新進気鋭の台湾ウイスキー「KAVALAN」とはどんなウイスキー?
アジアのウイスキーといえば、世界五大ウイスキーにも入る日本の「ジャパニーズウイスキー」が有名です。
しかし、歴史は浅いながらも現在ウイスキーファンの間で人気の火がついてきているアジアのウイスキーがあります。
それが、台湾ウイスキー「KAVALAN(カバラン)」です。
まだまだ新米のKAVALANウイスキーがどうして世界中で人気となりつつあるのか、ご紹介したいと思います。
KAVALANウイスキーについて
珍しい台湾のウイスキー
台湾といえば気候帯は亜熱帯に属しており、およそウイスキーが製造される場所ではないように思えますが、台湾北東にある宜蘭(ぎらん)地域は雪山があり、ウイスキーの製造に適した気候条件となっています。
KAVALANは、この地域に建設された醸造所で、雪山の水を使って作られたウイスキーなのです。
歴史は浅いが実力は本物
そんなKAVALANウイスキーですが、誕生は2008年とかなり新しく、まだまだ歴史が浅いために台湾国外の人の間では知名度が低いです。
しかし、作られるウイスキーの品質は素晴らしく、これまでにISC国際スピリッツコンペ 2010年金賞、SWSCロサンゼルス境スピリッツコンペ2010年金賞、WWAワールドウイスキーアワードベストシングルモルト賞といった主要なコンペ、アワードで輝かしい成績を修めており、その実力は本物です。
どこで飲める?手に入る?
残念ながら、その歴史の浅さと知名度の低さから、まだまだ日本では取り扱っているバーや酒屋は少ないです。
外で飲む場合、オーセンティックバーの老舗や、ウイスキーに力を入れているようなバーでないとKAVALANウイスキーを楽しむことは難しいと思います。
また、酒屋でも取り扱っているところは限られる印象です。
どうしても家で飲みたいというのであればネット通販などでの取り寄せが現実的かと思います。
台湾の空港内の免税店などでは日本国内よりも非常にリーズナブルな値段でお求めすることができるので、台湾を旅行などで訪れる際は、帰りに是非ご購入してみてください。
“カバラン ソリスト”シリーズ
ソリスト”シリーズ
そんなKAVALANウイスキーはこれまでに様々な種類が製造、発売されていますが、特におすすめしたいのがKAVALANソリストシリーズの4種です。
このシリーズは、様々な個性を持った樽の中からチーフブレンダーが厳選した高品質の樽にウイスキーを貯蔵しており、その味わいもさることながら、香りがとても複雑で素晴らしい逸品に仕上がっています。
日本では2~4万円台で販売されており、他シリーズと比較するとややお値段も高くなっていますが、その味と香りは6万円台のウイスキーとも引けを取りません(個人的には、後で紹介するフィノシェリー樽のウイスキーはバランタインの30年ものにも匹敵するほどの味と香りを持っていると感じました)ので、コストパフォーマンスも大変優れています。
以下では、簡単にシリーズ4種の特徴を説明したいと思います。
バーボンカスク熟成
アメリカ産ホワイトオークを用いたバーボン樽のシングルカスクウイスキーです。
トロピカルフルーツ、ココナッツ、バニラなどの甘い香りが漂い、飲んだ時のなめらかな味わいと、後味に広がるチョコレートのような甘みが素晴らしいです。
4種のシリーズの中では、良い意味でもっとも「シンプル」な味わいで、KAVALANウイスキーがどういうものかが分かりやすいです。
値段も4種の中でもっともお求めやすいですので、どのシリーズから試そうかを迷っている人は、是非この「バーボンカスク熟成」をおすすめします。
スパニッシュシェリー樽熟成
スパニッシュ・シェリー樽のシングルカスクウイスキーです。
重厚で深みのあるレーズン色をしており、さながら20~30年熟成させたウイスキーのような濃厚な色をしています。
ドライフルーツ、スパイス、アーモンド、オークなどが醸し出す香りは最初にピリッとしつつもとても複雑で、葉巻などとの相性がとても良いです。
味わいはとても濃厚で、スパイスがいいアクセントとなっていてそれほど甘さを感じないような印象を覚えますが、後味の余韻はカラメルとフルーツのようなしっかりとした甘さのようなものを覚え、一口で全く異なった2つの印象を覚えるウイスキーです。
フィノシェリー樽熟成
4種のシリーズの中でも際立って値段が高いですが、味、香りともに断トツに素晴らしいです。
最高級のフィノシェリー樽のシングルカスクウイスキーで、高品質で香りの強いシェリー、チョコレート、マンゴーなどが、本来であればお互いの強い香りで個性を殺し合ってしまうのを、シェリー樽が絶妙に調和することに成功しています。
味も、初めはすっきりとしたフレッシュフルーツのような甘さが舌にとどき、その後に芳醇な香りとともに濃厚な燻製の深みが合わさって複雑で豊かな味わいとなっています。
少し乱暴な説明ですが、バーボン樽熟成の香りとスパニッシュシェリーカスク樽熟成の味わいをもっと複雑なものにしたようなイメージです。
ビーニョワイン樽熟成
世界各種の最高級ワイン貯蔵の経歴を持つホワイトオーク樽を、酒造工場で2年間自然乾燥したウイスキーの貯蔵・熟成に用いて完成するウイスキーです。
他3種とは毛先の異なった繊細な味をしており、とても甘いです。
アーモンド、ブラックチョコレート、タフィー、蜂蜜、マンゴーなど、様々な香りが混ざり合うというよりは、次々に口の中で現れては淡く消えていき、なんともいえない清涼感のある余韻が広がります。
味の複雑さと香りの素直さが上手く調和しており、香りを楽しみたいという方には一番おすすめできるウイスキーです。
どんな人におすすめ?
ここまで紹介してきたように、その歴史の浅さから「知る人ぞ知る高品質ウイスキー」となっているため、ウイスキー党で、世界五大ウイスキーの有名どころはほとんど飲んだという方でもKAVALANウイスキーをご存じない方が結構いらっしゃると思います。
そのような方には、是非ウイスキーの新天地としてKAVALANウイスキーをお試しして頂き、世界五大ウイスキーに引けを取らないそのクオリティを楽しんでほしいと思います。
また、KAVALANの中でも上でご紹介したソリストシリーズは、どの種類も味と香りがとても甘く、ウイスキー初心者の方でも口当たりが良く飲みやすいと思います。
ですので、このKAVALANウイスキーを飲んで、良いウイスキーというものがどういうものかを知ってもらいたいと思います。
つまり、KAVALANウイスキーはウイスキー党の通からウイスキーの魅力を知りたい初心者の方まで、幅広い方におすすめできるということですね。
KAVALANの美味しい飲み方
KAVALANウイスキーを楽しむならば、断然ストレートをおすすめします。
ウイスキーは少しの水を加えることで香りが開いて、味と香りを最もコンディションの良い状態で楽しむことができると言われていますが、このKAVALANウイスキーに限っては香りがとても力強いため、水を加えたりせずに、ボトルのままの味と香りを楽しむのがベストです。
お酒の弱い方などは、チェイサーのお水を用意しておいて、ストレートで楽しんだ後にチェイサーを飲むようにすれば、悪酔いなどをすることなく安心してKAVALANウイスキーを味わうことができると思います(もちろん飲み過ぎには気を付けてください!)。
その次のおすすめとしては、オンザロックです。
先ほど説明した通り、味も香りも強いウイスキーですので、氷が溶けて少しずつ味や香りが変化していくのがウイスキー初心者などにも分かりやすく、ちびちび飲んでいく中で複数の味わいを楽しむことができます。
もちろん、今の二つのおすすめは主観によるところが大きいですので、他にも美味しい飲み方はあると思います。
色々な飲み方を試して、KAVALANウイスキーを隅々まで味わってみてください。
まとめ
以上、新進気鋭の台湾ウイスキー「KAVALAN」についてご紹介してきました。
最初に触れた通り、従来アジアのウイスキーといえば日本の「ジャパニーズウイスキー」だけが世界的に有名で、アジア全体としてみればウイスキー文化のレベルはまだまだ低いものだったと思います。
しかし、この台湾ウイスキー「KAVALAN」が世界に認められつつあるのを皮切りに、アジアでのウイスキー文化が盛んになって、美味しいウイスキーがもっと世に出てくれたら嬉しいですね!