バーボンを語りたければこれ!カスクストレングスのバーボンのおすすめ
アメリカンウイスキーの代表と言えばバーボンですよね。
濃厚でまろやかな味わいと甘いバニラやフルーツの香りが特徴です。
そんなバーボンの個性を最も感じることが出来るのが「カスクストレングス」のバーボン。
殆どがプレミアムな仕様になっているので、お値段は高めですが個性豊かでおすすめ。
カスクストレングスのバーボンについてと、おすすめをいくつか見てみたいと思います。
目次
バーボンはアメリカでのみつくられるウイスキー
アルコールに詳しくない人の中にはバーボンとウイスキーの違いが判らないという人もいます。
しかし、バーボンはあくまでウイスキーのカテゴリーの中の一つ。
ウイスキーもバーボンも同じものです。
しかし、バーボンが製造されるのはアメリカ合衆国内のみ。
バーボンはアメリカが法律で保護しているお酒なのです。
ですから同じ製法・現在料を使用したとしても、アメリカ合衆国外でつくられたものはただの「バーボン風ウイスキー」となります。
カスクストレングスってどういうもの?
「カスク」とはウイスキーの用語で「樽」という意味ですね。
バーボンでは「バレル」といいます。
では「カスクストレングス」とはどういった意味なのでしょうか。
これは「樽出しのまま」という意味です。
この意味を理解するにはウイスキーの製造工程を知る必要があります。
ここではバーボンウイスキーの工程を見てみましょう。
バーボンの製造方法とは…
アメリカ合衆国内では法律によってバーボンの原材料と製法が規定されています。
主原料には51%以上のトウモロコシを使用しなければなりません。
その他にライ麦、小麦、大麦が使用されます。
これらを麦芽によって糖化させ、さらに酵母を加えることでアルコール発酵させます。
蒸留には連続式蒸留器を使用し、アルコール度数80度以下になるよう調整。
こうして無色透明のバーボン原酒ができあがります。
その後、原酒に加水してアルコール度数を62.5度まで調整。
内側に炭化被膜処理を施した新品のオーク樽にて熟成させます。
この焼き焦がした樽を使用することによってバーボン独特の琥珀色やバニラ香が生まれると言われています。
貯蔵期間の下限はありませんが、4年未満の場合はラベルに熟成期間を記すことが義務付けられています。
カスクストレングスは加水せずにボトリング!
カスクストレングスのウイスキーとは「樽出しの強さそのまま」ということ。
前述のバーボン製造の工程では加水によってアルコール度数の調整をおこなっていますが、これを行いません。
通常ウイスキーは加水してアルコール度数は40~46度くらいに落ち着かせます。
しかしカスクストレングスのアルコール度数はそのままです。
ですからアルコール度数は60度を超えるものもあります。
とにかく強烈なアルコール強度なのです。
シングルバレルとカスクストレングスの違いとは
シングルバレル、あるいはシングルカスクと呼ばれるものがあります。
これらはカスクストレングと混同されがちですが、ちょっと違います。
シングルバレル、あるいはカスクは「一つの樽」からボトリングされたウイスキー。
問題は「樽」であり、「加水」については問われないのです。
ですから、加水処理を行っていても「シングルバレル」「シングルカスク」と呼ばれます。
これらを「樽出しの原酒」と思っている人は多いですが、加水を施したものは「樽出し」の原酒とは言えません。
(もちろん、シングルバレルやシングルカスクの中には加水しないものもあります。)これに対し、カスクストレングスは複数の樽をブレンドすることがありますが、「加水」を行わないのです。
ですから「樽出しの原酒」が飲みたければ、「シングルバレル」や「シングルカスク」を選ぶのではなく、「カスクストレングス」を選ぶのが正解なのです。
カスクストレングスの特徴とは…
「樽出し」の原酒が味わえるカスクストレングス。
特徴としては、当然高アルコール度数になります。
また、ディスティラーの思惑がズバリと現れるのもカスクストレングスの特徴。
蒸留後、どの樽に詰め、どのくらいの熟成期間を置くか、どのタイミングで取り出すのか…、それらすべてが原酒に如実に反映されます。
また、取り出したあとも他の樽とブレンドするか、しないか等厳しい判断が必要となります。
ディスティラーが細心の注意を払い、目や舌で判断を行ったものがそのままボトリングされるのです。
ですから、カスクストレングスのバーボンは希少価値が高く、お値段も高め。
しかし、愛好家からはかなりの人気となります。
カスクストレングスのバーボンはこれ!
「樽出し」の原酒の強さが味わえる「カスクストレングス」のバーボン。
ガツンとくるアルコール強度と濃厚な味わいをもつものが多いです。
おすすめをいくつか見てみたいと思います。
Booker’s(ブッカーズ)Jim Beam(ジムビーム)
ビームサントリーの「ジムビーム」のバーボンです。
深い熟成感と高いアルコール度数を感じさせない、なめらかな最高峰バーボン。
完成度の高い味わいはバーボン愛好家を驚かせました。
マスターディスティラー「ブッカー・ノウ」の最高傑作とも言われています。
本来はビーム家主催のバーベキューパーティで賓客にのみ振舞われていましたが、あまりにも好評なので製品化したのだそうです。
6~8年の熟成樽の中から最高峰としてふさわしい熟成した原酒のみを厳選し、ヴァッティング。
加水や濾過処理を一切行わずにボトリングしています。
樽そのものの味であるため、熟成年や樽によって微妙に味わいが異なります。
そしてこの違いがバーボンファンを魅了し続けているのです。
ふかみのある味わいながら、重さを感じさせません。
オークの樽香が心地よく、フルーティさの中にも独特のほろ苦さを感じます。
カラーは深い琥珀。
香りはバニラ、キャラメル、オークの重厚な香り。
口に含むと高度に凝縮されたフルーツとタンニンを感じます。
リッチな余韻が長く口内に残ります。
Wild Turkey Rare Breed(ワイルドターキーレアブリード)
アルコール度数56.4度のプレミアムバーボンです。
6~12年の熟成樽から厳選してブレンドされています。
一切水を加えず、樽出しのままボトリング。
マスターディスティラー「ジミー・ラッセル」は低濃度で蒸留する事でバーボンはより奥深い味わいを得るという考えの持ち主。
そのため、ワイルドターキーのカスクストレングスバーボンは他のものに比べると最も低いアルコール度数です。
しかしあくまでもこれは「他のカスクストレングスに比べて」の話。
アルコール度数が低いわけではないのでご注意下さいね。
カラーは赤銅色。
香りはラズベリー、ブルーベリーのマフィンの香りです。
口に含むと、ジャマイカンショートケーキのような甘さがあり、少しスパイシー。
カラメルやパインが口内にほんのりと残ります。
Parker’s Heritage5th(パーカーズヘリテージフィフス)
ヘブンヒル蒸留所のカスクストレングスバーボンです。
毎年「Parker’s Heritage Collection」の一環として、マスターディスティラーの名前でリリースされます。
こちらは5代目にリリースされたもの。
膨大な樽のストックからマスターディスティラーによって厳選された原酒のみをボトリングしました。
フィニッシュにはコニャック樽を使用。
バーボンの力強さとコニャックの繊細さを感じることができるプレミアムバーボンです。
カラーは赤銅色。
ドライフルーツやサクランボの香りを感じます。
口に含むとスモーキーでソフトな味わい。
スパイシーでフルーティな複雑な味わいが長く続きます。
まとめ
カスクストレングスのバーボンはどれもマスターディスティラーが特別に選択し、あるいはブレンドしたもの。
まさにマスターの本領が発揮されるものです。
ですから味わいは強烈で個性的なものばかり。
バーボン通なら是非一度はトライしてみたいものです。
ただし、アルコール度数はかなり強いものが多いので注意が必要。
バーボンは加水されていませんから、飲む時はストレートよりは水割りやトワイスアップ、氷多めのオンザロックがおすすめ。
少し水を加える方が、バーボンの濃厚さが解放されて微妙な風味を感じることができます。
ストレートで飲まなければ!
と思わずに、風味を味わって気軽に飲んでみて下さいね。