いも焼酎の伝統的な飲み方と薩摩の酒器

焼酎

霧島酒造 チューパック白霧島 25度 1800ml

いも焼酎は、最初はあの独特の香りが気になりますが、慣れてくるとだんだん引き込まれて、好きな人は本当に大好きになる焼酎です。

そのようにいも焼酎に魅せられて、さらにその味わい方を極めたいと思われる通の方もいらっしゃるでしょう。

そんな方に、薩摩の伝統的な酒器「黒ぢょか」を使った、昔ながらの本格的ないも焼酎の飲み方をご紹介します。



いも焼酎の通の飲み方

いも焼酎はお湯割りが最も一般的な飲み方です。

焼酎7に対してお湯が3くらいで、人肌くらいにします。

最近は水割りやオンザロックも普通になってきましたが、昔はほとんどがお湯割りでした。

お湯割りは、いも焼酎の独特の香りを最も引き立たせる通の飲み方です。

お湯割りは普通、グラスや陶器の湯飲みにお湯を注いで飲みますが、さらに本格的味わいを求める方は、薩摩伝統の酒器「黒ぢょか」を使って、いも焼酎をお燗にしてみませんか?



黒ぢょかとは

黒ぢょかは、鹿児島県や宮崎県で昔からいも焼酎を温めるために使われた平べったい急須のような酒器です。

昔から薩摩地方では「薩摩焼」という陶器が造られていましたが、豪華な絵付けをした白薩摩(しろもん)と、庶民が使う黒薩摩(くろもん)に分かれていました。

この黒薩摩の土瓶は「ぢょか」または「ちよか」(千代香)と言われていて、用途によって「茶ぢょか」「薬ぢょか」「焼酎ぢょか」などがあり、薩摩の人々の生活に溶け込んでいました。

現在は「ぢょか」と言えば、大抵焼酎を温めるものです。

鉄分を多く含む土で焼き上げて色が黒いので、「黒ぢょか」と言われることが多くなりました。

黒ぢょかをどうやって手に入れるか

黒ぢょかは特殊な酒器なので、普通の店で手に入れるのは困難です。

鹿児島や宮崎を旅行した時にお土産として買う方法はありますが、そうでなければネットショップで購入するのが良いでしょう。

品質によりますが、安いものは猪口とセットで2000円くらいからあります。

昔からの薩摩焼のものは直火にかけられるように作られていますが、ネットで売られているものはそれぞれなので、各製品の説明をよく読みましょう。

割水で準備しておきましょう

いも焼酎をおいしく飲むための昔ながらの知恵があります。

「割水」と言って、前の晩から焼酎を水で割って置いておくのです。

昔の薩摩の家では、来客がある予定のときは、あらかじめ黒ぢょかに水で割った焼酎を入れて準備していました。

こうすると焼酎と水がなじんでまろやかな味になるのです。

一日置けば十分ですが、3日から1週間置くと、さらにおいしくなります。

割水をした焼酎は、常温で保管して大丈夫です。

燗にして飲むときだけでなく、水割りで飲むときも、この「割水」をするとおいしさが引き立ちます。

水の割合は焼酎7対水3が通の割合ですが、強すぎれば6対4、5対5でも大丈夫です。

このとき使う水は、ミネラルウォーターなどの軟水にしましょう。

黒ぢょかを火にかけてお燗にする

さて、これからお燗です。

割水をしたいも焼酎を入れた黒ぢょかを火にかけます。

黒ぢょかが直火にかけられるものなら良いのですが、そうでなければ電気コンロかストーブの上に置きましょう。

また直火にかけた大き目の鍋の中に黒ぢょかを入れて湯煎にする方法もあります。

直火にかけられるものも、火が強すぎると割れることがあるので、魚用の網などに乗せて遠火にする方が安全です。

温めすぎるとアルコールや香りが飛びますので、人肌から42~3度ほどのぬる燗にしましょう。

猪口に注いで味わう

黒ぢょかの焼酎が温まったら、猪口にゆっくり注いで、いも焼酎の香りと味を楽しみましょう。

右手に黒ぢょかを持ち、左手の猪口で味わうというのが、昔からのいも焼酎のたしなみ方です。

飲み終わった後の黒ぢょかは、洗わずそのまま置いておきます。

そうして何度も焼酎を入れて温めることで、長い年月のうちに内部に焼酎がしみ込んで、深い味のいも焼酎が飲める黒ぢょかが出来上がるのです。

焼酎サーバー

割水したいも焼酎を置いておく適当な容器を探している方におすすめなのは「焼酎サーバー」です。

陶器の甕に蛇口が付いたようなもので、これもネットで買うことができます。

甕の中に数日置くことで、水と混ざった焼酎が熟成されて飲みやすいまろやかな味になります。

割水して置いているときに光が当たると熟成が妨げられるので、光が入らない陶器のサーバーで熟成させるのが理想的です。

薩摩切子のグラス

黒ぢょかを使ったお燗の伝統的ないも焼酎の飲み方をご紹介しましたが、中にはお燗はどうしても苦手、水割りかロックで楽しみたいという人もいらっしゃるでしょう。

そういう方でも本格的な薩摩気分が味わえるアイテムが「薩摩切子のグラス」です。

薩摩切子は、幕末に長崎に伝来したガラス製造技術を10代薩摩藩主、島津斉彬が薩摩藩に取り入れて生産を始めたガラス製品で、「篤姫」の婚礼道具にもなりました。

カットガラスの技術に、鮮やかな色を加えたのが特徴で、美しく華やかなガラス製品です。

薩摩切子のグラスでいも焼酎が飲めるバーなどもあり、いも焼酎とともに注目されている薩摩の伝統アイテムです。

まとめ

いも焼酎の通の飲み方を、伝統的な酒器や道具とともにご紹介しました。

黒ぢょか、焼酎サーバー、薩摩切子のグラス...これだけそろえば、すでにいも焼酎マニアと言えるかもしれません。

黒ぢょかを手に、西郷隆盛や大久保利通など昔の薩摩の志士に思いを馳せ、薩摩隼人や薩摩おごじょになりきって飲めば、さらにいも焼酎の味わいが深まることでしょう。

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