スコッチウイスキーにも負けません!セント・ジョージ蒸留所のおすすめ!
ウイスキーと言えば、スコットランドやアイルランドというイメージではないでしょうか。
スコッチやアイリッシュは世界5大ウイスキーにも入りますし、ファンが多いのも事実です。
そんな中、忘れてはならないのがイングランド。
ウイスキーの本場の近くにありながら、長い間蒸留所がありませんでした。
しかし、近年話題となっているのが復活したイングリッシュ・ウイスキー。
どんなウイスキーがあるのでしょうか。
目次
イングランドのウイスキーの歴史って?
イングランドにおけるシングルモルトウイスキーは1905年以降途絶えていました。
過去には18の蒸留所があったとも言われていますが、きちんと確認できるのはわずか4つだけです。
記録を残したのはアルフレッド・バーナーという人物です。
彼はイングランドの蒸留所を訪問し、一覧表を作りました。
それによると、過去イングランドにあった蒸留所は以下のとおり。
●リー・バレー蒸留所:エセックス州ストラットフォードにて穀物と麦芽のウイスキーを生産。
●バンクホール蒸留所:リバプールにて穀物と麦芽のウイスキーを生産。
●ブリストル蒸留所:ブリストルにて穀物のウイスキーを生産。
こちらのウイスキーはブレンディッドウイスキーのためにスコットランドやアイルランドに送られ、高い評価を受けていました。
●ヴォクスホール蒸留所:リバプールにて穀物ウイスキーを生産。
わずか4つしかなかったにもかかわらず全てが絶えてしまったというのは残念ですね。
イングランドはウイスキーというよりジンの国と呼ばれるそうですから、ウイスキーの人気はスコットランドやアイルランドには及ばなかったのかもしれません。
100年ぶりにイングランドでウイスキー蒸留所が復活!
1910年には全ての蒸留所が消えうせたと言われるイングランド。
しかし2000年に入り、新しく蒸留所を造る動きが見られるようになりました。
現在も続々と増え続け、2020年にはイングランド産のシングルモルトウイスキーの生産者が10人には登ると見られています。
スコッチウイスキーに対抗するイングリッシュ・ウイスキーがどのように発展していくのか、世界中のファンが注目しています。
“スコッチの脅威”とも伝えるメディアがある中、イングランド産ウイスキーからは目が離せませんね。
イングリッシュ・ウイスキーの再興を目指す!セント・ジョージ蒸留所
長年イングリッシュ・ウイスキーの再興という夢を抱き続けていたのはジェームス・ネルストロップ(James Nelstrop)氏です。
もともとジェームス・ネストロップ氏は農業家でした。
ネストロップ家が代々農業を生業としていましたし、その歴史は14世紀にまでさかのぼることができます。
彼は農業やビジネスにおいて大成功を収めました。
彼は息子アンドリューと共に、長年の夢だったイングリッシュ・ウイスキーの再興にとりかかります。
60歳を過ぎ、引退目前のチャレンジでした。
彼らが蒸留所の地として選んだのはノーフォークのルーダム(Roudham)という場所でした。
この場所は長年ジェームス氏が係わってきた場所だったからです。
それ以外にも、この地はイギリスでも有数の良質な大麦の産地でした。
ジェームス曰く、ウイスキー造りに必要なものは水と大麦。
素晴らしい大麦に加え、土地の地下にはブリングランド帯水層があり、最も純粋で清潔な水を手に入れることが出来ました。
樽こそが命!
最高のモルトウイスキーを造るためには最高の樽が必要であるとジェームスは考えています。
この蒸留所で造るウイスキーには色や香りを人工的に加えたりしないので、全てが樽にかかっているのです。
ですから最高のオーク樽を手に入れることに、蒸留所では力を入れています。
ほとんどはバーボンを作るのに使われたバーボン樽。
アメリカから直接仕入れています。
その他にもシェリー樽やワイン樽など、様々なカスクが使用されています。
ボトリングは機械ではなく、全て手作業というのも深いこだわりが感じられます。
ウイリアム王子のロイヤルウエディング限定版も!
セント・ジョージ蒸留所がウイスキーの製造申請をしたのが2005年10月のことでした。
そして承認を受けたのは2006年。
以来生産を始め、2009年には初めて市場にセント・ジョージ蒸留所のシングルモルトウイスキーが下ろされました。
20114年にはウイリアム王子とケイト・ミドルトンさんのロイヤルウエディング限定版が発売され、2012年にはエリザベス女王のダイヤモンドジュビリーに合わせた限定版が発売されるなど、順調にリリースを重ねています。
ウイスキー・バイブルの作者・ジム・マーレイは2015年版にて、「今年のヨーロピアンウイスキー」に「St George’s Chapter 14 whisky」を選び、話題となりました。
セント・ジョージ蒸留所のおすすめウイスキー!
イングリッシュ・ウイスキーを復活させたセント・ジョージ蒸留所。
かのラフロイグ蒸留所からマスター・ディスティラーであったイアン・ヘンダーソンも蒸留所のために多くのアドバイスを与えたと言われています。
イングリッシュ・ウイスキーの復興を夢みたネルストロップ親子の作り上げたウイスキーにはどんなものがあるのでしょうか。
St George’s Chapter 5 whisky
2009年に初めて発売されたウイスキーです。
限定2694本。
ボトルには蒸留所の名前の由来となったセント・ジョージが竜を殺すという象徴的なイメージが使用されています。
セント・ジョージ蒸留所のウイスキーは全て「chapter」(章)と表されています。
これはウイスキーの製造過程を細やかに味わってほしいから。
顧客がそれぞれの本に新しい章を加えていけるようにというコンセプトなのです。
色:鮮やかな黄金香り:軽くなめらか。
フレッシュで甘く、少しスパイシーな香り。
穏やかなバニラとフレッシュな芝生も感じる。
バナナやナシのフルーティさもある。
味わい:フルボディの濃厚さ。
ウッディでフルーティ。
ナッツやバニラの甘さも残る。
St George’s Chapter 8 whisky
100年ぶりに現れた、まさにイングランド産と言えるウイスキーです。
デキャンタで販売され、2394本の限定でした。
バーボンキャスク。
カラー:明るい黄金香り:シトラス・パインなどのフルーティさ。
かすかなスモーク。
味わい:スモーキーでケミカルな味わい。
スパイシーさとレーズンアイスクリームの甘さ。
スモーキーさとのバランスがとれている。
2013年「インターナショナル・ワイン&スピリッツ・コンペティション」においてシルバーメダルを獲得。
ジム・マーレイのウイスキー・バイブルにも選ばれました。
St George’s Chapter 11 whisky
アイラ産のウイスキーとも比較される一品です。
バーボンキャスク。
カラー:ハチミツ色香り:甘くてクリーミー。
ジンジャービスケット、アシッド、ホワイトペッパーをわずかに感じる。
バニラ・洋ナシのグラッパのよう。
味わい:口に含むと最初はとてもクリーミー。
ピートや唐辛子のスパイシーさが広がる。
ジンジャービスケット、レモン、ライムのさわやかさも残る。
風味豊かなピートと熱帯果実の成熟した甘み。
2012年、2013年「インターナショナル・ワイン&スピリッツ・コンペティション」においてシルバーメダルを獲得。
2013年「サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション」においてダブルゴールドメダルを受賞。
ジム・マーレイのウイスキー・バイブルにも選ばれました。
St George’s Chapter 13 whisky
わずか1300本のみの限定ボトルです。
定番のセント・ジョージが竜を殺すシンボルではなく、イングランド国旗を背景に立つセント・ジョージのシルエットが描かれています。
黒い箱で、新しいデザインとなりました。
カラー:淡い琥珀香り:甘くて穏やか。
スモーキーでスパイシー。
ダークチョコレート、モカ、ダークチェリータルトの濃密さ。
味わい:ダークチェリータルトとトフィーのまったりした濃厚さ。
クリーミーで甘く、スパイシー。
甘さから辛さ、あらゆる深い味わいを感じる。
まとめ
スコッチやアイリッシュといった超有名どころのウイスキーに比べ、全く存在感のなかったイングリッシュ・ウイスキー。
再興を図ったセント・ジョージ蒸留所では未だ探求と改革が進んでいます。
こちらのシングルモルトウイスキーの特徴はソフトで甘く、すっきりしたバランス。
これから年月を経て熟成が一層すすめば、さらになめらかさや重厚さが増していくに違いありません。
まさに「スコッチの脅威」となるかもしれませんね。
お気に入りを是非見つけてみて下さいね。