ジャパニーズウイスキーの歴史でも欠かせない?キャンベルタウンのウイスキーのおすすめ。
ウイスキーを語る上でスコッチウイスキーは欠かせません。
そんなスコッチも産地によって個性は様々。
アイラ、スペイサイド、ハイランドと有名どころは多数ありますが、意外と知られていないのがキャンベルタウンではないでしょうか。
現在は3つの蒸留所しかありませんが、かつてはウイスキーキャピタルとして栄えた地域です。
現在も伝統を守り続けるキャンベルタウンのウイスキーを見てみたいと思います。
キャンベルタウンってどんなところ?
キャンベルタウンはスコットランドの西端、キンタイア半島の先端付近に位置します。
20世紀初頭はスコッチウイスキーのキャピタルともいえる地域でした。
かつては大西洋へ向かう船の寄港地として栄えたキャンベルタウンでは、34もの蒸留所があり、ウイスキーの産地としては絶好の立地でした。
かつてはハイランド・アイラ・ローランドに並ぶウイスキーの名産地として知られていましたが、現在はすっかり衰退してしまいました。
原因はアメリカ・禁酒法時代に粗悪なウイスキーを製造し密輸したため。
質より量を重視し、アメリカに向けて多くのウイスキーを輸出しました。
しかし劣悪な品質からキャンベルタウン産ウイスキー=粗悪品というイメージがつくようになり、禁酒法時代が終わると見向きもされなくなってしまいました。
現在稼働している蒸留所はたった3つ。
スコッチの本場として栄えた時代からは、随分衰退してしまいました。
キャンベルタウンのウイスキーの特徴は?
過去の華やかな歴史から遠ざかってしまった現在、稼働中のキャンベルタウンの蒸留所は3つのみ。
しかしキャンベルタウンで造られるウイスキーは独特で特徴的と言えます。
スモーキーでウエッティな味わい。
ドライフルーツやバニラを感じつつも、その中には塩気があるのが分かるでしょう。
港町で海が近いということから、他にはない塩味を感じるのです。
これはスペイサイドやハイランドとは大きく異なります。
アイラ産のシングルモルトウイスキーが一番近いと言えます。
眼を閉じてテイスティングしてみると、味わいの違いが良くわかると言われています。
かつては日本からあの人も訪れました
キャンベルタウンにはかつて「ヘーゼルバーン蒸留所」が存在しました。
町で最大の蒸留所で、年間192000ガロンのウイスキーを生産していました。
そんなキャンベルタウン一の蒸留所で実習を行ったのが、「マッサン」こと竹鶴政孝でした。
言わずと知れたニッカウヰスキーの創業者であり、サントリーの始祖でもあります。
「日本のウイスキーの父」と呼ばれていますね。
1920年にリタ夫人を伴って、五か月の実習を行ったそうです。
このキャンベルタウンでの現地修行がなければ現在の日本のウイスキーは実現しなかったとも言われています。
ですから、キャンベルタウンは日本のウイスキー業界にとってもとても重要な場所と言えますね。
ヘーゼルバーン蒸留所はもはや閉鎖されていまいましたが、スプリングバンク蒸留所によってその名を冠したウイスキーが造られています。
スプリングバンク蒸留所
困難な状況を生き抜いてきた、キャンベルタウンを象徴する蒸留所です。
現在でも1828年の創業当時の設備がそのまま使われています。
スコッチウイスキーの蒸留所としては14番目に認可を受けました。
その製法はとてもクラシックで、「製造を続ける博物館」とも呼ばれているとか。
自社で製麦からボトリングまで全工程を行っている唯一のスコッチウイスキー蒸留所です。
現在もスコットランドや英国では別格の人気を誇っています。
勿論海外での人気も上々。
2013年には中国人のウイスキーコレクターが1919年の50年もののボトルを50000ポンドで購入し、話題になりました。
springbankaged10years
バーボン樽とシェリー樽で熟成させた原酒を使用しています。
豊かで完璧なバランスのウイスキーです。
カラー:美しい琥珀香り:ピート、バニラ、モルトをかすかに感じる。
洋ナシの甘さ。
味わい:甘くなめらかな強さ。
モルト、ナツメグ、シナモンのスパイシーさにバニラエッセンスのような甘さが残る。
springbankaged15years
クラシックで深い味わいの15年もののウイスキーです。
オーク樽とシェリー樽の味わいが複雑に混じり合っています。
カラー:琥珀香り:砂糖、ダークチョコレート、タフィー。
オークと、華やかなクリスマスケーキのような香り味わい:ナッツ、バニラ、ダークチョコレートの奥深い甘さ。
クリーミー
Hazelburn 10-year-old
失われた蒸留所「ヘーゼルバーン」の名がついたウイスキーです。
空気乾燥のみの麦芽を使用し、軽やかな味わいが楽しめます。
爽やかで華やかな仕上がりで、キャンベルタウンウイスキーの最初の一本におすすめです。
カラー:美しい黄金香り:焼きリンゴのようなスイートさ。
ハニカムとファッジノートがその後に続く味わい:爽やかな甘草。
バニラとハチミツの可愛らしい風味。
Hazelburn 12-year-old
豊かなモルトの味わいが楽しめます。
シェリー樽の影響が強めです。
カラー:鮮やかな琥珀香り:アプリコット、オレンジ、ママレードの甘さ。
かすかなチョコレートを感じる味わい:フルーティでエレガント。
イチジク、ナッツなどの風味がバランスよく混じる
グレンスコシア蒸留所
愛情をこめて「スコシア」または「オールドスコシア」とも呼ばれています。
1832年に創設されました。
しかし、2014年にLoch Lomond Groupによって買収。
現在の従業員はたった7名と少なく、スコットランドでも最も小さな蒸留所の一つです。
買収される前はブレンディッドウイスキーに使用されてきましたが、今後の予定としてはシングルモルトをメインに独自の成長を目指すことです。
海外にも目が向いており、イギリス国内外でキャンベルタウン産のシングルモルトスコッチウイスキーを展開すべく革新を続けています。
GLEN SCOTIA DOUBLE CASK
最高品質のバニラオーク樽で熟成されています。
バーボン樽とシェリー樽のダブルコンビネーションが絶妙。
キャンベルタウンのシングルモルトウイスキーの特徴である塩気を豊かに感じることができます。
スパイシーで絶妙なバランスです。
カラー:深い琥珀香り:クリームカラメル。
フルーティでドライな香り。
タフィーやファッジの甘さもある味わい:甘さとアルコールの刺激をわずかに感じる。
余韻の残る深い味わい
GLEN SCOTIA VICTORIANA
ディープ・カレッド・オーク樽によって仕上げられています。
非常になめらかなシングルモルトウイスキーです。
フルボディのスパイシーさとフルーティなアロマが絶妙。
ストレートで頂くのがおすすめです。
カラー:銅の深いカラー香り:クレームブリュレの濃厚な香り。
エレガントでかすかにオークを感じる味わい:ブラックカラントのジャムの甘さ。
甘く深い味わい。
ラストにはココアとキャラメリゼしたフルーツの深い甘さが残る
GLEN SCOTIA 1832 CAMPBELTOWN
グレンスコシア蒸留所の創業年がついたシングルモルトウイスキーです。
まさにキャンベルタウンらしいウイスキー。
箱には当時のキャンベルタウンの様子が描かれています。
カラー:深い琥珀香り:クリームカラメルとバニラのバックグランドノートを持つ潮風とスモーキーな香り味わい:ゴールデンシロップ、スパイス入りのリンゴ、バニラ。
軽いピーティさが絶妙なバランス
まとめ
激しい盛衰の歴史を持つキャンベルタウン。
ハイランドやスペイサイドと比べ泥臭く、塩の香りを含むのが特徴です。
ウイスキー初心者にはなかなか敷居の高いシングルモルトウイスキーですが、一度はまるとクセになること間違いなしです。
ほとんどの蒸留所が無くなった今でもウイスキーを造り続けていられるのは、他にはない魅力と情熱があったからこそ。
華やかな時代を今に伝えるキャンベルタウンのスコッチウイスキー、お気に入りを是非見つけてみて下さいね。