ウイスキー通なら知っていて当然!世界5大ウイスキーの歴史と特徴をまとめてみた

ウイスキー

シングルモルト ウイスキー ザ・マッカラン ダブルカスク 12年 700ml

「世界5大ウイスキー」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

世界中で愛されているウイスキーの中でも、高い評価を受けている産地のウイスキーを5つ選び抜いたものです。

いずれも良質で、ウイスキー好きを名乗る方ならどれも一度は飲んだことのある名酒です。

今回は、そんな世界5大ウイスキーの特徴と歴史をまとめてみました。

ウイスキーの歴史をより深く理解し、酒席での話のタネにいかがでしょうか。



私が絶対おすすめするウイスキーランキングベスト10はこちら

世界5大ウイスキーって何?

ウイスキーは、製造された場所や原材料の含有量などの細かい条件で名前の変わるお酒です。

そのため世界には3000銘柄を超えるウイスキーが存在すると言われています。

あまりに数が多いため、全てのウイスキー飲んだことがあるという人物はおそらくいないでしょう。

それら数多のウイスキーの中で、最も品質の良いウイスキーを作る5ヵ国で製造されたものを「世界5大ウイスキー」と呼びます。

産地によって異なるウイスキーの風味を存分に活かした世界5大ウイスキーは、世界中の愛好家たちに親しまれています。

世界5大ウイスキーに数えられているのは「スコッチ・ウイスキー」「アイリッシュ・ウイスキー」「アメリカン・ウイスキー」「カナディアン・ウイスキー」「ジャパニーズ・ウイスキー」です。

メーカーや銘柄ではなく、製造された国によって分けられているわけですね。

ひとくちにウイスキーといっても、これら5種類のウイスキーはまったく違う風味と口当たりをもっています。

ウイスキー初心者にこそ世界5大ウイスキーがおすすめ

まだウイスキーをあまり飲んだことが無いという方にこそ、世界5大ウイスキーはおすすめです。

ウイスキーを製造している国は多く、中には品質の悪いウイスキーが無いとはいえません。

最初に品質の悪いウイスキーを飲んでしまうと、ウイスキーが嫌いになってしまいかねません。

初めて飲むウイスキーに世界5大ウイスキーのいずれかを選ぶことで、「ウイスキーの基準点」を見つけてしまうわけです。

メーカーや銘柄に関わらず、この5ヵ国で作られたウイスキーはそれぞれの国で厳しい品質検査を受けて「ウイスキー」を名乗っていますので、ある程度の品質が保証されています。

ウイスキーの風味や味を覚えるまでは、世界5大ウイスキーを飲んで舌を馴染ませ、味が解るようになってから様々な国の銘柄にチャレンジするのが良いでしょう。



私が絶対おすすめするウイスキーランキングベスト10はこちら

世界5大ウイスキーの特徴一覧

ここからは、世界5大ウイスキーそれぞれの特徴をご紹介します。

世界5大ウイスキーに選ばれているのは、いずれも数あるウイスキーの中でズバ抜けて高い評価を受けている高品質なウイスキーとなります。

ウイスキー好きなら世界5大ウイスキーくらいは全て飲み比べられるようになりたいものですね。

スコッチ・ウイスキー(マッカランなど)

スコッチ・ウイスキーはスコットランドで製造されるウイスキーです。

2009年に制定された「スコッチ・ウイスキー規則」という法律によって厳しく管理されており、全ての基準をクリアしなければ製造が認められません。

糖化・発酵・蒸留・熟成まで全ての工程をスコットランドで行ったウイスキーだけがウイスキーを名乗ることができます。

スコッチは12世紀から13世紀にかけて製造が始まり、長い時間をかけてスコットランド特有のウイスキーとして洗練されてきました。

元々は薬酒として利用されていたため修道院が独占していたスコッチですが、16世紀に起こった宗教改革で修道院が解体され、民衆に親しまれるお酒として一般化していきました。

しかし1644年になるとスコットランドではウイスキーに対し重い税金をかけられるようになり、一時はスコッチの生産も衰退するかに見えました。

ところがこれに反発した民衆はスコッチの密造を始めるようになり、1820年に税率が引き下げられるまでの間、人々はスコッチを密に守り続けたといいます。

スコッチ最大の特徴は、煙のような独特な香りと琥珀色の美しい色合いです。

実はこれらの特徴は、かつてスコッチの密造が盛んだった時代に発展したもので、密造時代なくしては現在のスコッチは無かったと言われています。

なぜなら、スコッチが琥珀色なのは密造したウイスキーを樽の中に入れて隠したことで偶然発酵したのが始まりであり、煙のようなフレーバーは原料の大麦麦芽を乾燥させるために仕方なくピート(泥炭)を使っていたために生まれたからです。

もしかすると、スコットランドの酒税が無ければスコッチはもっと平凡で取り立てた長所の無いお酒になっていたかもしれません。

数々の苦難と偶然を経て、現在スコッチは「世界で最も多く生産されているウイスキー」となっています。

スコッチウイスキーで最も有名なのは、「スコッチ界のロールスロイス」と称されることもある「マッカラン」です。

風味が深いのにクセがなく、ウイスキー初心者にもおすすめできる飲みやすいスコッチです。

アイリッシュ・ウイスキー(ブラックブッシュなど)

アイリッシュ・ウイスキーは、アイルランド共和国及び北アイルランドで製造されているウイスキーです。

1980年に制定された「アイリッシュ・ウイスキー法」に則って製造されており、「酵母によって発酵させたものである」「穀物を原料としている」「アイルランド国内で3年以上熟成させられている」などの条件を全てクリアしたものがアイリッシュ・ウイスキーを名乗ることができます。

一説によればアイリッシュ・ウイスキーは6世紀ごろから製造が開始されたと言われており、アイリッシュ・ウイスキーは「世界最古のウイスキー」と呼ばれます。

文献が残っていないため正確な起源は解っていませんが、もともとは香水に使われていた蒸留技術を飲用のアルコール製造に転用したのがウイスキーの始まりだと考えられています。

アイルランドで生まれたウイスキーは現在では世界各国で進化を遂げ、世界中の人々に愛される名酒となりました。

アイリッシュ・ウイスキー最大の特徴は、手間暇のかかる製造方法です。

ひとつのウイスキーに複数回の蒸留を重ねることが多く、軽やかで口当たりの良い風味をもつウイスキーに仕上がります。

いわば、最もウイスキーらしいウイスキーであり、クセが無いため初心者でも安心して飲むことができます。

アイリッシュ・ウイスキーで最も有名な銘柄のひとつが「ブラックブッシュ」です。

このウイスキーを製造しているブッシュミルズ蒸留所は、1784年に免許登録が行われた現存する中で世界最古の蒸留所です。

ブラックブッシュはアイリッシュ・ウイスキーの中で香りが強く、強めのシェリー樽香を楽しめるウイスキーです。

アイリッシュ・ウイスキーは熟成期間が短いことでも知られていますが、ブラックブッシュはあえて長期間熟成することで重厚な風味を生み出しています。

アメリカン・ウイスキー(ジャックダニエルなど)

アメリカン・ウイスキーはアメリカ合衆国で製造されたウイスキーです。

バーボンやテネシー・ウイスキーなどが分類され、原料の比率によっても味わいが全く異なるウイスキーとなっています。

アメリカン・ウイスキーの起源はアイリッシュ・ウイスキーにあると言われています。

元々はアイルランドでウイスキーを製造していた一族がアメリカに移住し、アメリカでウイスキーの製造を始めたのがアメリカン・ウイスキーの始まりでした。

しかしウイスキーの製造が盛んになってしばらくすると、アメリカでは13年という長い期間の禁酒法が施行されました。

その時代に潰れてしまった蒸留所も多く、アメリカン・ウイスキーの歴史はそこで一旦幕を閉じるかに思われました。

しかし一部の蒸留所は薬酒としてバーボンを製造することを許され、厳しい時代を耐え抜いたウイスキーが現在のアメリカン・ウイスキーとして知られるようになりました。

アメリカン・ウイスキーは、内側を焦がしたオーク樽の中で熟成されます。

ウイスキーの中にオーク樽の成分が溶け込むため、蒸留所ごとに異なった個性を持つウイスキーが生まれます。

そのため、ひとくちにアメリカン・ウイスキーといってもその中には「バーボン」「テネシー」「コーン」など、更に細分化された分類が存在します。

アメリカン・ウイスキーで最も有名なのは、「ジャックダニエル」です。

ジャックダニエルはテネシー・ウイスキーに分類され、バニラに例えられる甘い香りが特徴的なウイスキーです。

一方、バーボンなら「ジムビーム」が最も有名でしょう。

世界のバーボンの4割はジムビームが占めていると言われ、日本でも人気の高いウイスキーとして愛飲者が多いウイスキーです。

カナディアン・ウイスキー

カナディアン・ウイスキーは、カナダで製造されたトウモロコシ、大麦、ライ麦などを原料とするウイスキーです。

かつては品質の悪いウイスキーとして知られていましたが、アメリカで禁酒法が施行されていた時代にメキメキと発展を遂げ、現在では世界5大ウイスキーに数えられるほどの品質となりました。

昔のカナディアン・ウイスキーが粗悪品と呼ばれていた原因は、カナダでウイスキーが製造され始めた経緯にありました。

18世紀の後半、カナダでは穀物の過剰生産が起こり、多くの農家が余った穀物を発酵・蒸留させてウイスキーを製造し始めたといいます。

ウイスキーに対する知識に乏しい農家が副業としてウイスキー製造を始めたため、当時のカナディアン・ウイスキーは全くと言っていいほど熟成を行いませんでした。

蒸留した直後に出荷してしまうため、カナダのウイスキーは「one day whisky」と呼ばれ、たった一日で作った粗悪品として知られていました。

しかし1920年、アメリカが禁酒法時代に入るとカナダのウイスキー事情にも変化が起きました。

アメリカで良質なウイスキーの製造を行っていた蒸留所が次々と閉鎖し、カナダにウイスキーを求める人々が殺到したのです。

禁酒法の施行されたアメリカでは、他国からウイスキーを輸入することも禁じていました。

そのため、アイリッシュ・ウイスキーをアメリカに持ち込むこともできませんでした。

しかしカナダはアメリカと陸続きで地理的に近く、容易にウイスキーの密輸を行うことができました。

当時のカナダでは、アメリカの需要にこたえて本格的にウイスキーの製造を始める人が必然的に多くなり、ウイスキーの製造技術が急激に発展していったとされています。

こうしてカナディアン・ウイスキーは、世界に名だたる名酒の仲間入りをしました。

カナディアン・ウイスキーの中で最も有名なのは、「カナディアンクラブ」です。

5大ウイスキーの中で最もライトな口当たりが特徴的なカナディアン・ウイスキーでも、特に上品でクセの無いウイスキーです。

そこにはかつて粗悪品と呼ばれた面影など微塵もなく、カナディアンクラブは世界中で愛されるウイスキーの代表格として知られています。

ジャパニーズ・ウイスキー

日本で製造されているウイスキーをジャパニーズ・ウイスキーと呼びます。

世界5大ウイスキーの中で最も歴史が浅く、日本で販売用のウイスキーが製造されはじめたのは1924年のことでした。

しかし日本人は古来より日本酒などの酒造に携わってきた民族であり、その独自の感性から作られる繊細なウイスキーは世界各国で高い評価を受けています。

日本国内で製造されているアルコール類の中で、日本酒に次いで多く輸出されているのがジャパニーズ・ウイスキーであり、2015年にはビールの輸出量を抜いています。

かつては「日本製のものはウイスキーとは呼べない」と厳しい評価を下されていたジャパニーズ・ウイスキーですが、今では世界各国に愛飲者のいるれっきとしたブランドに成長しています。

ジャパニーズ・ウイスキーで有名なのは「山崎」です。

山崎は大麦を原料としたモルト・ウイスキーの一種であり、ピート香の強いワイルドな口当たりが魅力です。

日本酒のように長く熟成させるのが山崎の特徴であり、最も手軽な価格のものでも10年の熟成期間をおいています。

それから「山崎12年」「山崎18年」と熟成期間によってラベルを変え、最も長いものでは「山崎50年」が販売されたこともあります。

まとめ

世界5大ウイスキーは、それぞれ厳しい時代をくぐりぬけて現在に至っています。

最初から簡単に製造し続けることのできたウイスキーはひとつもなく、禁酒法や重税、厳しい評価などの荒波を超えてきたウイスキーです。

しかしそんな厳しい時代を乗り越えたからこそ、ウイスキーはそれぞれの土地で独自の進化を遂げ、芳醇な味わいを生み出してきたのです。

ウイスキーを味わうときには、これまでウイスキーを守ってきた人々の歴史に想いを馳せてみてはいかがでしょうか。

ウイスキー