バーボンよりワイルド?ライ・ウイスキーのおすすめはこれ!
アメリカンウイスキーと言えば、有名なのはなんといってもバーボンですよね。
世界的に愛好家が多く、樽由来のバニラやキャラメルの深い味は他のウイスキーとは一線を画すものです。
そんなバーボンよりもさらにスパイシーで尖った味わいを楽しめるのがライ・ウイスキー。
トウモロコシが成分の半分を占めるバーボンと異なり、半分をライ麦が占めるのです。
アメリカンウイスキーの原点とも言われるライ・ウイスキー、どんなものがあるのでしょうか。
目次
ライ・ウイスキーのライ麦ってどんなもの?
ライ・ウイスキーの原材料となるライ麦は食用または飼料用として広くヨーロッパや北アメリカを中心に栽培されています。
とても強い植物で、極寒の冬や痩せた土壌など、通常の植物には厳しいとされる環境にも耐性があります。
ヨーロッパでは主要穀物として重宝されていましたが、18世紀ごろからその重要性はどんどん低下していきました。
ライ麦に変わって、小麦が大量生産されるようになってきたのです。
現在はその栄養価の高さが再評価され、栽培地も増えていますが、それでも小麦に比べると圧倒的にわずかな栽培量です。
大量生産されていた時代には貧困層の食べ物として安く取引が行われていましたが、現在ライ麦を食べるのは健康に気を使うお金に余裕のある人々。
小麦より高値で取引されています。
そのように栽培量の落ちたライ麦ですが、バーボンウイスキーにとって欠かすことはできません。
ライ麦はコーンの甘さを引き立てるスパイス的な役割。
ライ・ウイスキーはそんなライ麦を半分以上も使用しています。
味わいは当然、ドライでスパイシーです。
原材料となるライ麦はどこから調達する?
アメリカ国内で生産量が減少しているライ麦。
アメリカンウイスキーを造る上では欠かすことはできません。
しかし、ライ麦はデンプン量が少なく、糖化が困難と言われるもの。
100%ライ麦のウイスキーを造ることは通常のトウモロコシ使用のものよりもコストがかかるのです。
そのため、アメリカンウイスキーの蒸留所では高品質のライ麦の確保に頭を悩ませました。
結果として輸入先となったのは北部ヨーロッパで生産されたライ麦。
アメリカンウイスキーに最適なフレーバー的特徴とデンプン含有量、酵素濃度を持っていたためです。
禁酒法以前、アメリカでは多くのライ・ウイスキーが造られてきました。
しかし現在のアメリカではウイスキーの原材料となるライ麦を他国に依存しなければならないほど入手が困難となっているのです。
ライ・ウイスキーはどのように作られているのでしょうか
アメリカでは、ライ・ウイスキーは主原料の51%はライ麦でなければなりません。
これはアメリカの法律によって規定されています。
その製造方法はバーボンとほぼ同じ。
まずライ麦を麦芽で糖化し、酵母によってアルコール発酵させます。
その後アルコール度数80度以下になるように蒸留。
こうして出来上がった蒸留酒に加水してアルコール度数62.5%まで下げます。
その後の熟成は内部を焦がした新樽を使用。
熟成期間は最低でも2年とされています。
このように作られるライ・ウイスキーの中でも、ライ麦を100%使用して作られたウイスキーは「シングルライモルト・ウイスキー」と呼ばれています。
通常のライ・ウイスキーより強い風味と味わいが特徴です。
現在のアメリカでは、農家はライ麦よりもトウモロコシを栽培するのが主流。
ライ麦を栽培するよりトウモロコシを栽培した方が高収益につながるからです。
そんな現状の中ではライ麦100%のウイスキーを作るのはなかなか難しい状況と言えます。
カナディアンウイスキーってライ・ウイスキーじゃないの?
カナダやアメリカではカナディアンウイスキーはライ・ウイスキーと呼ばれることが多いです。
これは歴史的にカナディアンウイスキーの原材料がライ麦だった。
しかしながら、ライ麦の生産量が減った現在は、カナディアンウイスキーにはほとんどライ麦は使用されていません。
トウモロコシとライ麦の割合が9:1ということもあるのです。
また、カナディアンウイスキーにライ麦の使用が義務付けられているわけではないので、ライ麦を使用するかしないかは蒸留所次第。
カナディアンウイスキー=ライ・ウイスキーという図式は、現在では当てはまりません。
本当にライ麦主体のウイスキーが飲みたいと思ったら、カナディアンウイスキーかどうかではなく、ライ・ウイスキーと記されているものを選びましょう。
ライ・ウイスキーを飲むならこれ!おすすめをご紹介します
近年、バーボンやスコッチが優勢なウイスキー業界で、ライ・ウイスキーの評価が高まってきました。
ウイスキー愛好家達からの支持を受け、ライ・ウイスキーの生産量を増加させる蒸留所も増えています。
強く、コクのある味わいが楽しめるライ・ウイスキーのおすすめをあげてみたいと思います。
Michter’s US 1 Single Barrel Straight Rye Whiskey
アメリカ・ケンタッキー州で1753年に創業されたミクターズ社が作っているライ・ウイスキーです。
設立当初からのこちらの蒸留所のモットーは「コストは度外視」。
高品質の製品を生み出すことに誇りを持っています。
この「US1 シングルバレル ライ ウイスキー」の4年間熟成されました。
厳選されたライ麦から造られた原酒を使い、単一の樽からのみボトリングされています。
黒コショウのようなスパイシーさを感じます。
樽由来のバニラ、焦がしたキャラメル、ドライプラムやマーマレードの味わい。
アルコール度数は42.4%です。
Knob Creek Rye Whiskey
ビーム・サントリーのブランド「ノブクリーク」が造っているライ・ウイスキーです。
パワフルでストレートな味わいが特徴。
ライ麦のスパイシーさがドライな印象を与えます。
ノブクリークの「禁酒法以前の強い味わいを目指す」という信念にまさにピッタリのライ・ウイスキーです。
使用されているボトルはノブクリークシリーズと同様のフラスクボトル。
禁酒法時代を彷彿とさせる、ワイルドなルックスです。
ノブクリークブランドの中でもおすすめの新定番と言われています。
アルコール度数は50%。
Angel’s Envy FinishedRye
Louisville Distilling Company,(ルイビル・ディスティリング・カンパニー)が制作している「Angel’s Envy」ブランドのライ・ウイスキーです。
カリビアン・ラム・カスクで18か月の間熟成されました。
スパイシーさだけではなく、まろやかさやスムーズさも持ち合わせています。
メイプルシュガー、バニラ、オーク、ヘーゼルナッツのアロマ。
口に含むとラムとソフトオークの味わいを感じます。
フィニッシュはドライで、すっきりした味わい。
ボトルには天使の羽根が描かれ特徴的なルックスです。
アルコール度数は50%。
Bulleit Rye
Bulleit Distilling Company(ブレット・ディスティリング・カンパニー)のライ・ウイスキーです。
原材料として95%のライ麦が使用されています。
強いライ麦の香りだけではなく、フルーティさも持ち合わせているのがこの「ブレット・ライ」の特徴。
メープル・バニラ・ライの香りをまず強く感じます。
それから、レモンやリンゴのさわやかな味わい。
樽由来のビター苦みもあります。
ライ麦のスパイシーさとフルーティさが絶妙のブレンドです。
2011年、2013年に「サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション」にてダブルゴールドメダルを受賞しています。
また、2012年、2014年、2015年にはゴールドメダルを受賞。
その他多くの賞やメダルを受賞している、評価の高いライ・ウイスキーです。
アルコール度数は45%。
まとめ
スパイシーでワイルドな味わいが楽しめるライ・ウイスキーですが、日本国内のバリエーションはやはりアメリカやカナダには劣ります。
まず気軽に試してみるなら、サントリーの「ノブクリークライ」がおすすめ。
入手は簡単ですし、ビーム家主ブッカー・ノウの意気込みを感じることができるでしょう。
もしライ・ウイスキーが気に入ったなら、インターネットなどで購入できるものをお試し下さい。
バーボンやスコッチとは違う、ライの奥深さを感じることが出来ますよ。