カナダにおけるスコットランド?ケープ・ブレトン島からおすすめのシングル・モルト・ウイスキー。

ウイスキー

世界5大ウイスキーの産地にも数えられるカナダ。

そんなカナダで造られるウイスキーはカナディアン・ウイスキーとして世界中に知られています。

比較的ライトで飲みやすいとされるのがカナディアン・ウイスキーの特徴ですが、ケープ・ブレトン島には本場スコッチに負けない味わいのウイスキーを造る蒸留所があります。

どんなものなのでしょうか。



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カナディアン・ウイスキーの歴史

カナダで本格的にウイスキーが造られるようになったのはアメリカ合衆国独立戦争後です。

独立に批判的であったイギリス系の農民が当時はまだイギリスの植民地であったカナダに移住し、そこでウイスキーの原材料となる穀物の生産を始めました。

やがて穀物が過剰生産となり、余った穀物消費のために蒸留が行われ、ウイスキーが造られるようになりました。

ここで造られるウイスキーはほとんどがアメリカ合衆国向けに作られたものです。

しかしこうしたウイスキーは「one day whisky」と呼ばれ、造られてすぐに出荷される粗悪品でした。

そんなカナディアン・ウイスキーが転機を迎えたのは1920年から1933年にかけての「アメリカ合衆国禁酒法時代」です。

アメリカ国内でウイスキーの生産・販売は中止され、当時最大の輸入相手だったアイルランドもこの禁酒法によって大きな痛手を受けました。

カナディアン・ウイスキーも当然輸入禁止措置が取られたのですが、地理的に近いカナダでは密輸は容易。

結果として禁酒法時代アメリカで飲まれていたウイスキーの2/3はカナダ産のものとなりました。

禁酒法撤廃後も、アメリカ国内では本格的で良質なウイスキーの生産はすぐにはできず、しばらくはカナディアン・ウイスキーの天下となっていました。

現在もアメリカ国内ではカナダ産ウイスキーは広く飲まれ、流通しています。



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カナディアン・ウイスキーの特徴とは

カナディアン・ウイスキーは、カナダの法律によって厳しい規定が設けられています。

  1. 穀類のみを原材料とすること
  2. 原材料を麦芽のもつデンプン分解酵素によって糖化し、酵母によって発酵させること
  3. カナダ国内で蒸留すること
  4. 容量180リットル以下の樽を用いて最低3年以上熟成させること

なお、熟成もカナダ国内で行われなければカナディアン・ウイスキーと名乗ることは許されません。

また、カナディアン・ウイスキーの原材料は主にトウモロコシ、ライ麦、大麦が使用されています。

ウイスキーは連続式蒸留器を使用した、主にライ麦原材料のフレーバリングウイスキーと、連続式蒸留器を使用した、主にトウモロコシ原材料のベースウイスキーをブレンドして製造。

基本的には連続式蒸留器のみを使用したウイスキーであるため、軽くて飲みやすい風味が特徴です。

ライ麦などが香りづけ(フレーバリング)として使用されているのでライ麦のエッセンスも感じます。

しかし、このように連続式蒸留器のみで造られたウイスキーは、スコッチウイスキーなどと比べると個性をあまり感じません。

ライトで飲みやすく、軽いフレーバーが持ち味と言えるのですが本場スコッチウイスキーのファンにとってカナディアン・ウイスキーは物足りなく感じられるかもしれません。

ケープ・ブレトン島のカナディアン・ウイスキー

本場のスコッチやアイリッシュに比べるといささかあっさりした風味を感じさせるカナディアン・ウイスキー。

しかし、そんなカナダにあって、スコッチウイスキーを思わせるような深いウイスキーを製造している蒸留所があります。

それはケープ・ブレトン島にある蒸留所。

ケープ・ブレトン島はカナダの東部大西洋岸、ノバスコシア州にあります。

日本では「赤毛のアン」で有名な「プリンスエドワード島」に近い、風光明媚な島です。

そんなケープ・ブレトン島には19世紀後半、スコットランドから追い出されたハイランダーたちが多数やってきました。

ですから現在もこの島ではスコットランドの文化が色濃く残っているのです。

グレノラ蒸留所(Glenora Distillers)

ブレンディッドウイスキーが主流のカナダにあって、スコッチウイスキーと同様ブレンドしないシングル・モルト・ウイスキーを造り続けている蒸留所です。

ブレンディッドウイスキーしか見られないカナダにあって異色の存在と言えます。

カナダに本場のシングル・モルト・ウイスキーを!

グレノラ蒸留所を創設したのはブルース・ジャーディン(Bruce Jardine)。

彼はケープ・ブレトン島にて本場のスコッチウイスキーを造るという夢を持っていました。

そして、その夢を実現するために蒸留所を開きます。

彼のサポートを行ってくれたのはスコットランドの有名蒸留所「ボウモア」の人々です。

ブルースに必要な専門知識、技術を与えてくれ、本場スコットランドのポットスチル、マッシュタンの調達までしてくれたのです。

その後蒸留所はこのケープ・ブレトン島にルーツを持つ現在の所有者に譲渡されますが、ブルースの目指したシングル・モルト・ウイスキーは現在も造り続けられています。

グレノラ蒸留所のこだわりとは

グレノラ蒸留所の創設者・ブルース・ジャーディンは水こそがウイスキーの要と考えました。

グレノラ蒸留所では「MacLellan’s Brook;」からその水を得ています。

ここはケープ・ブレトン島において、最も清冽で純粋な水源なのです。

また、グレノラ蒸留所は北米最初のシングル・モルト・ウイスキーの生産を行った蒸留所として有名ですが、世界で初めてアイスワインバレルを用いてシングル・モルト・ウイスキーを作った蒸留所としても知られています。

スコットランドの子孫として現在もその伝統を守りつつさらなる発展に努めているのです。

Glen Breton Rare 10 Year

アメリカンオーク樽で10年間熟成されたシングル・モルト・ウイスキーです。

蒸留所の持ち主が変わってからはじめてリリースされました。

当時は限定500本ですぐに売り切れてしまったそうです。

  1. カラー:淡い琥珀
  2. 香り:オレンジ、スパイス、チョコレート、ハニー、バニラ、タバコ、メイプル、チェリー
  3. 味わい:フルーツ、チョコレート、ヘーゼルナッツ、メイプル、チェリー

ジンジャーとアップルの余韻が長く続きます。

シカゴで行われた「2011 International Review of Spirits」においてゴールドメダルを獲得しました。

グレノラ蒸留所のベースともいえるウイスキーです。

まずはこちらから試すのがおすすめ。

Battle Of The Glen 15 year

2000年、グレノラ蒸留所はスコッチウイスキー協会によって訴訟を起こされます。

先にリリースしたウイスキーに「グレン」という言葉が使われているのが理由でした。

「グレン」という言葉があると、消費者に混乱を生じさせるというのです。

国際社会と地域社会を巻き込んだ訴訟となりましたが、結果はグレノラ蒸留所の勝利。

グレノラ蒸留所は今後も「グレン」という言葉を使用できるようになりました。

このボトルはそんな訴訟の勝利を記念してリリースされたシングル・モルト・ウイスキーです。

  1. カラー:美しい黄金
  2. 香り:ハイランドのハチミツ、アップルウッド
  3. 味わい:強いモルティさ
    複雑なフルーツの味わい
    かすかにピーティで豊かでなめらかな後味が残る

「Whisky Magazine 2011」においてゴールドメダルと「Best Rest of the World Single Malt Whisky」を受賞しました。

Glen Breton rare cabot links 19 Year

小さな丸いボトルに入った可愛らしいイメージのシングル・モルト・ウイスキーです。

箱には美しいケープ・ブレトン島の風景が描かれています。

  1. カラー:赤銅色
  2. 香り:チェリー、ブラックリコリス、メイプル
    かすかにハチミツとリンゴ、パイン
  3. 味わい:アップル、メイプル、ジンジャー
    ピーティさが長く口に残る

まとめ

本場スコットランドにも負けないシングル・モルト・ウイスキーを造るグレノラ蒸留所。

深いウイスキーの味わいはスコッチファンも認める美味しさです。

また、この蒸留所では宿屋も併設しています。

蒸留所見学をしたあと、魅力的な部屋でゆっくりと寛げます。

ノバスコシア州の名物料理と蒸留所のシングル・モルト・ウイスキーを味わえるというのはなんとも魅力的ですよね。

蒸留所のまわりは景色も素晴らしく、ウイスキー以外にも見所たくさんです。

旅行先の一つとして候補に挙げてみてはいかがでしょうか。

ウイスキー