バーボンウイスキーの個性は原料から生まれます
バーボンウイスキーはわたしたち日本人にもおなじみのお酒ですが、実際に飲む機会は少ないですよね。
バーボンは、日本のメーカーで作っているウイスキーとは、味も香りもかなり違います。
そのため、甘味料や香料が入っているの?と驚く方も多いようですが、バーボンは100%天然原料のお酒ですよ。
原料をひも解きながら、バーボンの味や香りについて解説します。
目次
1.まずは、スコッチウイスキーの原料を知ろう
スコットランドから製法を学んだため、日本のウイスキーはスコッチスタイルです。
朝のドラマで観た!という方も多いですよね。
そのスコッチウイスキーの原料は大麦。
他の穀物を混ぜることもありますが基本は大麦で、これは寒さの厳しいスコットランドでは、古くから大麦が広く栽培されてきたためです。
大麦の麦芽に水を加えて発酵させ蒸留器にかけたのち、樽で熟成させます。
ちなみに、スコッチウイスキーのちょっと刺激のある風味は、麦芽を泥炭を燃やして乾燥させたときにその香りが移ったものです。
日本の酒造メーカーではスコットランドから泥炭を輸入することで、スコッチと同じ香りを再現しています。
2.バーボンウイスキーの甘みの素はトウモロコシ
バーボンウイスキーを飲んだ方が真っ先に感じるのが、甘みだと思います。
銘柄によって強さに違いはありますが、砂糖というよりは人工甘味料のような特徴的な甘みです。
この甘さは、主原料になっているトウモロコシが生み出すものです。
アメリカでは建国当初から、東部ではライ麦、内陸部のケンタッキー州などでは、豊富に採れるトウモロコシを原料にしたウイスキーが造られていました。
しかし独立戦争後、蒸留酒にかかる税金が重くなったのをきっかけに、多くの酒造業者がケンタッキーに移り、トウモロコシを使ったウイスキーが主流になったのです。
現在、アメリカ政府は「トウモロコシを51%以上使用したもの」をバーボンウイスキーと定義しています。
トウモロコシはシロップの材料になるくらいですから、糖度が麦よりも高いのですね。
実際、トウモロコシ80%以上で作られるコーンウイスキーというものもありますが、こちらはバーボンよりもずっと甘く、果物のようだとか。
3.独特の香りは焦げ目をつけたオークの樽から
「樽」を原料に入れるのはちょっと不自然に聞こえるかもしれませんが、バーボンウイスキーに香りをつけるためには、樽が欠かせない要素になっています。
バーボンの熟成には、必ずオーク材の新樽が使われます。
スコットランドや日本など他の国では特に規定はなく、新樽も中古樽も使われます。
また、使う前に樽の中を火で炙り、焦げ目をつけてから原酒を入れるのもポイントです。
これについては、もともとは誰が、何の目的ではじめたのかはわかっていないようですが、ともかく、樽を一度焼くという工程が、バーボンウイスキーに、琥珀よりももっと赤みかがった色と、個性的な香りをつけるのです。
バーボンの香りはスコッチとはまた違ったくせがあって、薬のような、樹脂のような、接着剤のような、ちょっと人工的な匂いを持っているのですが、これは香料を添加しているわけではなく、オーク材によって作られる香りなのです。
4.チャコールフィルターでろ過される、テネシーウイスキー
テネシー州では、蒸留したウイスキーをサトウカエデの炭で一滴ずつろ過し、そのあとで熟成させるという独特の製法を使っています。
チャコール・メロウイングと呼ばれるこの製法を使うことで、ウイスキーがよりなめらかな風味になります。
工程や味に違いがあるため、特別に「テネシーウイスキー」という名称で呼ばれますが、ジャンルとしてはバーボンウイスキーになります。
有名なジャック・ダニエルズが、テネシーウイスキーですね。
5.古典的なウイスキー、ライ・ウイスキーの話も
アメリカでは、昔はライ麦を主原料にしたライ・ウイスキーが造られていたことは前に述べました。
ライ・ウイスキーはすたれてしまったわけではなく、現在でも銘柄は少ないですが、作られています。
こちらはバーボンウイスキーとは逆に、ライ麦が51%以上、あとはトウモロコシや大麦が使われます。
ライ・ウイスキーはバーボンのような甘みはほとんどなく、少し酸味を含んだ味わいが特徴です。
ちょっとそっけないような素朴な味を好むファンも多いです。
ライ・ウイスキーはバーボンではありませんが、ジム・ビームやワイルド・ターキーなど、大手のバーボンメーカーでも作っているということで、ふれてみました。
まとめ
いかがでしたか?バーボンウイスキーの独特の味、香りは、主原料になる穀物、樽、炭によるろ過など、さまざまな要素によって作り出されています。
蒸留所によってトウモロコシの割合や、使っている水なども違ってきますし、じっくり味わっていくと銘柄ごとに違った個性を持っていることがわかります。
バーボンを気に入ったら、そうした違いも楽しんでみてはいかがでしょうか。