅色
- 香り:柑橘系の香り
リンゴ、ドライフルーツ、ナツメグなどスパイスも感じる
ライ麦の香りもかぐわしい
ブラウンシュガー、たっぷりのクリームのような甘さ - 味わい:温かみのあるまろやかな口あたり
果物とスパイスがバランスよく混じる
スパイシーでスモーキー、わずかに甘さもある
サワークリーム、バブルガムのような複雑な甘みと酸味
素晴らしいフルーツ感も感じる
心地よい苦みが少し残る
個性的なライウイスキーを楽しみたい方にぜひおすすめしたいウイスキーです。
Wasmund’s Single Malt Whisky(ワスムンズシングルモルトウイスキー)
バージニア産のモルトを100%使用したウイスキーです。
14ヶ月の間バーボン樽にて熟成されました。
アップルウッド、オークチップも共に樽に入れ、風味付けされています。
まるで12年もののスコッチウイスキーのような深い味わいです。
- カラー:豊かな赤銅色
- 香り:ハチミツ、ドライフルーツ、干した革
- 味わい:ミディアムフルボディ
スパイシーで柑橘系果物のさわやかさもある
カクテルベースにおすすめ。
まとめ
こだわりの製法で独自の麦芽を造っている「コッパーフォックス蒸留所」。
小さな蒸留所ですが、そのオリジナリティから全米でも注目を集めています。
2016年にはウイリアムズバーグの中心部に蒸留所を開き、観光の目玉ともなっています。
まだまだ数は少ないですが、これからの動きに注目したい蒸留所です。
シングルモルトウイスキーは本場スコッチにも負けない味わいが自慢。
もしもご旅行の予定があれば、ウイリアムズバーグも候補に入れてみてはいかがでしょうか。