シングル・モルト・ウイスキーと同じ麦100%の蒸留酒は他にありますか?

ウイスキー

シングルモルト ウイスキー グレンフィディック12年 700ml

お酒には醸造酒と蒸留酒がありますが、ウイスキーは蒸留酒で、大麦、ライ麦やトウモロコシなど穀物のお酒です。

このうち、シングル・モルトと呼ばれるモルト・ウイスキーは100%麦が原料です。

ほかにも100%ライ・ウイスキーも麦100%ですが、日本の全麦焼酎も麦の蒸留酒です。

しかし、樽熟成というキーで分けると、ウイスキーはすべて樽熟成しますが、焼酎は樽熟成しないものが大半です。

麦焼酎の中から、樽熟成をした銘柄を探し出し、これらを飲み比べてみるのは如何でしょうか?



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シングル・モルト

ウイスキーは、ほとんどの銘柄がトウモロコシを主原料としたグレーン・ウイスキーとブレンドされ、ブレンデッド・ウイスキーとして市場に出ています。

癖がなく、芳醇で香りの良いウイスキーとして人々に愛されています。

一方、調合用のウイスキーとしての位置づけにすぎなかったシングル・モルトは、スコッチ・ウイスキー「グレンフィディック」の成功を受けて、次々と発売されて、ブームを引き起こしました。

本場、スコットランドにはシングル・モルトを製造する蒸留所は数多くありますが、日本にもサントリーの「山崎」と「白州」、ニッカの「余市」や「竹鶴」などがあります。

これらは、毎年のように海外の権威あるウイスキーのコンペで賞を受賞している日本を代表する名酒です。



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100%ライ・ウイスキー

高い比率でライ麦を使ったライ・ウイスキーは、いくつかの銘柄が販売されていますが、100%ライ麦のライ・ウイスキーは、カナダでは「アルバータ・プレミアム」だけです。

アメリカでは、アンカー醸造所(サンフランシスコ)の「オールド・ポトレロ・シングルモルト・ウイスキー」があります。

18世紀当時の製法を再現したスモールバッチ品で、希少性が高いためプレミアム・ウイスキーになっています。

100%発芽ライ麦を使用しており、アメリカでも数少ない100%ライ・ウイスキーです。

ハーブの香りのような甘い香り、芳醇な味わいと濃縮された味わいが特徴です。

オランダではズイダム蒸留所の「ミルストーン 100 ライウイスキー」が100%ライ麦のウイスキーです。

オランダに古く伝わる、風車の力で挽かれた穀物の香りが特徴的です。

麦焼酎

焼酎には原料によって色々な種類がありますが、麦だけでつくる焼酎を全麦焼酎と言います。

麦のデンプンはそのままではアルコール発酵しませんので、発酵の前に、酵素でデンプンを糖に分解する必要があります。

約100種類の酵素を含む麹には、デンプンを糖に分解する働きがあります。

麹を米で培養した米麹を使った場合は、麦焼酎でも麦100%とは言えません。

麹菌を麦で培養した麦麹を使のが、麦100%焼酎で全麦焼酎と呼ばれます。

全麦焼酎は数多くの銘柄が販売されていますが、木製の樽で熟成したものは少ないのが現状です。

樽で熟成して液色が琥珀色に変化(透明度が下がる)すると焼酎に該当しないというのが、税法上の決り(ウイスキーになるから?)で、樽熟成した全麦焼酎にも濃い液色をしたお酒はありません。

製造工程・原料

原料~糖化~醸造

麦のデンプンはそのままではアルコール発酵しませんので、発芽させた麦芽の糖化酵素でデンプンを糖化させる必要があります。

その後、糖化された糖質(ブドウ糖など)を酵母でアルコール発酵させます。

モルト・ウイスキーの原料は大麦で、発芽させた大麦の麦芽(モルト)を糖化につかいます。

麦芽を乾燥させるために燃やすピート(泥炭)の香りがスコッチ・ウイスキーの特徴で、スモーキー・フレーバーといいます。

ライ麦を原料にしたウイスキーはライ・ウイスキーですが、通常はライ麦以外にトウモロコシを原料として加え、糖化には大麦麦芽を使います。

ライ麦はタンパク質が多いため、糖化が起こりにくい麦であると言われますが、100%ライ麦のライ・ウイスキーは、糖化にも大麦麦芽(モルト)は使っていません。

全麦焼酎も大麦だけを原料にし、糖化に使う酵素は黒麹や白麹という麹菌を使って大麦で培養した麦麹を使用します。

蒸留~貯蔵・熟成

醸造を終えると単式蒸留器を使い、アルコールを濃縮して木製の樽で貯蔵し、熟成させます。

シングル・モルトは単式蒸留器にで2回蒸留し、蒸留を終えるとホワイトオークやミズナラの新樽、シャリー酒を貯蔵したシェリー樽やバーボン樽で貯蔵します。

貯蔵すると無色から芳醇な琥珀色の液体に熟成します。

カナディアン・ウイスキーは単式蒸留器で蒸溜するフレーバリング・ウイスキーと連続式蒸留機で蒸溜するベース・ウイスキー(どちらも100%ライ麦の原酒)をブレンドして樽に詰めています。

貯蔵にはオーク樽の新樽と古樽を使い、4~5年熟成させます。

全麦焼酎は本格焼酎の区分になりますから、単式蒸留器で蒸留します。

熟成はミズナラ樽やオーク樽で貯蔵して行ないます。

おすすめの銘柄

シングル・モルト

シングル・モルトではサントリーの「山崎」と「白州」がおすすめです。

それぞれ、山崎が大阪府の山崎蒸留所、白州が山梨県の白州蒸留所で造られます。

複数の単式蒸留器でそれぞれ2回の蒸留後、いろいろな種類の木製樽で熟成された原酒をヴァッティングしています。

バニラ、柑橘系、チョコレート、スパイシーなど特徴のある原酒が生まれますが、これらの絶妙に組み合わせによってシングル・モルト・ウイスキーが生まれます。

スコッチ・ウイスキー特有のスモーキー・フレーバーですが、山崎はスモーキーさを感じにくいですが、白州は仄かに香ります。

100%ライ・ウイスキー

おすすめのライ麦100%ウイスキーはアルバータ蒸留所のカナダの至宝といわれる「アルバター プレミアム」です。

アルバータ蒸留所は1946年に創業したライ・ウイスキー一筋の蒸留所です。

アルバータ産に限定したライ麦を使っていますが、ライ麦はタンパク質が多いため、糖化が起こりにくいと言われます。

その難題を特許を取得した糖化酵素を使って解決しています。

カナデアン・ウイスキーの特徴でもある軽快でまろやかな口当たりを残しながら、フルーティーで仄かにスパイシー、バニラの甘さが加わっています。

次のおすすめ銘柄はオランダ・ズイダム蒸留所の「ミルストーン 100 ライウイスキー」です。

100%ライ麦を使用し、アメリカンオークの新樽で熟成され、アルコール度数50%と高めですが、しっかりとしたフルーティな香りと、バニラの香味が絡み合う、スパイシーなライウイスキーです。

全麦焼酎

本格焼酎売り上げ高トップを霧島酒造と争う、大分県宇佐市にある三和酒類の「いいちこスペシャル」がおすすめです。

原料に大麦と大麦麹を使い、樹齢100年以上のオーク材で作った樽で貯蔵してあります。

新酵母を開発したことにより、原料の大麦からスパイシーでバニラのような香りを抽出できるようになったので、香りがふくらみ、味もまろやかになっています。

次におすすめなのが、宮崎県高鍋町の酒造メーカー 黒木本店より発売されているプレミアム麦焼酎の「百年の孤独」、厳選された大麦と麦麹の本格焼酎です。

蒸留した原酒をミズナラ樽とフレンチオーク樽の小ぶりの樽で熟成し、芳醇で、しっかりとした味わいに仕上がっています。

ウイスキーに近い香りが人気の要因です。

樽の香りからウイスキーでは?

と思ってしまいますが、ウイスキーと違って麦焼酎ならではの麦の味が広がります。

まとめ

麦だけで造った蒸留酒、シングル・モルト・ウイスキー、100%ライ・ウイスキーおよび全麦焼酎をご紹介しました。

全麦焼酎は数ある銘柄の中から樽熟成される銘柄を抽出しましたので、これらを飲み比べて下さい。

個性豊かな香味を味わうストレート、大きい氷を使ったオン・ザ・ロック、氷でしっかり冷すとお酒の個性をやわらかに包む水割りなど、飲み方はいろいろです。

深い味わいをじっくり堪能下さい。

ウイスキー