個性豊かなスコッチウイスキーが味わえる!ハイランドウイスキーのおすすめ。
スコットランドで製造され、イギリスの主要産業となっているスコッチウイスキー。
その市場規模はおよそ200カ国、日本円にして600億円もあります。
ウイスキーの全生産量のうち7割がスコッチウイスキーだといいますから、いかに世界中で好まれているかわかりますね。
そんなスコッチウイスキーですが、風味や味わいはどれも同じというわけではありません。
スコットランドの中でもとりわけ多くの蒸留所がひしめくハイランド地方のウイスキーを見てみたいと思います。
目次
スコッチウイスキーの過去から現在まで…
スコットランドのほぼ全土で製造されているスコッチウイスキー。
ウイスキーを語る上では欠かすことのできない存在です。
そんなスコッチウイスキーの歴史とはどんなものだったのでしょうか。
スコッチウイスキーの起源は…
スコットランドにおいてウイスキーの製造がいつ頃始まったのかは定かではありません。
遅くとも12世紀から13世紀にかけてではないかと言われています。
蒸留技術はキリスト教と共にアイルランドから伝わりました。
スコッチウイスキーについての現存する最も古い資料は1494年のスコットランド財務省の記録。
修道士にモルトを与えてウイスキーを造らせたというものでした。
当時ウイスキーは「生命の水」とも考えられており、主に修道院で製造されていました。
しかし16世紀の宗教改革で修道院が続々と解散すると、ウイスキー製造の技術は民間に広まり、余剰生産された大麦の換金及び保存のためにウイスキー製造がさかんになりました。
この時期のウイスキーは熟成の工程がなかったそうで、蒸留したての無色透明の液体だったそうです。
グレートブリテン王国時代は密造の歴史?
やがて1707年、スコットランドはイングランドと合わさり、グレートブリテン王国となりました。
それと同時にウイスキーに対する課税が強化され、ウイスキーを密造する蒸留者がふえていきました。
密造酒の多くは中央から程遠いハイランドの山奥で造られたといいます。
密造は酒税引き下げが行われる1823年頃まで続きました。
ウイスキーが密造されていた時代、スコットランドに流通するウイスキーの半分以上は密造酒だったという説もありますから、その数の多さが分かりますね。
酒税引き下げ後は政府公認の蒸留所が爆発的に増え、1820年代だけで250もの蒸留所が公認を受けました。
この密造時代に現在のウイスキーの製法が確立されたと言えます。
それまでは熟成無しで飲まれていたウイスキーですが、販売機会が訪れるまで樽で寝かすことを余儀なくされました。
その結果として琥珀色のまろやかな舌触りの液体へと変化することが発見され、ウイスキーの製造工程に加えられるようになりました。
ピートの使用、ポットスチルを使用して2回蒸留するという製法が確立されたのもこの頃です。
スコッチウイスキーの多様化…
1826年にロバート・スタインが連続式蒸留器を開発します。
これによりウイスキーの大量生産が可能になりました。
大量生産にむけて原材料も安価な穀物が使用されるようになります。
これがグレーンウイスキーの始まりでした。
従来通りのモルトウイスキーとグレーンウイスキーを混ぜたブレンディッドウイスキーも誕生します。
スコッチウイスキーはブレンディッドの歴史とも言われ、さかんにブレンディッドウイスキーが造られるようになりましたが、ブレンディッドはスコッチとして認めないという動きも起こり、論争を巻き起こしました。
現在は1908年から1909年に開かれた王立委員会が出した結論「ブレンディッドもスコッチである」というスタンスでスコッチウイスキーは定義されています。
1990年代前半は95%を占めていたブレンディッドウイスキーですが、2000年に入るとシングルモルトの割合が15%を超えるようになり、消費者と製造者の好みの変化が見られます。
ハイランドウイスキーってどんなもの?
ハイランドとはスコットランド北部オークニーから南部アラン島、アバディーンシャーからアウターヘブリデスまで東から西へと広がる地域です。
スコットランド最大のウイスキーエリアで、およそ40の蒸留所が存在しています。
ハイランドほぼ全土に広がる蒸留所はそれぞれ個性豊かで、「ハイランドウイスキーとはこんな特徴がある!」とひとくくりにすることはできません。
あえておおまかに特徴づけるなら、北部はフルボディの甘いモルトウイスキー。
また南部は軽く、ドライで繊細なウイスキーです。
東部はドライでフルーティ、フルボディ。
西部は強い海風の影響を受けていると言えます。
北部ハイランド地方のおすすめウイスキー
ハイランドの首都「インヴァネス」周辺からグレートブリテン島の最北端までの地域を北部ハイランドと呼びます。
インンヴァネスといえば、アイリーンドナン城やかのネス湖など、観光名所もたくさんあります。
Balblair 1999
バルブレア蒸留所(Balblair Distillery)のシングルモルトウイスキーです。
バルブレア蒸留所はスコットランド最古の蒸留所の一つ。
映画「天使の分け前」のロケ地ともなりました。
こちらの「バルブレア1999」はスパニッシュオーク樽の深いまろやかさが感じられます。
スパイシーで温かみのある味わいが特徴。
グリーンアップルやシトラスフルーツ、ハチミツ、バニラ、ビターチョコの甘さが複雑に絡み合っています。
アルコール度数は46パーセント。
南部ハイランド地方のおすすめウイスキー
グランピアン山脈の南部に位置する地域が南部ハイランド地方です。
豊かな自然に囲まれており、著名な森林公園があります。
Glengoyne 21years
グレンゴイン蒸留所(Glengoyne Distillery)のシングルモルトウイスキーです。
こちらの蒸留所の創業は1833年。
グレンゴイン蒸留所では麦芽を乾燥させる際、ピートを全く焚きこみません。
ですからフルーティでさわやかな風味を楽しむことができます。
複雑な味わいはスコッチウイスキー上級者におすすめです。
こちらの「21years」は手作業で選別されたシェリーカスクを使用しています。
クリスマスケーキ、ハチミツ、豊かな果実の風味です。
夕食後にまったりとストレートで頂くのがおすすめです。
西部ハイランド地方のおすすめウイスキー
スコットランド一の高山「ベン・ネヴィス」周辺が西部ハイランド地方と呼ばれています。
年間10万人もの登山者が訪れる、登山におすすめの地方です。
ベン・ネヴィス山の雪解け水を使用した、素晴らしいウイスキーが楽しめます。
10 Years Old single west highland
ベン・ネヴィス蒸留所(Ben Nevis Distillery)のシングルモルトウイスキーです。
この蒸留所は1825年に設立されました。
この「10 Years Old single west highland」はジム・マーレイの「ウイスキー・バイブル2004」にも載っています。
ピート、熱帯果実、コーヒーとダークチョコレートの香りが漂います。
フルボディの深い味わい。
東部ハイランド地方のおすすめウイスキー
スコットランドの大都市のひとつ「アバディーン」がある平野部が東部ハイランド地方と呼ばれます。
蒸留所は海側に集中しており、伝統的で普遍的なスコッチウイスキーを楽しむことが出来ます。
Glen Garioch 12 Years Old
グレンギリー蒸留所(Glen Garioch Distillery)のシングルモルトウイスキーです。
バーボンとシェリーカスクで熟成されています。
ピーチとグレインの豊かなバランスの良い香りです。
クリーミーでナッティな味わい。
クレームブリュレのような甘さも感じます。
まとめ
スコッチウイスキーと言っても、蒸留所によって個性は全くといっていいほど異なります。
素晴らしい蒸留所の多いハイランド地方の中でも、バラエティは豊か。
どんな基準で選べばいいか迷ってしまいますが、自分の好みをじっくりと見つけてみるのもウイスキーを嗜む楽しみと言えます。
もしスコッチウイスキーが初めてなら、まずはグレンギリー蒸留所のものがおすすめ。
ハイランドらしいウイスキーでお値段もリーズナブルなためトライしやすいですよ。
スコッチの奥深さを感じてみて下さいね。