モルトウイスキーが生まれるまで

ウイスキー

シングルモルト ウイスキー グレンフィディック12年 700ml

ウイスキーの種類や製品によって製造の工程に少し違いがありますが、基本的な工程の流れは変わりません、ウイスキーの種類を分ける大きな違いは使用される原料と蒸留方法、そしてブレンドするかしないかです。

今回は初心者にも飲みやすく愛好家にも愛されるウイスキーの基本であるモルトウイスキーの製造方法をまとめてみました。



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ウイスキーと他の蒸留酒の違い

ウイスキーは焼酎、ブランデー、ラム酒、ウォッカなどと並ぶ蒸留酒の1つですが、この蒸留酒のどれもほとんど製造方法は同じで、穀物であればウイスキーやウォッカ、サトウキビであればラム酒、ブドウであればブランデー、日本では焼酎という単語自体が蒸留酒という意味であり焼酎には様々な原料が使われます。

つまり原料による違いが他の蒸留酒との大きな違いになります。

そして樽によって長期の熟成をするために仕込みはじめてから仕上がりまでかなりの歳月を要することもウイスキーの特徴になります。

今回お話しするモルトウイスキーは初心者にもわかりやすいのでおすすめです。



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モルトとは

お酒を作るためには菌により発酵させてアルコールを作ることは誰もが知っていることだと思いますが、詳しい話しをするとサッカロミセス・セレビシエをはじめとするイースト菌によって糖分を分解、そして炭酸とアルコールが生まれます。

ビールやスパークリングワインなどではこの時の炭酸を利用しますが、蒸留酒であるウイスキーではこのアルコールのみを集めます、ただこの時にアルコール以外の香り成分なども共に集められるためにウイスキーの香りが生まれます。

つまりお酒を作るには糖分が必要なのです、ワインであればはじめから糖分を含んでいるブドウを使用するため簡単ですが、日本酒やいも焼酎ではアスペルギルス属の麹と呼ばれるカビの力を借り澱粉を糖化させて糖分を作ります。

それと同じでモルトウイスキーの原料である大麦も糖分を持っていないため、糖分を何とかして作る必要がありますが、大麦の場合は発芽する時のエネルギーを作るために発芽時酵素の影響により自ら澱粉を糖化させます、これが麦芽、つまりモルトです。

製造工程

大麦を発芽させてモルトを作り、そのモルトを粉砕したものに湯を加え、甘いモルトのジュースを作りそれを濾したものがウォートと呼ばれます。

そのウォートにイースト菌を加えアルコール度数7~8%ほどのモルト原酒(日本酒でいうもろみ)を作ります。

これをポットスチルで2回蒸留を行うと無色透明のスピリッツができます。

このニュースピリッツに水を加えアルコール度数を落とし、オークの樽に貯蔵して長期熟成させます。

製麦

原料となる大麦を2カ月以上貯蔵し、発芽出来る状態にして浸水層にいれます。

そして数時間ごとに水を抜いて空気にさらし、酸素を与える作業を繰り返します。

その大麦をフロアなどに広げ発芽させた後、乾燥させます。

乾燥の工程ではピートを燻して特有の香りをつけます。

糖化

そして乾燥した麦芽を粉砕します、粉砕した麦芽はグリストと呼ばれますがマッシュタンも呼ばれる糖化槽で麦芽を熱湯と混ぜ合わせ、その後濾過します。

それがウォートと呼ばれるモルトジュースで、飲んでみると想像以上に甘いです。

発酵

ウォートを20度程度に冷却し、これをウォッシュバックと呼ばれる発酵槽に移しイースト菌を加えると発酵が始まります。

発酵は最低でも48時間行われ長いところでは70時間かけて行われます。

そして発酵が終了するとアルコール度数7~8%ほどのモルト原酒が生まれます。

蒸留

発酵により出来たモルト原酒をポットスチル(単式蒸留釜)に入れて加熱、気化したアルコール蒸気を冷却して再び液化させ濃度を高めます。

1回の蒸留では充分なアルコール度数が得られないためにモルトウイスキーではこれを2回行うのが一般的です。

熟成

蒸留して出来たニュースピリッツに水を加え、樽の成分を1番抽出しやすいアルコール度数63~64%に合わせてからオーク樽に入れて熟成させます。

熟成期間中に樽材から溶出した成分がスピリッツと反応し、複雑な香りが生まれます。

バッティング

樽に入れて熟成されたウイスキーは熟成庫内のどこに置かれていたか、何段目に置かれていたかなどによっても味が異なってしまうため、製品によって様々だが基本的には熟成を終えたウイスキーはいったん大桶に集められミックスされ均一化されたあとに、瓶詰めが行われます。

樽の種類

ウイスキーの風味の6割は使用される樽と熟成により決まってしまうと言われているほど重要な要素です。

大きな違いを生むのは樽のサイズと材質で、材質はヨーロピアンオークとホワイトオークの2種類です。

どちらも密閉性に優れており、ポリフェノールが豊富に含まれています。

パンチョンと呼ばれる樽は日本では480~500lのものが使用されます。

バットはシェリー酒に使用される樽で、容量はパンチョンと同程度。

ボックスヘッドはバーボンバレルを解体し、胴回りを太くしたのがボックスヘッドで220~250lのものがスコッチウイスキーによく利用されます。

バレルはアメリカンホワイトオークを使用し製造される180~200lの小樽で、バーボンの熟成に使用されます。

まとめ

世界中にはブランデーやラム酒、焼酎など蒸留酒が沢山あり、それぞれ突出した特徴があります。

ウイスキーはウォートを作り発酵させるまでの工程ではビールと同じですが、樽熟成をすることによる味の変化を求められ完成する所はワインと似ています。

世界中で愛されるビールとワインの特徴を持った蒸留酒、それがウイスキーです。

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