ウイスキーの種類を決定付ける大きな2つのポイント!
「ウイスキーがお好きでしょ」のCM効果があったり、居酒屋で押し出されていたりと大人の飲み物のイメージから一般的な飲み物として浸透しているウイスキー。
分類としては蒸留酒の一つで大麦、ライ麦、トウモロコシなどの穀物を麦芽の酵素で糖化し、これを発酵させ蒸留したものをウイスキーと呼びます。
その中でも原料や産地の違いでその呼び名は異なります。
今回はそんなウイスキーの種類に焦点を当てて紹介していきます。
1.産地別ウイスキー
1-1.スコッチ・ウイスキー
スコッチ・ウイスキーは、英国スコットランドで製造されるウイスキーのことで、日本では世界5大ウイスキーの1つに数えられるほど有名です。
糖化から発酵、蒸留、熟成までスコットランドで行われたウイスキーのみがスコッチ・ウイスキーと呼ばれていて、これはスコッチ・ウイスキー規則により定義されています。
麦芽を乾燥させる時に燃焼させる泥炭により独特の煙のような香りがたつのが特徴の1つですが、その強さは銘柄によって異なります。
ウウイスキーの全生産量のうち、およそ7割を占めているウイスキーなので、一般的なウイスキーのスタンダードとしておすすめです。
1-2.アイリッシュ・ウイスキー
アイルランドで製造されるウイスキーをアイリッシュ・ウイスキーと呼びます。
大麦麦芽を中心に、大麦(未発芽)やライ麦、小麦なども原料として使用するのが特徴ですが、一番の特徴は、泥炭による燻蒸を行わないことと、単式蒸留器による蒸留回数が3回であることです。
これにより、一般的なスコッチウイスキーよりもまろやかな味わいに仕上がるので飲みやすいウイスキーを探している方にはおすすめです。
1-3.ウェルシュ・ウイスキー
英国ウェールズで作られるウイスキーの呼称です。
一時期では原酒の生産が止まってしまったものの、現在はThe Welsh Whisky Companyがウェルシュ・ウイスキーを製造しています。
ウェールズでの醸造酒の生産はいつ頃から生産されていたのかはよく判らないほど歴史は古くからあります。
これに対して蒸留酒の生産は比較的新しいもので、ウェールズにおける最初の蒸留酒の生産は、356年にバージー島の「Reaullt Hir」という人物が、「chwisgi」と言う蒸留酒を作ったというものとされています。
1-4.アメリカン・ウイスキー
アメリカ合衆国で生産されるウイスキーの呼称です。
スコッチウイスキーと同じく世界5大ウイスキーの1つとなっています。
アメリカン・ウイスキーはアメリカ合衆国連邦規則によってその定義がしっかりと定めらています。
穀物を原料としアルコール度数95%未満で蒸留した後、オーク樽で熟成させたもの、およびそれにスピリッツをブレンドしたもので、エタノール濃度40%以上で瓶詰めしたものをアメリカン・ウイスキーと定めています。
アメリカでは多様な穀物が収穫されることから、原料によりさらに細かい分類が為されます。
バーボン・ウイスキー、コーン・ウイスキー、モルト・ウイスキー、ライ・ウイスキー、ホイート・ウイスキーなどその名前も様々です。
味わいは他の地域で生産されるウイスキーよりも軽いのが特徴です。
1-5.カナディアン・ウイスキー
カナダ国内で、カナダの法律に則って生産されるウイスキーの呼称です。
かつては「one day whisky」とも呼ばれるほど、粗悪な蒸留酒でしたが、アメリカが禁酒法の時代にここぞとばかりに生産を伸ばし、カナダで法律が整備され、近年ではその品質は一定以上を保っています。
現在ではカナダは世界的に見てウイスキーの生産量の多い地域の1つとなっています。
日本では、カナダをウイスキーの五大産地の1つとし、カナディアン・ウイスキーは世界5大ウイスキーの1つとして広く知られています。
1-6.ジャパニーズ・ウイスキー
日本産のウイスキーの呼称です。
スコットランドに留学した竹鶴政孝によりスコッチ・ウイスキーの伝統的製法が日本に持ち帰られました。
これがジャパニーズ・ウイスキーの発祥となっています。
竹鶴政孝は山崎蒸溜所の初代所長となり、のちにニッカウヰスキーを創業した人物として有名です。
当初は本格的なウイスキーは価格が高いのと、泥炭のスモーキーな香りの漂うスコッチ系の重厚な風味が敬遠されていました。
好まれていたのはトリスをはじめとした価格が安くそれほど質の良くないウイスキーでした。
サントリーとニッカの両社は独自の発展を遂げ、技術も向上し、ジャパニーズ・ウイスキーは世界に出しても恥ずかしくないウイスキーとなりました。
2.材料別ウイスキー
2-1.モルト・ウイスキー
大麦麦芽のことをモルトと呼びます。
スコッチ・ウイスキーにおいてはこの大麦麦芽のみを原料とするものをモルト・ウイスキーと呼びます。
一般的に、単式蒸留釜で2回~3回蒸留するのが特徴で、少量生産に合っている伝統的な製法です。
とはいえ、大量生産や品質の安定が難しいのもモルト・ウイスキーの特徴です。
アメリカン・ウイスキーでの定義では、大麦が原料の51%以上を占めるものをモルト・ウイスキーと呼ぶことができます。
さらに大麦のみを原料とするものをシングル・モルトウイスキーと呼ぶのも有名ではないでしょうか。
しかし、スコッチ・ウイスキーにおいては1つの蒸留所で作られたモルトウイスキーのみを瓶詰めしたものをシングルモルトと呼ぶこともあります。
2-2.グレーン・ウイスキー
グレーンは穀物という意味です。
トウモロコシ、ライ麦、小麦などの穀物を主原料に、大麦麦芽を加えて糖化・発酵させたウイスキーの呼称です。
連続式蒸留機による蒸留によって、モルトウイスキーと比べても飲みやすいのが特徴です。
しかし、香味が弱く、通常はブレンデッドウイスキーとあわせることで、その風味を柔らかくさせます。
2-3.ブレンデッド・ウイスキー
スコッチ・ウイスキーの定義では、モルト・ウイスキーとグレーン・ウイスキーをブレンドしたものを指し、大量生産をはじめ品質の安定に適しているのが特徴です。
アメリカン・ウイスキーでは、ストレート・ウイスキーに対し、他のウイスキーやスピリッツを混ぜたものをブレンデッド・ウイスキーと呼びます。
2-4.ライ・ウイスキー
ライ・ウイスキーの「ライ」はライ麦の「ライ」を意味します。
パンの原料としても有名なライ麦ですが、そのパンと同様にライ麦によるかすかな苦みがあるのが特徴です。
スパイシーでピリッとしたものは「ペンシルベニア・スタイル」、マイルドでまろやかなものを「メリーランド・スタイル」と呼ばれています。
アメリカの法律では、ライ・ウイスキーは原料となる麦芽液(マッシュといいます)の51パーセント以上がライ麦で作られていないとライ・ウイスキーとは呼ぶことができません。
マッシュの残りは、主にトウモロコシと麦芽であり、バーボンと同じように、内側を焦がしたオーク樽での2年以上の熟成が義務づけられているのも特徴です。
2-5.コーン・ウイスキー
原料穀物として80パーセント以上のトウモロコシを含むマッシュから製造されるアメリカン・ウイスキーの呼称で、度々「コーン・リカー」とも呼ばれるのが特徴です。
蒸留の工程で体積比で80パーセント以下の濃度しか、エタノールの濃度を上げません。
熟成させる義務はなく、そのまま出荷することも特徴にあげられます。
この場合、無色透明の液体になっています。
なお、もし熟成させる場合は熟成期間は通常短く、6ヶ月程度が一般的です。
熟成を行うことの利点としては、色と風味を樽の中で得て、マイルドでまろやかな味わいへと変化します。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回の分類はまだまだ序の口です。
ウイスキーの分類は深く掘り下げれば掘り下げるほど、その製法や原料によって細かく区分されていきます。
それぞれの国の法律でその基準が定められていることも多く、歴史を感じる部分でもあります。
まずは一般的なウイスキーから始めて、徐々にその深い味わいの世界に浸っていってはいかかでしょうか。