ウイスキーに「潮」を感じる!モルトウイスキーの王者にトライしよう!
スコットランド、アイルランド、アメリカ…。
ウイスキーの産地は様々です。
製法や原材料はさほど違わないはずですが、産地によって味わいや風味に違いが出るのがウイスキーの面白いところです。
ここでは、ウイスキーを口に含むと「潮」を感じるウイスキーをご紹介したいと思います。
ちょっと変わった風味で、いつもと違う味をお探しの方におすすめです。
まずはウイスキーの製造工程をおさらい!
一般的なウイスキーの製法をご存知でしょうか。
ウイスキーをつくるにはまず、麦を発芽させます。
その麦芽に含まれる酵素を利用してデンプンを糖化。
ここまではビールの製法と同様です。
これを濾過して麦汁にした後、酵母によって発酵させます。
液体はアルコール度数7~8%となり、「ウオッシュ」と呼ばれるようになります。
このウオッシュを単式蒸留器で蒸留。
通常複数回の蒸留を終えると液体はアルコール度数70~80%になり、色は無色透明。
「ニューポット」と呼ばれるものです。
この蒸留液を木製の樽に入れ、熟成。
数年以上のエイジングを得ると無色透明だった液体は豊かな風味と色を帯びるようになります。
ウイスキーは原酒熟成により、樽によって風味や個性が異なります。
ですから最終的にはいくつかの樽の原酒をブレンドし、加水を行ってアルコール度数を40%程度まで落ち着かせるのです。
香味や味を調えた後、ボトリングして出来上がりです。
ウイスキーの風味を特量づけるのはピート!
ウイスキーがお好きな方なら、必ずや聞いたことがあるであろう「ピート」。
ウイスキーの風味や味わいを特徴づける重要なものです。
ウイスキー製造の初期段階、製麦の段階で使われます。
では具体的にピートとはどんなものかご存知でしょうか。
ピートとは、スコットランド特有の泥炭のことです。
様々な植物が枯死・堆積して固まったもので、採取する場所によって堆積年数や香りの特徴などが異なります。
このピートをどのように使用するのかと言いますと、「製麦」の乾燥工程で使用されるのです。
製麦とはどんな作業?
製麦の作業はまず、麦を発芽させるところから始まります。
麦芽を作るための麦を何日間か水につけては入れ替えるという作業をくりかえします。
これは「浸漬」と呼ばれるもの。
この作業によって麦を発芽させるのです。
ウイスキーは麦と同様に水が命と言われます。
それはこの工程で使用される仕込み水の品質がウイスキーの味わいを左右する重要な要素であるからです。
ですからウイスキーの蒸留所があるところは水の質が高く無ければならないのです。
この「浸漬」の工程が終わると乾燥と香りつけの工程に入ります。
ここで使用されるのが「ピート」または「石炭」なのです。
ピートを焚く量や焚き方は各蒸留所や銘柄によって異なります。
ウイスキーの味わいを特徴付ける大切な工程だけに、蒸留所独自のノウハウやレシピが存在しています。
飲みやすく軽い味わいのウイスキーが持ち味の蒸留所なら、このピートをあまり感じさせないように調整するでしょうし、クセの強い通好みのウイスキーが持ち味の蒸留所ならピートの香りを強く入れるでしょう。
蒸留所によって目指すものの違いが出てくるのですね。
ウイスキー初心者がいきなりピートの強いものにチャレンジすると、飲みづらいと感じるかもしれません。
これからウイスキーを深く知りたいという方はピート感の弱いものから始めるのがおすすめです。
「潮」を感じさせてくれるのはピートだった
海の潮の味わいを感じるというちょっと特殊ともいえるウイスキーは、海がそばにある蒸留所で作られていることが多いです。
スコットランドでも内陸部や山岳地帯ではこのような味わいは感じられないでしょう。
スコッチならアイラ島のものがこのような特徴を持っています。
その理由はピートです。
海のそばにある蒸留所では、ピートの採掘場も海に近いことが多いです。
海に近い採掘場では、内陸部とは異なり海産物や海藻など、強い海風が運んできた成分が多く含まれるようになります。
また、海が荒れている時は海藻や海水のしぶきがピート場にも降り注ぎます。
このように海の成分をたっぷりと吸収したピートを使用して麦芽を焚くと、独特の風味と味わいを持つようになるのです。
海の近くの蒸留所のおすすめウイスキー!
ピーティで独特の風味を持つ「潮」味のウイスキー。
初心者よりは、ウイスキーをもっと深く楽しみたいと感じている方におすすめです。
独特の風味は好き嫌いがはっきりと分かれるところですが、ウイスキーがお好きならチャレンジしてみるといいのではないでしょうか。
ラフロイグ蒸留所
スコットランド・アイラ島にあるスコッチウイスキーの蒸留所です。
こちらの蒸留所のウイスキーは独特で強烈なピート香が特徴。
最も強いフレーバーを持つウイスキーの一つと言われています。
海藻やコケ類が多く含まれているピートを使用し、独自のフロアモルティング製法を採用。
仕込み水にはピートが浸みこんだサーネイグ・バーン川の上質な水を使用しています。
独特で、独創的な味わいはウイスキー愛好家達にとっても評価が分かれるところ。
大好きか大嫌いかに分かれる、極めて個性の強いモルト・ウイスキーです。
ラフロイグが作り出すウイスキーのニュアンスは「瓶詰の煙」、「ヨードチンキ」、「海藻」、日本では「正露丸」にも例えられます。
アメリカで禁酒法が施行された時代にも、「この液体は酒ではなく薬品だ」と主張して、合法的にウイスキーを販売していたという驚くべき事実もあります。
薬品くさいとも言われますが、ラフロイグのファンの方はその薬品くささこそがラフロイグの持ち味であり、欠かすことはできないと考えているようです。
ラフロイグクォーターカスク
19世紀に馬の運搬用として利用されていた小樽からヒントを得て作られたスコッチウイスキーです。
通常より小さい樽を使用することによって熟成を早め、冷却濾過をさけて作られました。
100年前のウイスキーの味わいを目指して作られました。
カラー:黄金。
香り:消毒液、バニラ。
味わい:フルーティな酸味、潮を感じるヨード香を感じる。
バーボン樽由来の甘さもあるストレートよりはオンザロックがおすすめ。
氷が尖った味わいをまろやかにしてくれます。
シングルモルト ウイスキー ラフロイグ 10年
重厚なスモーキーさを持つミディアムボディのシングルモルトウイスキー。
英国のチャールズ皇太子が愛飲していることでも知られています。
ウイスキー上級者なら美味しく感じられるかもしれませんが、好みによっては評価が分かれます。
カラー:濃い金色。
香り:爽快なピート、磯。
味わい:海藻を思わせるユニークで心地よい味わい。
シングルモルト ウイスキー ラフロイグ セレクト
重厚でスモーキー、やわらかな味わいが特徴。
強烈なピート香にシェリー樽由来の甘さが絶妙に溶け込んでいます。
多彩な樽から出された原酒をバッティング後、アメリカン・オーク樽で熟成。
シェリー樽、ヨーロピアン・オーク樽、バーボン樽といったそれぞれの樽の個性が見事にあわさって、重層的でフルーティな味わいを醸し出しています。
カラー:淡い金色。
香り:強いピート、スモーキー。
バナナ、キャラメル。
味わい:濃厚でまろやか。
潮風のような苦み、深み。
まとめ
ウイスキー初心者には少し敷居の高い「ラフロイグ」。
「シングルモルトの王者」とも呼ばれています。
ウイスキー通の間でも好みが分かれる強烈な味わいが特徴。
海のそばにあるということで、ウイスキーを飲みながら現地の風景が浮かんできそうです。
あまり強い味わいは苦手だけど、ラフロイグを試してみたいというかたは「セレクト」から始めるのがおすすめです。
独特のヨード香が控えめで、オイリーさと薬品臭さが軽めです。
はまる人はとことんはまると言われる「潮」を感じるウイスキー、是非試してみて下さいね。