アメリカン・ライ・ウイスキーを楽しもう。ペンシルバニア・スタイルってどんなもの?

ウイスキー

ミクターズ US1 シングルバレル ライウイスキー 700ml

アメリカンウイスキーといえば、代表格はやはりバーボン。

しかし、バーボン以前はライ麦を原材料としたウイスキーも広く親しまれていました。

そんなライウイスキー、トウモロコシや大麦を原材料としたウイスキーよりもピリッとした口当たりが特徴です。

アメリカン・ライ・ウイスキーとライウイスキーのスタイルの一つ「ペンシルバニア・スタイル」についてみてみたいと思います。



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ライウイスキーってどんなもの?

ウイスキーの原材料様々です。

スコッチなら大麦、バーボンならコーンをメインに使用します。

ライウイスキーとは、ライ麦をメインの原材料に使用したもの。

ライ麦の特性が生かされた、ピリッとスパイシーな味わいが特徴です。

辛口のウイスキーが好きな人には特におすすめと言えますね。

アメリカン・ライ・ウイスキーの定義とは…

アメリカ国内でつくられるライウイスキーには規定があります。

アメリカのライウイスキーは、原料となる麦芽液(マッシュ)の51%以上がライ麦でなければなりません。

マッシュの残りは主にトウモロコシと麦芽。

蒸留後のアルコール度数は80%以上でなければならず、バーボンと同様に炭化被膜処理した新品のオーク樽で熟成させます。

樽詰めの前のアルコール度数は65%以下で、最低2年間の熟成期間が必要。

ボトリングの際のアルコール度数は40%以上でなければなりません。

また、他のスピリッツとブレンドされておらず、ライ麦だけでつくられたものは「ストレート・ライ・ウイスキー」と表示することができます。



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カナディアンウイスキーも「ライウイスキー」って呼ばれているけど?

日本でいうところの5大ウイスキーは「スコッチ」、「アイリッシュ」、「ジャパニーズ」、「アメリカン」「カナディアン」です。

このうちカナディアンウイスキーは「ライウイスキー」と呼ばれることが多々あります。

これは歴史的にカナダ産のウイスキーのほとんどがライ麦を原材料として生産されていたためです。

しかし、現在は違います。

現在のカナディアンウイスキーは他の地域のウイスキーと同様の製法で、ライ麦をメインにしているところはほとんどありません。

カナダ産の100%ライウイスキーは「アルバータプレミアム」や「マスターソース」などごくわずか。

ですから、カナディアンウイスキー=ライウイスキーというのは誤りなのです。

アメリカにおけるライ麦の歴史とは…

アメリカの初期植民地時代は、ラムを中心に蒸留が行われていました。

しかしある時、英国によって港が封鎖されてしまいます。

これによってラム酒の原材料となっていた西インド諸島からの糖蜜が入手できなくなってしまったのです。

そのため蒸留所はラム酒の生産をあきらめ、ウイスキーへと生産をシフトしていきました。

当時、蒸留を行っていたのは農民達。

彼らの祖先たちが先住の地でウイスキーの原材料として使用していたのは大麦。

しかし、その大麦は新大陸では思うように生育させることが出来ませんでした。

そのため、ウイスキーの原材料としてライ麦やトウモロコシを使用することにしたのです。

当時の農家にとって蒸留はかなりのメリットとなりました。

余った穀物を腐らせることなく利用できますし、アルコール製品は高値で取引されたからです。

穀物は市場に搬送するのが大変でしたが、ウイスキーはそこまでの手間はかかりませんでした。

農民達は蒸留を行うことによって安定した生活を営むことができたのです。

ライウイスキーを特徴づけるものは?

現在市場で取り扱われているライウイスキーには大まかに分けて2つのスタイルがあります。

1つは強くスパイシー。

もう1つはまろやかで柔らかいものです。

使用するライ麦によって出来上がったウイスキーの味わいにはかなりの違いが出ます。

どちらのライウイスキーを作るかは蒸留所の好みによるところ。

また、ライ麦の割合も蒸留所の好みによって異なります。

ケンタッキーにある大手の蒸留所は「ライ麦51%、トウモロコシ39%、麦芽大麦10パーセント」の割合でライウイスキーを作っています。

比較的くせがなく、大衆受けする味わいの配合です。

小規模蒸留所になると、配合をあれこれと試し、個性的な味わいに仕上げているところが多いです。

ライウイスキーのクラシックスタイル!「ペンシルバニア・スタイル」とは?

ライウイスキーにもスタイルがあるというのは前述の通りです。

一つは「ペシルバニアスタイル」と呼ばれるもの。

もともと「ペンシルバニア・スタイル」のライ麦は「モノンガヘラ・スタイル(Monongahela-style)」と呼ばれていました。

これは100%ライ麦を使用しており、トウモロコシや大麦は使用されません。

モルトされたライ麦とモルトされていないライ麦のみを使用しているのです。

モルトされたライ麦は麦芽がウイスキーを作るのと同じ役割を果たしました。

しかし19世紀末になると、ペンシルバニアの蒸留所の15~20%は麦芽を使用するようになります。

また、もともとペンシルバニアでは「スイートマッシュ」製法が行われていました。

これは蒸留の度に新しい穀物を投入し、それぞれのバッチの発酵液を作る製法です。

これはスコッチウイスキーの製造過程と同じものでした。

ペンシルバニアでも伝統的なスコッチのスタイルを守っていたのです。

しかし、20世紀になるとほとんどの蒸留所が「サワ―マッシュ製法」へと切り替えてしまいました。

これはバーボンの蒸留で有名なケンタッキー州で用いられた製法。

蒸留後の酸味のある蒸留液を「バックセット」として発酵槽に戻し、次の新しい糖化液と混ぜて使用するものです。

ケンタッキー州は気候が温暖なため、発酵槽内にバクテリアが繁殖してしまいます。

このバクテリアを蒸留液の酸が抑えてくれるというものでした。

製法を切り替えたため、ペンシルバニアの伝統は失われてしまいました。

現在はライ麦以外にもトウモロコシを使用する蒸留所が増えました。

もはやペンシルバニアにある蒸留所はいわゆる「ペンシルバニア・スタイル」ではなくなったのです。

ペンシルバニア・スタイルのライウイスキーのおすすめ

前述のように、伝統が失われてしまった「ペンシルバニア・スタイル」のライウイスキー。

伝統的スタイルを守ってきた蒸留所は1980年代に完全に閉鎖してしまいました。

しかし、その伝統を復活させようという動きが見られます。

それがペンシルバニア州にある「ダッズ・ハット蒸留所(Dad’s Hatdistillery)」。

禁酒法時代以前のペンシルバニア・スタイルを復活させようとしているのです。

DAD’S HAT PENNSYLVANIASTRAIGHT RYE WHISKEY

禁酒法時代以前のフレーバー・プロファイルを忠実に再現。

地元のライ麦を最低でも3年間熟成させました。

オールドスタイルのボトルも、古き良き時代を彷彿とさせます。

カラーは深い琥珀色。

スパイシーで伝統的なペンシルバニア・スタイルのライウイスキーです。

香りはライ麦とバニラ。

口に含むとかなりドライです。

唐辛子、シナモンスパイス、青りんご、イチジク、ココアパウダーの複雑な味わい。

甘さとスパイシーさのバランスが絶妙です。

DAD’S HAT PENNSYLVANIARYEWHISKEY

新鮮なオークのクオーターカスクを使用し、6か月以上熟成。

スモールバッチでつくられることにより、複雑でなめらかな味わいです。

カラーは淡い琥珀色。

フローラルでスパイシーな香りです。

シナモン、オーク、バニラの味わいが口に広がります。

ドライフルーツとブラックチェリーが強く主張しています。

まとめ

アメリカ始まりの頃から親しまれていたライウイスキー。

伝統的スタイルの一つである「ペンシルバニア・スタイル」は、ほぼ失われてしまいました。

しかし、ウイスキー人気が高まり、蒸留所が増加するにつれて過去のレシピや製法を復活させようとする動きが見られるようになります。

「ダッズ・ハット蒸留所(Dad’s Hatdistillery)」もそんな蒸留所の一つ。

失われたペンシルバニア・スタイルのライウイスキーの復活を目指しています。

ピリッとしたスパイシーなウイスキーが欲しくなったら、「ダッズ・ハット」のライウイスキーを試してみて下さいね、

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