影のウイスキー!?グレーン・ウイスキーは如何でしょう

ウイスキー

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現在のウイスキー市場で、主流的な地位を占めているブレンデッド・ウイスキーは70%程度グレーン・ウイスキーが配合されています。

ウイスキーのフレーバーに大きな影響を与えているだけでなく、ブレンデッド・ウイスキーの軽く滑らかな口当たりも、そのほとんどが、グレーン・ウイスキーによるものといえます。

グレーン(Grain)とは穀類のことで、モルト(Malt)・ウイスキーが大麦麦芽を原料とするのに対して、グレーン・ウイスキーは発芽前の穀類を主原料にするため、こう呼ばれるようになりました。



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グレーン・ウイスキーの製造方法

原料~蒸留

主原料はとうもろこし、ライ麦などですが、穀類に含まれるデンプンを糖質に変える糖化酵素として大麦麦芽を混ぜ合わせ(15~25%)て、穀類の澱粉を糖化します。

まず、ハンマーミルで細かく粉砕した穀類を、クッカーと呼ばれる圧力釜でスチーム加熱し、デンプンを糊状にして、麦芽を加えて糖化します。

冷却した後に、ステンレス製の発酵タンクへ送り、タンク内で約3日間発酵させ、アルコール分約8〜10%の発酵液(モロミ)を造ります。

一般的に、蒸留は連続式蒸留機を使って行なわれます。

蒸留器はモロミ塔、抽出塔、精溜塔や精製塔など4~10塔の多塔からなり、塔の中にはそれぞれ数十段の棚があります。

そのため、一度の蒸留で複数回の蒸留が行われることになり、モルトの風味とは異なるグレーン独特の軽く、穏やかなウイスキーが生まれます。

多塔式の連続蒸留器以外にも、キリンの富士御殿場蒸留所ではケトル(バッチ式蒸留器)、ダブラーという日本では珍しい蒸留器も併用されており、ニッカの宮城峡蒸留所ではカフェ式蒸留器が使われています。

これらの蒸留器では、グレーン由来の香味が多く残ります。

原料である穀類の特性を目立たないよう蒸溜する方法もあれば、このように、強調するような蒸溜法もあるのです。

貯蔵樽の影響

蒸留後、原酒は木製の樽に詰められて、長期間貯蔵・熟成されますが、最もよく使われる樽がバーボンの古い樽です。

この樽で貯蔵すると、2〜3カ月で甘いバニラの風味に変わっていき、液色も付いてきます。

長期熟成された頃には滑らかさと甘味が増し、オーク香、フルーティーな風味も加わります。

シェリー樽も使用されますが、シェリー樽はバーボン樽よりも原酒に与える影響が大きいのが特徴で、バーボン樽よりも甘く、ドライフルーツを思わせる風味が際立ち、2年間ではっきりとした液色と風味が備わります。

5年以上貯蔵して熟成された後、ブレンドされて瓶詰めされます。



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サントリー/知多蒸留所

愛知県知多半島に昭和47年に設立されたサントリーのグレーン・ウイスキーを製造する蒸溜所で、独自に開発された2塔~4塔まで組み合わせが変えられる多塔式連続蒸溜器があり、クリーン、ミディアム、ヘビーの3つのタイプの原酒を造っています。

蒸留された3タイプの原酒はバーボン樽、スパニッシュオーク、ワイン樽に詰められ、個性豊かな香味を持つ原酒へと熟成されます。

サントリーウイスキー 知多

サントリー ウイスキー 知多 700ml

数種類の樽に詰められ、長期熟成された5~15年の幅広い熟成年数のグレーン原酒をブレンドして生まれたのが、「サントリーウイスキー 知多」です。

液色は独特の明るい黄金色、ほのかな甘い樽香と口当たりがよく軽やかな味わい、きれいで、ほのかに甘い余韻が特長です。

おすすめはハイボールで、優しい香りとほのかな甘みが生きる飲み方です。

ニッカ/宮城野蒸留所

宮城県仙台市にある昭和44年に設立されたニッカウヰスキーの蒸留所で、モルト・ウイスキーやグレーン・ウイスキーを製造しています。

蒸溜は平成11年に移設されたカフェ式連続式蒸溜器が使用されますが、カフェ式連続蒸溜器は、旧式なので温度管理が難く、効率もよくありませんが、風味の微妙な変化を緻密に管理すれば、華やかな香りや深みを原酒にもたらすといわれています。

ニッカ カフェグレーン

ニッカ カフェグレーン 700ml

おすすめの「ニッカ カフェグレーン」は、通常のグレーン・ウイスキーに比べて、カフェ式連続式蒸溜器ならではの、トウモロコシ由来の甘さがしっかりと残っています。

樽由来のバニラ香、チョコレートのような甘い香りや軽く伸びのある芳香があり、軽やかな舌触りと蜂蜜のような甘さ、軽快なボディが特徴です。

キリン/富士御殿場蒸留所

静岡県御殿場市にある昭和48年に設立されたキリンディスティラリーの蒸留所で、モルト・ウイスキーやグレーン・ウイスキーを製造しています。

マルチカラム(多塔連続式蒸留器)、ケトル(バッチ式蒸留器)、ダブラーという3種類の蒸留器を保有しており、特徴の異なる多様なグレーン・ウイスキーを造り分けています。

マルチカラムでは味や香り成分が少ないグレーン原酒、ケトルでは味や香りが多く残り、ダブラーでは最も香味成分が残るヘビーなグレーン原酒が造られます。

富士御殿場蒸溜所 シングルグレーンウイスキー AGED 25 YEARS

ケトル(バッチ式蒸留器)で蒸留された香味豊かな原酒を、25年以上じっくりと古樽で熟成した一本、「富士御殿場蒸溜所 シングルグレーンウイスキー AGED 25 YEARS」です。

フルーティな香り、濃厚でありながら、さらりとした甘い香味があります。

スコットランド/ロッホ・ローモンド蒸留所

ロッホ・ローモンド湖はグラスゴーの北西、ロッホ・ローモンド及びトロサックス国立公園の中心地で、英国で最大の淡水湖です。

ロッホ・ローモンド蒸留所はローモンド湖の南端から流れ出るリーベン川の畔、アレキサンドリアにあります。

独立系の蒸溜所で、モルトもグレーンも必要な原酒は全てを生産し、樽工場や貯蔵庫も持って、ほぼ完全自給体制ができ上っています。

ロッホ・ローモンド シングル・グレーン

ロッホ・ローモンド 18年 1996 セレクト・グレーン (マーレイ・マクダヴィッド) 46度 700ml [並行輸入品]

フレンチオークのワイン樽で熟成させたシングル・グレーン・ウイスキー「ロッホ・ローモンド シングル・グレーン」がおすすめです。

大麦麦芽を想起させる香り、リンゴとおだやかなレモンピールの香り、さわやかで繊細な味わいとバニラの甘さ、そしてベリーのようなジューシーさが後口に残ります。

スコットランド/キャメロン・ブリッジ蒸留所

スコットランドの西部、パースの南、エジンバラの北に位置するキャメロン・ブリッジ蒸留所は1824年に設立され、世界で最初にグレーン・ウイスキーを製造した蒸留所と伝わります。

1997年にギネスとグランド・メトロポリタンの合併で誕生した世界最大級の大手酒造メーカー・ディアジオの系列ですから、この蒸留所のグレーン・ウイスキーはジョニーウォーカー、ブラック&ホワイト、J&B、オールドパー、ホワイトホースといった有名なブレンデッド・ウイスキーの原酒になっています。

キャメロン・ブリッジ シングル・グレーン

キャメロン ブリッジ 700ml 40度 [並行輸入品]

おすすめの「キャメロン・ブリッジ シングル・グレーン」は、シェリーとキャラメルの特徴を持つまろやかなシングル・グレーンです。

柔らかく、樽や原料に由来する甘い香味をもち、口に含むと柑橘系の風味が広がります。

スコットランド/ガーヴァン蒸溜所

ガーヴァン蒸溜所は、ローランド地方エアシャーにあるグレンフィディックで有名なウィリアム・グラント&サンズが所有するグレーン・ウイスキーの蒸留所です。

1963年創業で、キャメロン・ブリッジ蒸留所の拡張工事が行われるまで、スコットランド最大の生産量を誇っていました。

ガーヴァン パテントスティル No4

ガーヴァン パテントスティル NO4 42度 700ml [並行輸入品]

カーヴァン蒸留所のグレーン・ウイスキーは、ほとんどがブレンデッド・ウイスキーの原酒として納品されていましたが、「ガーヴァン・パテントスチル・シングル・グレーン」シリーズを発売。

このシリーズの1本が、おすすめの「ガーヴァン パテントスティル No4」です。

1831年にイーニアス・コフィが考案し、パテントをとった連続式蒸留器にちなんで名付けられました。

蒸留に使用されるNo.4蒸留器は、1992年からガーヴァン蒸留所で稼動しています。

まとめ

グレーン・ウイスキーはブレンデッド・ウイスキーのベースとして使われる原酒であるため、香味に乏しいという評価が一般的でした。

連続蒸留器で高濃度に蒸留するため、香味成分まで除去してしまうのが一因と考えられますが、今回ご紹介したグーレン・ウイスキーは、それぞれ独特の方法で蒸留され、様々な木樽で熟成された原酒がブレンドされています。

そして、ほのかな甘く、素晴らしい香りと後味を持つウイスキーとなって世に送り出されました。

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