ブランデーを加えたワイン?ピノー・デ・シャラントのおすすめ!
フランス料理では食前・食後酒として頂くことの多いヴァン・ド・リクール。
その中でもピノー・デ・シャラントは有名ブランデーメーカーが作っているものもあり、ブランデーファンならぜひとも注目して頂きたいところ。
ブランデーとは違って、専ら食前酒やデザート酒として飲まれることが多いようです。
誰もが気軽に楽しめる、ピノー・デ・シャラントとはどんなお酒なのでしょうか?
ヴァン・ド・リクールとはつまり、酒精強化ワインである!
なかなか聞きなれない言葉、酒精強化ワイン。
これは、醸造過程でアルコールを加えることで、アルコール度数をあげたワインのことです。
フランス以外にも、スペイン、ポルトガル、イタリアなどでも見られます。
スペインではシェリー、ポルトガルではポートワイン、マデイラワイン、イタリアではマルサラワインなどと呼ばれていますね。
フランスではワインに加えるアルコールにコニャックを使用しています。
これがピノー・デ・シャラントというわけです。
他に、アルマニャックを加えたものはフロック・ド・ガスコーニュと呼ばれています。
ピノー・デ・シャラントの始まりは…
最初に作られたのは、1589年と言われます。
シャラントのとあるワイン製造者が、ブドウの収穫時期についうっかりと果汁を大樽に入れてしまったことが始まりとか。
その大樽の中にはなんとコニャック原酒が!
この樽はそのまま領主のワイン貯蔵庫に保管されてしまったそうです。
そして数年後、樽が必要になり貯蔵庫に行ってみると、樽の中には素晴らしい飲み物がありました。
これがピノー・デ・シャラントのはじまりです。
透明な液体はシャラントの大地のように太陽を浴びた黄金色に輝いていたそうです。
偶然からとはいえ今日まで大切に受け継がれてきたわけですから、すごいですよね。
ピノー・デ・シャラントの条件とは?
ピノー・デ・シャラントの生産量の80%はコニャック地方のあるシャラント県が占めています。
コニャックと同様、フランスのAOC(原産地呼称法)によって、細かな規定があります。
基準をクリアしないと、ピノー・デ・シャラントと名乗ることは許されないというわけです。
その規定とは、以下の通りです。
・ブドウ果汁とコニャックは同じブドウ畑のものに限る
・熟成期間は最低でも1年
・出荷時のアルコールは16~22度
・「白」は18か月以上熟成しなければならない
・「赤」は12か月以上熟成しなければならない
・「Vieux」は木樽で5年以上熟成させたものに限る
・「tres vieux」または「extra vieux」は木樽で10年以上熟成させたものに限る
おおまかにはこんなところです。
ただコニャックを加えただけでは、ピノー・デ・シャラントにはならないのですね。
どういう時におすすめなの?
まだ発酵していないブドウ果汁にコニャックを加えるので、ピノー・デ・シャラントの味わいは大変甘く、フルーティなものが多いです。
未発酵のため、まだ糖分がたくさん残っているということですね。
誰にでも好まれる味のため、食前酒や食後酒として楽しまれることが多いようです。
食後酒としてはデザートワインのような感覚です。
ブランデーが苦手な方にも問題なくおすすめできます。
アルコール入りブドウジュースという感じですね。
飲み方としては、冷たく冷やしていただくのがおすすめです。
氷を入れてみるのもいいでしょう。
大勢でワイワイ楽しく頂いてください。
それでもそれなりにアルコール度数は高いので、飲みすぎにはくれぐれもご注意を!
おすすめのピノー・デ・シャラントはこれ!
ピノー・デ・シャラントを造っているのは大体がコニャックメーカーです。
有名プロプリエテールのピノー・デ・シャラントもあり、試してみたいものがたくさんあります!
いくつか見てみたいと思います。
レイモン・ラニョー ピノー・デ・シャラント
まずはこちら、プロプリエテールの中でも評価の高い、レイモン・ラニョーからリリースされているピノー・デ・シャラントです。
レイモン・ラニョーと言えば、コニャック地域最高の土壌「グランドシャンパーニュ」に47haの畑を持つ、完全家族経営のコニャックメーカーです。
手作りであるが故の個性と高品質が楽しめるコニャックは、樽による味のバリエーションも豊富で、味わい深く楽しめます。
そんなレイモン・ラニョーのピノー・デ・シャラントはワインに最適のブドウ「ユニ・ブラン」100パーセントの果汁から造られています。
オーク樽にて熟成させる期間は最低でも4年。
コニャックと糖分が最高のバランスになった時にビン詰めされます。
大体4千円前後といったところでしょうか。
高品質のピノー・デ・シャラントを味わえるということで、コスパは抜群と言えますね。
ハチミツやドライフルーツ、イチジクなどの甘い香りがたのしめます。
アペリティフとして、また食後のデザートワインとしておすすめです。
レローピノ-デシャラント15年
レローはコニャック地域の有名メーカーの一つです。
1680年にこの地を耕し始めた初代レノー当主・アレクサンドルから始まりました。
古い歴史を持つこのレノー家には、今でも古いコニャックが貯蔵してあり、中には1811年のものもあるとか。
フラッグシップであるコニャック・レローを市場に出し始めたのは1970年代に入ってから。
以後、コニャックのトップメーカーとして、伝統としきたりを守りながら家族経営を行っています。
畑はコニャック地方で2番目にランク付けされるプティットシャンパーニュにあります。
世界中の有名ホテル・高級レストランで取り扱われており、日本ではジョエル・ロブションのレストランでも頂けます。
「レローピノ-デシャラント15年」はブドウ果汁とコニャックをブレンドし、オーク樽にて15年熟成させたものです。
クルミ、洋ナシの砂糖漬けの甘いアロマが漂います。
エレガントな酸味と強い風味が優れたバランスを醸し出し、まろやかなのど越しを楽しめます。
フォアグラやチーズとの相性が抜群です。
7度くらいに冷やしていただくのが一番のおすすめです。
ジャンフィユーヴューピノデシャラント・ロゼ
コニャック地域の最高ランク「グランドシャンパーニュ」に自家のブドウ畑を持ち、全ての工程を手作業で行う、ジャンフィユーからおすすめです。
この有名プロプリエテールで造られる製品はすべてがグランドシャンパーニュです。
コニャック唯一のセプ・ドール(黄金のブドウの樹)の称号を持つジャンフィユーの手によるピノー・デ・シャラントは、勿論すべてが手作業によるもの。
「ジャンフィユーヴューピノデシャラント・ロゼ」に使用されているブドウはメルロ種50%、カベルネ・ソーヴィニオン種50%。
カラーは深く濃厚なルビー色です。
リムーザン・オーク樽の香りと、独特の熟成香が複雑に絡み合い、複雑なニュアンスを感じさせます。
黒スグリやラズベリーの風味も良く、クリアでデリケートな味わいです。
アペリティフとして、また食後にもおすすめ。
メロンやイチゴといったフルーツと共に頂くのもおいしいですよ。
ジャンフィユーヴューピノデシャラント白
こちらは同じくジャンフィユーのピノー・デ・シャラントです。
白は原材料となるブドウが異なります。
こちら、ユニ・ブラン種を100%使用。
7~8年、オーク樽にて熟成されています。
カラーは美しい黄金色。
ウォールナッツやランシオ香の豊かな香り。
口に含むと、ドライフルーツやローストアーモンドを思わせる風味が長く後を引きます。
ロゼよりもう少し冷たくして飲むのがおすすめ。
爽やかですっきりした飲み口です。
肉料理の香りつけなどにも使えますね。
まとめ
ブランデーを造るついでに、という感じなのでしょうか、コニャックメーカーのピノー・デ・シャラントはおいしそうですね。
コニャックを加えるタイミングによって甘さの調節も出来、味わいは様々と言いますから、気分や好みでお気に入りを探すことが出来ます。
ブランデーとはまた違った楽しみ方のできるピノー・デ・シャラント、是非試してみて下さいね。