世界に注目される「ジャパニーズウイスキー」4銘柄のご紹介
2010年代に入ってから、ジャパニーズウイスキーへの注目が集まっています。
ウイスキーの本場は欧州…という考え方は終わりを見せており、世界の三ツ星レストラン・バーでも"ジャパニーズ"を取り扱うことが多いのだとか。
日本人である我々だからこそ一度は味わいたい、低価格~お祝い価格までの4種の銘柄を、ここで紹介していきます。
海外人気No.1のブレンデッド
“マルス"の後継者、岩井トラディション
ジャパニーズウイスキーの生みの親と言われている、岩井喜一郎氏の名前をもつウイスキー。
信州名物となっている"マルス"の正統後継で、小麦粉の豊かな香り・ナッツ・ピリッとした柿の風味もあります。
しっかりと麦の香りを楽しみたい人におすすめ。
海外では香りの高さが好評で、かつ700mlで/3000円切りの超低価格がますます人気を呼んでいるそうです。
欧州のバーでも競うように取り扱いを始めており、東日本の観光客がお土産に求めるケースもあるのだとか。
国産の低価格ブレンデッドとしては、非常に完成度の高いものと言えるでしょう。
しかしこの仕上がり・コスパで、なぜか国内のバーではあまり取り扱いがないそうです。
行きつけのバーで楽しみたいかたは、取り寄せとキープをお願いしたほうが良さそう。
地元の信州ではよく飲まれているものの、まだまだ知名度向上が待たれます。
おすすめの飲み方は、定番のロック・ハイボール。
出来ればウイスキーグラスを用意したほうが、特徴をしっかりと楽しめるでしょう。
甘いカクテルなどは風味が失われるので、まずはストレートで味わっていただきたい一品です。
日本酒の杜氏が作ったウイスキー!?
播磨の誇り「あかし」
西日本の酒蔵といえば、灘~西灘・江井ヶ島。
硬派に日本酒を作っているイメージですが、なんと100年近く前からウイスキー製造も行っています。
その証として、蒸留所の看板には「1919」の文字が。
実はこれ、有名な「山崎」の操業より5年も早い年のことです。
日本最古の蒸留所と言って、差し支えはないでしょう。
ここには秘話があって、蒸留所の完成したときもまだ、創業者はスコットランドに留学していたそうです。
そんなわけで、ウイスキー生産開始には、まだ10年も待つことになります。
このような様々な経緯があり、地元・播州地方では「洋酒も日本酒もいける」と非常に名高い酒蔵です。
まさにご当地酒・ジャパニーズご当地ウイスキーと言えるでしょう。
本題に戻って、ここで生産されているウイスキー「あかし」について。
こちらも驚きの低価格で、シングルモルトにも関わらず500ml/1500円近くで販売されています。
地元民の間ではよく飲まれているとのことですが、価格を見れば納得。
気になる味わいですが、香りはかなり弱めです。
嗅覚で感じたい人には、少し不向きと考えられます。
しかし口に含むと、麦・チェリー・ナッツの香りが一気に膨らみます。
こうした意外性をもつのが、このウイスキー最大の特長。
おすすめの飲み方ですが、ハイボールだと味気なく感じるかもしれません。
家庭的な風格のお酒なので、家でのチョイ飲みと考えて、ロック・ストレートでグイっといくことをおすすめします。
複雑さは適度・バランスが絶妙な味わいで、コーヒーやクリーム系/パッションフルーツ系フレーバーとのカクテルもおすすめ。
つまみも特に選ばないので、ご飯と一緒に味わうのもアリです。
庶民的なのに決してプライドを失わない、日本の誇りの一品。
北陸の日本酒メーカーもウイスキー作りに参戦
三郎丸
北陸の蔵元・若鶴酒造は、日本酒醸造150年の歴史を誇るブランド。
近年の「ジャパニーズ」ブームに後押しを受けて、なんとウイスキー醸造を始めたそうです。
醸造所は旧軍需工場を改築したもので、至る処に歴史が刻まれています。
工場見学の間口も広く設けており、富山を訪れるドライブ好き・バイク乗りの間では名所になっているのだとか。
海鮮類にも囲まれたこの地で、ご当地酒として地域によく知られているのが、「三郎丸」。
これまで紹介してきた銘柄とは打って変わって、こちらは限定生産のシングルモルト・年代にもよりますが500ml/30万円以上で取引されている高級酒になります。
最近行われた販売では、欧州の三ツ星ホテルのバー・その他ウイスキーマニアに買い占められたそうで、国内で味わえる機会はそうそうないでしょう。
気になる風味ですが、香りに尽力したと蔵元が語る通り、多少低めの温度でも膨らむ、甘い・豊かな香りが特徴となります。
冷やしたグラスでも飲めるそうで、飲み方の正道を行く必要はまったくないのだとか。
しかし、その希少性から「ウイスキーグラス&ストレートで」愛飲されることが多いようです。
また、海鮮類・コメの名産地らしく、地元の隠れ家的バーでは「食事後の口直し」として飲まれることも多いのだとか。
すきっ腹で飲んでも、お腹を十分に満たした後でも、雰囲気を煙に巻いてしまうほどの豊かな方向が特徴のようです。
2017年10月現在Amazonで確認したところ、90年生産のものが500ml/55000円前後で販売されているようです。
この機を逃せば、入手は非常に困難になるでしょう。
ご自身で楽しむのも勿論のこと、ウイスキー好きの大切なご友人の節目に贈答するのもアリでしょう。
知る人ぞ知る、喜ばれること間違いなしの一品です。
岡山から乗り込んできたダークホース
ニューボーンウイスキー
こちらも100年以上の歴史をもつ、岡山の「宮下酒造」から。
日本酒醸造から始まり、近年はリキュール・ビールを主力商品としていたメーカーです。
2011年に100周年を迎えたのを記念にウイスキー醸造の許可をとり、2015年にはドイツから最新の蒸留器を取り寄せたのだとか。
長年培っていたビールの技術を活用し、ジンの開発と同時並行で進めたそうです。
発売したときには地元テレビで大々的に取り上げられ、今も「町おこしウイスキー」として広報活動が繰り返されています。
お値段もシングルモルトとしては500ml/6000円前後とお得で、中国地方お住まいの方は必見の一本です。
気になるお味ですが、ピートの香り豊かなシングルモルトらしい仕上がり。
口に含んだ時もキリッとした香りが漂い、辛口が好きな方にはたまらない仕上がりとなっています。
男の酒といった印象が強く、日本酒・ジンなどの愛好家には特におすすめ。
気になる飲み方ですが、ストレートはもちろんのこと、コニャックなどとの相性も抜群です。
ハイボールは味が分かりづらくなってしまうので、初めて呑むかたは是非ロック・ストレートで。
地元のかたは、コーヒーや紅茶に垂らして楽しむ…という手法も行っているそうです。
余談にはなりますが…現在、日本各地で「ニューボーンウイスキー」という銘柄のものが出ています。
ここ数年のジャパニーズブームで、各地の日本酒・ビールの蔵元がウイスキー製造に一斉に乗り出し、地元アピールを行っているのだとか。
ここで紹介した岡山の蔵元だけでなく、他の地方のものを試してみてもよいでしょう。
まとめ
どのウイスキーも、日本人らしいひたむきな研究・試行錯誤により、味覚に強く訴えかける繊細な味わいが特徴です。
蒸留所の地元でなければ入手しづらい銘柄も紹介しましたが、是非「お取り寄せ」をしてみてください。
ご自身で楽しむのは勿論、行きつけのお店に遠い地のウイスキーをプレゼントする・ご友人の節目に贈るのもおすすめです。