ウイスキーの試飲もできます!余市蒸留所でウイスキー造りを見学しよう。
北海道余市町といえば、NHKの朝ドラ「マッサン」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
ここはニッカウヰスキーの余市蒸留所がある場所です。
日本のスコットランドとも言われるこの余市、ジャパニーズウイスキーを語る上で欠かすことはできません。
蒸留所には作業工程を見学できるツアーもあるとか。
余市蒸留所のツアーとウイスキーのおすすめを見てみたいと思います。
蒸留所のある余市町ってどんなところ?
余市町は北海道西部にあります。
近隣の小樽からは車で約30分、札幌からは約70分、千歳空港からは約110分かかります。
北海道内一の生産量を誇るワイン醸造用のブドウ園があり、「構造改革特別区域法」による「北のフルーツ王国余市ワイン特区」に指定されています。
また、観光農園としてナシ、ブドウ、リンゴ、サクランボなどがあります。
寒い北海道にあっても日本海を北上する対馬海流の影響を受けるため、道内では比較的温暖な気候です。
年間の気温の平均差は8度ほど。
日較差が大きいため、果実の栽培には適していると言われています。
このような気候がスコットランドと似ていると言われる所以です。
ニッカウヰスキーの「余市蒸留所」とは
ニッカウヰスキーの創業者「竹鶴政孝」がウイスキー造りの地と定めた北海道余市町。
蒸留所の開設から遥か時を経た現在でも、高品質のウイスキーが育まれています。
この場所は自然条件・気候など竹鶴政孝が厳選して選んだ場所です。
どんな特徴があるのでしょうか。
蒸留器へのこだわり
余市蒸留所で使用されている蒸留器は「ストレートヘッド型」と呼ばれるもの。
胴体部分に膨らみがなく、上部のラインアーム(冷却器へとつながるパイプのような部分)は下向きになっています。
この胴体とラインアームの形状が生み出すウイスキーは重厚でコクのある味わいだと言われています。
高度な技術を要する加熱法
余市蒸留所で行われているのは「石炭直火蒸留」と呼ばれるものです。
竹鶴政孝の創業当時から全く変わっていません。
熟練職人が長年の経験をもとに温度が上がりすぎないよう石炭をくべ続け、燃えカスを取り除くのです。
火をゆっくりと焚き、ゆっくりと蒸留するのが難しいポイント。
熟練の技がなければ不可能です。
この高度な技術を要する加熱方法は世界的に見ても稀で、おそらく余市蒸留所のみでしか行われていないそうです。
この工程が香り高く力強いモルトを生み出す決め手となります。
竹鶴政孝の遺志を受け継ぐ
余市に蒸留所を興す前、竹鶴政孝はスコットランドの蒸留所をまわってウイスキーの研究を行っていました。
勉強先の蒸留所の一つが「ロングモーン蒸留所」でした。
この蒸留所ではポットスチルは余市と同じ「ストレートヘッド型」を用い、蒸留法も当時は「石炭直火蒸留」でした。
今では本場スコットランドでも見かけることのない「石炭直火蒸留」の技は、国境を越え余市に伝えられ、時代を超えて今に続いているのです。
難しくても効率が悪くても伝統の技が受け継がれているのは、これこそが竹鶴政孝が造り上げた「余市モルト」を生み出す手法であるからです。
樽から生まれる豊富なバリエーション
ウイスキーの風味は樽による熟成で決まると言っても過言ではありません。
最初は無色透明の原酒(ニューポット)も、入れられる樽によって全く違うものへと変化するのです。
ニッカのブレンダーは樽の効用、10年以上先の原酒の在庫状況や市場の可能性を考慮して、できるだけ多くの個性あるモルトを生み出しています。
単体では個性が強すぎて飲みにくいとされるモルトも他の異なる原酒と合わせれば新しい美味しさを生み出したり、長期熟成によってクセがまろやかな風味へと変化することもあるからです。
ですからブレンダーたちは香りと味の幅を広げることに心を砕きます。
また、熟成の要とも言える樽を造る職人たちにも深い技術と知見が必要となります。
ブレンダーの創造的な要求にこたえるためには経験と技術の両方が不可欠となるのです。
ブレンダーと樽職人のそれぞれの技と技術が混じり合い、余市のモルトを支えています。
余市蒸留所へ見学に行こう
NHKのドラマ以来、入場者数が3倍以上にもなったという見学ツアー。
日本のウイスキーを知る上でも、またドラマの余韻を味わう上でもとても有益なものです。
どんなツアーなのでしょうか。
アクセスはどう?
蒸留所はJR余市駅から徒歩2~3分の距離です。
駅前の交差点から余市蒸留所の屋根が見えるほど。
ですからJRを使用して、蒸留所までは歩くというのが一番おすすめ。
ただし、電車の本数は少ないので時間の確認をお忘れなく。
ちなみにJR新千歳駅からですと約1時間半強、JR札幌駅からですと約1時間強となります。
駐車場もありますが、せっかく蒸留所に行くのですからウイスキーを試飲しない手はありません。
運転の必要がない公共交通機関がおすすめです。
予約は必要なの?
見学当日に蒸留所を訪れても、空いていれば大丈夫なようです。
しかし人気があるので断られることが多いとか。
やはり予約はしておくのが無難です。
ネットからでも出来るので、予定が決まればすぐにオンライン予約を行いましょう。
ガイド付き案内も自由見学も10名までならオンライン予約OKです。
それ以上になる場合はFAXまたは電話で行わなければなりません。
また予約は先着順。
希望日の3日前までならインターネットで受け付けてくれるので、早めに予約しましょう。
食べ物を持ち込んでもいいの?
ウイスキー蒸留所ということは、食品工場です。
衛生管理上、食品の持ち込みは禁止されています。
蒸留所内部には「ニッカ会館レストラン樽」という飲食施設もあるので、お腹がすいたらそちらを利用しましょう。
また、蒸留所内は全て禁煙です。
余市蒸留所の気になるツアー内容は…
ニッカウヰスキー余市蒸留所内はとても広大。
その広さはなんと東京ドーム3個分とか。
気になるツアーの内容はどんなものでしょうか。
まずは集合場所へ
余市蒸留所正門を過ぎた左側にガイド付き見学待合所があります。
ガイドさんをお願いしている場合はそこへ行きます。
待合所にはウイスキーの製造工程などがパネル展示してあります。
30分毎に案内してもらえます。
蒸留塔へ
単式蒸留器がならぶ蒸留塔へ行きます。
ニッカウヰスキーが創業より守り続けている伝統の技術や、現在まで使用されている貴重な釜などを見ることができます。
一号貯蔵庫へ
見学用に空樽のみが置かれていますが、樽の並びや様子は他の棟と同じです。
原酒が増え続けるにつれ、貯蔵庫も増え続け、現在では26もの貯蔵庫があるそうです。
竹鶴政孝由来の建物へ
ウイスキーの製造にかかわる場所を見学した後は創業者竹鶴政孝由来の場所を見学します。
旧事務所や旧竹鶴邸など、当時の趣を感じさせる建物を巡ります。
旧竹鶴邸は玄関ホールと庭園のみ一般公開されています。
ニッカ会館へ
こちらでは、ウイスキーの試飲が楽しめます。
飲めるのは各種1杯まで。
ソフトドリンクや氷、水、炭酸水もあり、各自で好みに合わせて頂けるようになっています。
ツアーが終わったら、ショップやウイスキー博物館へ
蒸留所の敷地内にはウイスキー博物館やショップもあります。
博物館ではウイスキーの歴史や製造工程の資料が豊富に展示してあります。
また、「マッサン」ファンに嬉しいのが竹鶴政孝やリタの資料も豊富に展示してあること。
ガイドツアーでは中に入らないので、終了後個人で行くのがおすすめです。
さらにここでは有料の試飲コーナーもありますので、もっといろいろ試したい方もおすすめ。
また、ショップではニッカウヰスキー製品を始め北海道の味覚やウイスキーのつまみにぴったりなチョコレートも販売。
お土産選びならここに立ち寄ることをお忘れなく。
まとめ
自由見学もできるニッカウヰスキー「余市蒸留所」ですが、おすすめはやはりガイドさんに説明してもらいながら回るツアーです。
運が良ければマンツーマン、あるいは自分たちのグループだけ、ということもあるようです。
見るだけではわからない歴史や発見を教えてくれますよ。
蒸留所をじっくりと堪能するなら2~3時間は最低でも欲しいところ。
旅行の予定が決まったら、余裕をもって予約し、ゆったりしたタイムスケジュールを組むことをおすすめします。
余市蒸留所のツアーはウイスキーの試飲もついていてとてもお得。
ウイスキーに興味がなくても、その歴史だけでも十分楽しめそうです。
おすすめの蒸留所ツアー、是非体験してみて下さいね。