ウイスキーが世界中で愛され続ける6つの理由
「生命の水」を語源とし、長い歴史を有するウイスキー。
最古の記録は1494年、スコットランド大蔵省の文書に「アクア・ヴィテ(生命の水)を作らせた」という形で登場します。
ウイスキーは大麦、ライ麦、トウモロコシなど穀物を原料とし、世界中で愛され続けている蒸留酒です。
ここではウイスキーが世界中で愛され続ける6つの理由についてご紹介したいと思います。
目次
1.長い熟成期間を経て形成される味わいが絶品
ウイスキーの製造には長い年月を必要とします。
大麦を粉砕し、糖化させた麦汁を発酵させ、蒸溜を経て、加水し樽詰めして熟成させます。
熟成期間は10年は普通で、20年、30年、なかには50年のものもあります。
例えば「ザ・マッカラン50年」は上品で重厚感があり、神秘的であるとまで評されます。
樽に入れられたウイスキーの原酒は余分で不快な香りを空気中に発散させるとともに、空気を取り込んで酸化し、風味を増していきます。
樽材としてはホワイトオーク材やシェリー樽、バーボンでは内側を焦がした樽が用いられており、樽材からも影響を受けます。
香りや成分が原酒に交わることにより、原酒の色味が増すとともに、ウイスキー独特のまろやかな味わいが形成されていきます。
2.口に含んでから飲み終わった後まで味わい深い
アルコールの強さだけではなく、ウイスキーは繊細で多彩な味わいを持っています。
ウイスキーの味わいは、時間軸でみると、口に含んだときに舌で感じる味、次に口全体で感じる味、飲み込んだ時の印象、しばらく続く余韻の4つに分けられると思います。
特にシングル・モルトは時間による味わいの移り変わりをよく感じることができます。
3.色や香りを楽しむことができる
ウイスキーの色は一般的に琥珀色と表現されることが多いですが、多彩な色合いを持っています。
またウイスキーは長い年月をかけていろいろな香りが織り込まれるようにして生成されています。
そのため、ウイスキーをグラスに注げば、空気と触れ合うことによって、複雑で豊かな香りを放つわけです。
ウイスキーの香りは、果物や花、穀物、木、土などに例えて表現されます。
時間が経つにつれて、違う香りがどんどん表れていくのが特徴的です。
自分のお気に入りのグラスで、ウイスキーの色や香りを楽しみつつ、味わうことができたら最高ですね。
4.生産地や蒸留所によって多彩な個性がある
ウイスキーの5大産地
ウイスキーは世界各地で生産され、それぞれ特徴的な味わいを持っているのが魅力の一つです。
世界の主なウイスキーの産地は5か所あります。
スコットランド、アイルランド、アメリカ、カナダ、日本の5つです。
スコットランドで作られるスコッチ・ウイスキーは、ピート香によるスモーキーさが人気です。
アイルランドのアイリッシュ・ウイスキーは、風味のまろやかさが特徴的です。
アメリカン・ウイスキーは独特の香りを持つバーボンが中心を占めています。
カナディアン・ウイスキーは5大ウイスキーのなかで最も軽快な味わいとされます。
日本のウイスキーは生産が開始されたのは遅かったのですが、繊細な味わいで世界をリードするまでの存在となっています。
スコッチ・ウイスキーの4大地域
スコッチ・ウイスキーの生産地は大きく、ハイランド、ローランド、アイラ、キャンベルタウンの4つに分けられます。
ハイランドはスコットランドの北・西部、ローランドは中・南部、アイラはアイルランドとの国境近くの島、キャンベルタウンは西部のキンタイア半島先端付近に位置します。
ハイランドは辛口でピート香りが穏やか、ローランドはライトで柔らかい口当たり、アイラはピート香りが強め、キャンベルタウンはクリーミーでスムーズなのど越しといった大まかな特徴がありますが、個々の蒸留所ごとにさまざまな個性を持っています。
一つの蒸留所の原酒のみを用いて製造したものは、シングル・モルトと呼ばれ、ウイスキーの神髄とされています。
シングル・モルト―ザ・マッカラン12年
ハイランドのスペイサイドで製造される、世界中のモルトファンに愛される一本です。
スモーキーで甘い味わいが特徴です。
アイリッシュ・ウイスキー―ブッシュミルズ・シングル・モルト10年
世界最古の蒸留所と言われる伝説がある、ブッシュミルズ蒸留所が製造するアイリッシュ・ウイスキーを代表する一本です。
ドライでさらっとしている味わいです。
バーボン―ブッカーズ
ケンタッキー州で創業200年以上を誇るジム・ビーム社が秘伝の製法でつくるバーボンです。
焼けるような強めのアルコールが舌や口内に強烈な刺激を与え、刺激のなかに香りが見え隠れします。
カナディアン・ウイスキー―カナディアン・クラブ・クラシック12年
最初にウイスキーのビン詰め販売を始めたとされるハイラム・ウォーカーが製造するカナディアン・ウイスキーを代表する一本です。
シンプルで軽やかな味わいで、水割りで飲むのがおすすめです。
日本のウイスキー―ニッカ・ピュアモルト北海道12年
創業者竹鶴政孝がウイスキー作りを学んだキャンベルタウンに似ている土地であるとして、北海道に開設した余市蒸留所が製造する一本です。
ソフトでなめらかな味わいで、樽の香りが印象的です。
オン・ザ・ロックにするとよりスモーキーさが際立ち、水割りも合います。
5.様々な飲み方を楽しむことができる
ウイスキーにはいくつかの飲み方があります。
オン・ザ・ロックは氷とウイスキーが適度に交わった状態のうちに一気に飲む楽しみ方です。
ウイスキーとミネラルウォーターを1対1で割るのが、トワイス・アップ・スタイルです。
アルコールの刺激をやわらげ、ゆっくりウイスキーを楽しむことができます。
氷をたくさん入れ、ウイスキー1割に、残りペリエや炭酸水を入れる飲み方もあります。
のどの渇きを潤し、爽快感を楽しむことができます。
6.ボトルやパッケージまで個性的で美しい
ウイスキーのボトルやパッケージデザインは、味ととともに目を楽しませてくれます。
多くのボトルラベルには、熟成年数が目立つように表記されており、格調高い風格を漂わせています。
ボトルが入っている筒状の箱も気持ちを高ぶらせるものがあります。
ラベルには様々なものが描かれますが、スカリーワグはフォックステリアを描いており、犬好きにとってはたまらないでしょう。
ボトルのデザインで見ても、一般的なトール瓶のほか、単式蒸留器をモチーフにしたスペイサイド、直線的なデザインがおしゃれなカティサーク18年ディスカバリー、ゴルフボールをモチーフにしたオールドセントアンドリュース・クリアゴルフボール、名前の通り、鈴をモチーフにしたベル・デカンター、馬の飾りのボトルキャップを持つブラントン、美しいデキャンタボトルのI.Wハーパー12年、王冠をモチーフにしたクラウン・ローヤル・スペシャル・エディション、個性的なデキャンタボトルの軽井沢17年、帆船をモチーフにしたシップボトルなど、個性的で美しいボトルがたくさんあります。
まとめ
以上、ウイスキーが世界中で愛され続ける6つの理由についてご紹介してきました。
世界では様々なウイスキーが製造されており、それぞれ個性的な魅力を放っています。
ウイスキーは味や香りのほか、ボトル、パッケージに至るまで、知れば知るほど愛おしくなるお酒です。
この豊かな文化や人の営みを背景に持つすばらしいウイスキーを、決して飲み過ぎることなく、優雅に楽しみましょう。