イマイチマイナー? 敷居を乗り越えブランデーをもっと楽しもう!
世の中には様々なアルコール飲料が存在しており、その歴史は有史を超えるともされ、多くの人々が古来より嗜んできました。
その中の一種で「ブランデー」と呼ばれるものがありますが、一体何をもってブランデーとなるのでしょうか?
そして「ナポレオン」などの符号の意味や歴史、更により良い楽しみ方などを調べてみました。
1.ブランデーとは
果実酒から作られた蒸留酒の総称を指します。
本来ブドウでワインを造り蒸留し樽熟成刺せた物をブランデーと呼んでいました。
アルコール度数は40~50度程とされます。
原点は、ワインの保存の為にワインを蒸留したのが始まりと言う説もあります。
ノルウェー語のbrandeviin(焼いたワイン)が語源で、オランダに渡りブランダウェイン(brandewijn)となり、英語化された後、現在のブランデーとなったそうです。
因みに現在のフランス語では「オー・ド・ヴィー(eau-de-vie/命の水)」と呼ぶとのことです。
基本的にはブドウ(白)を原材料としますが、他にもリンゴやサクランボ、プラムやキイチゴなどの種類もあります。
更にブドウを使ってはいるのですが、搾りカスを利用したものも存在します。
2. ブランデーの歴史
7~8世紀にはワインを焼いていた(蒸留していた)と言われていますが、13世紀に入ってようやく文献に登場します。
スペイン人の錬金術師で、医者でもあるアルノー・ド・ビルヌーヴが「気付け薬」として蒸留したいたそうです。
その後戦争や寒波などの影響もあり、17世紀頃ワインの運搬に支障をきたし、味が劣化してしまい、それを防ぐために蒸留したところ、意外と高評価で普及して行きました。
また、フランスの酒税の制度が、アルコール度数ではなく量に対してかかるため、少量化で税が安く輸送も便利といったこともあり、より広まって行くことになります。
3.ブランデーの種類
やはり、有名なものは「ナポレオン」でしょうか?
いや、これは「種類」ではないのですよ。
ではどのようなものがあるのか、というと「コニャック」などがそれに当たります。
ブドウを原材料としたもの
コニャック:コニャック市を中心としたシャラント地方のみで造られるブランデーの総称。
グランド・シャンパーニュ、プチト・シャンパーニュ、ボルドリー、ファン・ボア、ボン・ボア、ボア・オルディネールの6地域からなり、他の区域のものを調合してないブランデーはコニャックの名称の他に区域名を呼称できる。
アルマニャック:アルマニャック地方で造られるもので、コニャックと同じく、バー・アルマニャック、テナレーズ、オー・アルマニャックの3地域に分けられる。
バー・アルマニャックが最も良質といわれ、呼称できるのは、全量この地域産をブレンドした物のみとされる。
オー・アルマニャックは主にブレンド用に使われ、市場にでることはほぼない。
この二つ以外のフランス産ブランデーは「フレンチブランデー」と呼ばれ、ワインに不向きなものを原料としていたり、熟成期間が少なかったりするそうです。
他にもピスコ:ペルー産のマスカット系ワインの蒸留酒。
主に樽熟成では無く素焼きの瓶で行なうため無色透明に近い。
マール:ワインの搾りカスを蒸留したものもあり、イタリアで「グラッパ」とも呼ばれる。
フィーヌ:正式名称は「オードヴィードヴァン」と呼ばれる、AOC規格のワインを作った後の醸造樽に残った物や、AOC規格にそぐわないワインを蒸留酒したもの。
等があります。
ブドウ以外を原材料としたもの
カルヴァドス:フランスのノルマンディ産の蒸留酒で、リンゴを原料としている。
また同地区以外で作られたものは「アップルブランデー」と呼ばれ区別される。
キルシュヴァッサー:ドイツのシュヴァルツヴァルトで造られるサクランボを種ごと潰して発酵させた蒸留酒。
スリヴォヴィッツ:プラム(すもも)を使った蒸留酒。
中欧~東欧にかけて製造せれる。
他にもキイチゴを使用した物も存在します。
4. ブランデーの等級符号
ブランデーを見ていると上記の「ナポレオン」や「VO」などと目につくと思います。
これは熟成年数を示したもので、乱暴に言えば「格付け(ランク)」に近い物と思ってください。
ただ、コニャックなど銘柄によっても差異があるので注意が必要とされます。
コントを見る
お笑いを鑑賞するのではありません。
コントと言うのはブランデーの熟年数を示す単位で、このコント数によってランクが決定されます。
蒸留した年を「00」とし、翌年4月1日から「0」、その次の4月1日に一つ増えて「1」になります。
これはコニャックの製造周期に基づいたもので、アルマニャックの場合ひと月後ろにずれます。
格付けを見る
このコントは単一のものでブランデーを構成しません。
複数のコントをブレンドしてブレンデーを造ります。
この時に配合した一番若いコントが、そのブランデーのコント、即ち「格」になるのです。
一つ星・二つ星:3~4年熟成させたものを一つ星、5~6年熟成させたものを二つ星とされる。
三ツ星(スリースター):コニャックの場合は、の場合はコント1以上の物を指します。
このランクに満たない物は出荷自体されない。
VS(VerySpecial):コント2以上のブランデーをさす。
VO(Very Old):アルマニャックのランク。
コニャックには無いと思われる。
コント4以上の物とされる。
VSOP(VerySuperiorOldPale):コント4以上のブランデーに付けられる。
ナポレオン:コント5~6以上の物が名乗れる階級。
XO:ナポレオン以上のコントを持つ物のこと。
因みに2016年現在はコントの上限は「6」でしたが、2018年に最大「10」に変更されます。
これにより、ナポレオンとXOが「同格」に扱われることもありましたが、明確に差が出ることになります。
また、このランク付け自体もコニャック・アルマニャック以外はメーカー独自の基準による部分も多く、ナポレオンと名乗っていても、ピンキリであり、安物のナポレオンは長期熟成されていない(コントが少ない)可能性もあります。
5.ブランデーの楽しみ方
ブランデーグラスに室温のブランデーを少量注ぎ、掌でグラスの底を包み込むように持って揺らしながら飲むといったオーソドックスな「ストレート」が一番良いそうです。
しかし、アルコール度数が高いため大変かもしれません。
その場合は「オンザロック」や「水割り/お湯割り」がおすすめです。
ロック:香りが若干弱くなるが、辛みを抑える事が出来て飲みやすくなる。
クラッシュドアイスを使うと水割り感覚で楽しめる。
水割り:ブランデーと水を1:1で氷を加えない愛飲家も多い。
より際立つ香りを楽しめます。
基本はブランデー1に水2の配分で、先にブランデーを入れておくと混ざりやすい。
お湯割り:基本はブランデー1に対してお湯2の配分で水割りと逆で、先にお湯を入れておくと混ざりやすい。
悪酔いしにくくなり、味もまろやかになる。
風味や香りを楽しみ、体も温め寒い季節におすすめ。
ほかにも「ハイボール」などもいいですね。
6.ブランデーはマイナー?
実は「ブランデー」と聞いてもいまいちピンと来ない人も多いかもしれません。
ウイスキーや、焼酎はよく見かけますが、あまりCMを行っているのも見受けられません。
理由としては、「原価が上がるから」だそうです。
そして、そこまで売れていないという事もあるようですね。
その他酒類に比べて、ブランデーはコストがかかるそうです。
コストダウンができず、どうしてもそれが価格に反映してしまう。
そうするとどうしても敷居が高くなってしまい、結果売り上げに繋がる。
この悪循環が普及を阻んでいるのでしょう。
そのうえ「あまり知らない」ことも障害ですね。
知らない物には手を出さないのは当然の摂理です。
巷にブランデーがお手軽に楽しめて、誰もが「あ~、こんなもんなんだぁ~」って味わえると違うのでしょう。
まとめ
ブランデーなんてほとんど使わないよ、お肉を焼く時にかけるだけでしょ、そんな人が一般的でしょう。
しかし、そこを一歩踏み込んでみませんか?
いつもお肉に振りかけていたそのお酒を、ちょっとグラスに注いで、一口口に含んでみてはどうでしょうか?
なにか新しい世界が広がるかもしれません。
でも、品質はピンキリとムラがあるので、お肉用は安物でも良いかもですが、どうせ飲むなら奮発してお高い物を購入してもいいかもしれません。