イノシシの紋章が目印!ドイツの「ハーデンバーグウィルテン」から、おすすめブランデーを見てみよう。
ブランデーと言えば「コニャック」や「アルマニャック」。
言わずと知れたフランス産です。
では、お隣のドイツではどんなブランデーがつくられているのでしょうか。
こちらで有名なのは「ハーデンバーグウィルテン」というブランドが所有する「ウィルトナー」のブランデー。
ドイツ最古の蒸留所とも言われ、現在もハーブリキュールが人気です。
「ハーデンバーグウィルテン」とドイツのブランデーを見てみたいと思います。
目次
ドイツのアルコール事情とは…
日本では20歳になるまでアルコールを飲む事は法律で禁止されています。
それでは海外の他の国はどうでしょうか。
飲酒に緩そうなイメージのあるアメリカは21歳。
州により細部は異なるそうですが、意外に厳しいですね。
インドやイギリスは18歳から許可されています。
それではドイツはどうかと言いますと、公共の場におけるワイン・ビールの購入・飲酒は16歳から認められています。
ウイスキーやブランデーなどのスピリッツは18歳から。
さらにアルコールとジュースを混ぜたものは、親と一緒なら14歳から許されるそうです。
こんなに若い頃からお酒が許可されているなら酒豪も多そうですよね。
ドイツも州によって規定が細かく異なるらしいですが、日本とはかなり違います。
ドイツでの一番人気のアルコールはやはり圧倒的にビール。
誰もが豪快にビールを飲みます。
ドイツではビール=健康的というイメージがあるようで、低年齢からでも許可されているようです。
ワインも食前食後に嗜まれますが、ビールの勢いには敵わない模様です。
さらにブランデーはといいますと、それほどポピュラーなものではありません。
どちらかというとワインを蒸留したものにハーブやフルーツをブレンドした、フルーツブランデーやハーブブランデーの方が日常的に楽しまれているようです。
ドイツのブランデーはどう?
ドイツ、特に東部では通常のブランデーよりは「カットブランデー」と呼ばれるものの方が一般的に広く親しまれています。
カットブランデーとはフルーツではなく、穀物で造ったブランデー。
有名なところではフィリピンの「エンペラドール」がありますね。
こちらはフィリピンでは「ブランデー」として販売していますが、EUでは認められていません。
そんな「カットブランデー」はドイツでも製造され、普及しているのです。
普及しているのが特に東部、というのは東西冷戦時代の影響。
東ドイツではブランデーが不足し、変わりとして製造されたのがこのカットブランデーだったのです。
アルコール度数は低めで、飲みやすいのが特徴。
通常のブランデーと異なり、冷やしてショットグラスで提供されます。
ドイツのNO3スピリッツメーカー!「ハーデンバーグウィルテン(Hardenberg-Wilthen AG)
「ハーデンバーグウィルテン」はドイツの飲料メーカー。
ウイスキーやリキュール、カットブランデーや通常のブランデーと幅広いブランドを所有し、販売しています。
カットブランデーで最も好まれているという「Wilthener Goldkrone」もこちらから販売されている商品の一つです。
300年の歴史を持つ蒸留会社!
ハーデンバーグウィルテンはドイツの「Nörten-Hardenberg」に本社を持ちます。
もともとはスピリッツの蒸留所として1700年にスタート。
ハーデンバーグに造られた最初の蒸留所ではフルーツブランデーやカットブランデー、シュナップスなどを蒸留していました。
現在のような複合形態になったのは1998年のことですが、経営形態は変わりません。
300年以上もの間家族経営を続けています。
この会社のポートフォリオはブランドの成長と買収により絶えず補完されています。
1971年には1606年に制作され、世界最古の酒と言われる「ダンジガー・ゴールドヴァッサー(Danziger Goldwasser)」を買収。
1990年以降は「レハメント・ロストロッカー(Lehment Rostocker)、「ウィルトナー蒸留所(Wilthenerdisitillery)」を買収。
現在は家族経営のスピリッツマーケター及び生産者としてドイツ3位と言われています。
経営はオープンに、でも秘密に!
1700年から現在まで、ハーデンバーグウィルテンが繁栄を続けてきたというのは驚くべきことです。
途中2度の世界大戦を経ても、ブランドは失われませんでした。
ハーデンバーグウィルテンの最重要課題とは「品質管理とケア」。
製造されるスピリッツの生産と熟成において、欠かすことはできません。
従業員同志と販売地域は密に連携をとり、常にオープンな状態に。
しかし、スピリッツのレシピと蒸留の秘訣はマスターディスティラーからマスターディスティラーへと受け継がれ、厳重に保護されています。
今日のハーデンバーグウィルテンの強味は徹底したブランドの管理と革新的な技術なのです。
一家の紋章は…イノシシ!
ハーデンバーグウィルテンのトレードマークは「イノシシ」。
これは一家が「フォン(Von)」の称号を持っていることと係わりがあります。
ドイツでは王侯貴族の名前に「フォン(von)」が付きます。
ハーデンバーグウィルテンの一族も名前に「フォンvon」を持つ家系です。
お城も持っています。
「ハーデンバーグ城」というもので、10世紀ごろ建設されたと言われています。
もともとはマインツ大司教によって建設されたものでしたが、1400年頃に当時のビショップがお金を使い果たし、財政難に陥りました。
城の権利は当時不動産の管理と監督を担当していたハーデンバーグウィルテンの一族に移されます。
これによって一族は城とその近辺を治めることになったのです。
そして一族の紋章がイノシシになったのもこのころの事。
ある時ハーデンベルク一族の城は敵に取り囲まれてしまいます。
敵の攻撃を打ち破り、撃退する助けをしてくれたのがイノシシでした。
極端な逆境から救ってくれたイノシシに敬意を表し、一族は紋章の中にイノシシの頭を取り入れることにしたのです。
そしてこれは現在ハーデンバーグウィルテンのブランドマークにも使われています。
ウィルトナー蒸留所(Wilthenerdistillery)
1992年にハーデンバーグ一族によって買収された「ウィルトナー蒸留所」。
ドイツで最も古く、最も重要なブランデー蒸留所の一つです。
その創設は1842年。
創設者は「クリスチャン・トロイゴットヒュンリッヒ(Christian TraugottHünlich)」。
そして息子である「カール・アルベルトヒュンリッヒ(Carl AlbertHünlich)」は1900年のパリ博覧会のブランデーコンペティションにおいてゴールド及びシルバーメダルを獲得しました。
世界最高の栄誉を受けた時代からウィルトナー蒸留所のブランデーは何も変わっていません。
世界で最も優れたコニャックにも負けない味わいのブランデーは現在もドレスデン近くのウィルテンで蒸留されています。
ブランデー造りの伝統は絶えることなく受け継がれていますが、ラインナップの変化はあります。
ウィルトナー蒸留所自慢のブランデーに加え、リキュールやチョコレートリキュール、ハーブリキュールもラインナップにならんでいるのです。
特に人気なのが「ウィルトナー・ゲバーグススクロイター(WilthenerGebirgskräuter)」軽いドイツ風味のハーブリキュールです。
貴重な花やハーブを使用したリキュールは植物学者によって編み出されたレシピ。
その秘密は厳重に保管され、ウィルトナー蒸留所の宝となっています。
WilthenerVSOP
ベースワインを蒸留した後、リムーザンオーク樽にて長期熟成されました。
花やかな香りと味わいで、フランス産コニャックにも負けません。
表情豊かな味わいは円やかで飲みやすいため、ブランデー初心者にもおすすめです。
WilthenerXO
リムーザンオーク樽にて28年以上熟成。
その後手作業でボトリングされました。
ゴールドカラーが鮮やか華やかな印象を与えます。
パリ博覧会でゴールドメダルを獲得した、その素晴らしい味わいをそのまま現代に感じることが出来ます。
贈りものにもおすすめ。
まとめ
コニャックにも負けない程の味わいを持つという「ウィルトナー」のブランデー。
その昔は「コニャック」と名乗っていたそうです。
しかし第二次世界大戦後、コニャックは厳しい原産地呼称統制法によって守られ、EU内で「コニャック」の名称を使用することは許されなくなりました。
ハーデンバーグウィルテンに買収され、名前は変わっても、ドイツブランデーの美味しさは変わりません。
ドイツで昔から愛される「ウィルトナー」のブランデー、気になったら是非探してみて下さいね。