まったりしたい時には是非!こだわりを感じるシングルバレルバーボン。
アメリカはケンタッキーに故郷をもつバーボン。
今や世界中で愛されるアメリカン・ウイスキーですよね。
そんなバーボンの中でも、シングルバレルと呼ばれるものをご存知ですか?
これは通常のバーボンとはちょっと異なる、スペシャルなバーボンなのです。
シングルバレルバーボンを飲めば、そのブランドのこだわりが分かるはず!
どんなものか、ご紹介したいと思います。
オーク樽こそがバーボンの特徴を生む!
スコッチやアイリッシュよりバーボンが好き、という方はその独特の風味を好まれる方が多いのではないでしょうか。
まったりとした、キャラメルやバニラの強い香りと、香ばしいともいえるアロマ。
濃厚な味わいの中に深いコクを感じますよね。
これは、バーボンを熟成させる際のオーク樽由来のものだと言われています。
熟成の際使用する、焦がしたオーク樽。
焦げた樽の成分がバーボン独特の風味を生み出すのです。
バーボンに使用されるのはアメリカンホワイトオーク樽のみ
アメリカ合衆国の規定で、バーボンを作る際の樽は「内面を十分に焼き焦がしたアメリカンホワイトオーク樽の新品のみ」と決められています。
新品のみ、ということは1度使用すればそれで終わりということ。
使用済みの樽はスコッチやアイリッシュなど、他のリカーメーカーに売り渡されます。
樽を焦がすのはなぜ?
バーボンを特徴づけるオーク樽。
それにしてもなぜ、内側を焼き焦がしてしまうのでしょうか。
この起源に関しては諸説ありまして、実ははっきりとはわかりません。
良く知られるところでは、バーボンを初めて造ったと言われるエライジャ・クレイグ牧師の鳥小屋が火事に合い、その中に原酒の樽を置いていたため偶然そうなった、という説です。
その他には樽には魚が詰めてあったので、その生臭さを消すためだった、あるいは、単なる偶然だった、など定かではありません。
しかし、樽を焦がすことによって得られる味わいはバーボンだけのもの。
焦がされた樽の木材は炭化し、キャラメルのような風味を生み出します。
さらに、木材特有の風味が原酒に移ってしまうことも避けられるのです。
炭化された樽で造られた原酒は尖りがなく、スムーズでなめらか、落ち着いた味わいが堪能できます。
シングルバレルってつまり何?
バレル、とは樽の単位のことです。
樽自体のことはカスクと呼びます。
シングルバレルとは1樽、という意味ですね。
通常バーボンは複数の原酒を10種類以上ブレンドして造られています。
これは、品質の均一化のためです。
同じ蒸留所で熟成を行っていても、季節や年度・さらには蒸留所内の場所などで、それぞれの樽には個性が生まれます。
数十種類の樽からブレンドすることで、品質を安定化させ、味にばらつきがでないようにするのです。
同じ製品なのに、味がバラバラだと困りますからね。
しかし、それを行わないのがシングルバレルです。
通常数十種類の樽からブレンドするところを、一つの樽の原酒のみを使用します。
ブレンドに使用する樽が少ないほど、品質と味の管理には気をつけなければなりません。
一つの樽のクオリティだけで勝負するのです。
まさに作り手が手に塩をかけたバーボンと言えますね。
そんなシングルバレルバーボンは、通常より個性が強く、クセのあるものが多いです。
好みを探す楽しさがありますね。
ブラントンblanton’s
シングルバレルバーボンと言えば、まず浮かぶのがこちらのブラントン。
唯一無二のバーボンを作ると言われています。
こちらはアメリカ・ケンタッキー州フランクフォートにて誕生しました。
蒸留所はバッファロートレース蒸留所。
アパラチア山脈からのピュアで引き締まった水がバーボンの品質を支えています。
水だけではなく、ケンタッキーの空気、温度、全てがブラントンのバーボン造りには欠かせないものなのです。
さらに、ブラントンのバーボンの中でとりわけ目を引くのは、ケンタッキーダービーの馬。
なんの事かと申しますと、バーボンボトルのキャップに注目して頂きたいのです。
ダービーレースを走る馬のフィギュアが乗っかっているんですよ。
BLANTONSのスペルにちなんで、計8種類。
揃えて並べてみると、バーボンタイムが楽しくなるかもしれませんね。
ブラントン オリジナルシングルバレルバーボン
もともとは創設者であるブラントン大佐が、家族や友人、政府高官のために提供していたバーボンです。
世界初のシングルバレルバーボンといわれる、ブラントンのフラッグシップと言えるでしょう。
最低でも4年の熟成期間の間に、3名以上の検査員が味わい・香り・深みなどを見極め、確認して樽を選びだしています。
特徴ある8角形のボトルのラベル記される製造年月日や樽番号などは一つ一つ手書き。
その後のラベル貼りも手作業です。
ブラントンのこだわりを感じる逸品と言えますね。
カラー:赤味がかった琥珀。
香り:キャラメル、バニラ。
そして少しスパイシーなシトラスオレンジ。
味わい:フルーティでソフト。
カラメルのほろ苦い風味。
オレンジ、クローブもかすかに残る。
ストレートまたはオンザロックで頂くのがおすすめです。
ブラントン ストレート・フロム・ザ・バレル
樽出しのリッチな味わいが感じられます。
加水や濾過は一切無し。
アルコール度数は高めの66度です。
カラー:深く暗い琥珀色。
香り:ハチミツ、バニラ、スパイス、タバコ。
味わい:リッチでクリーミー。
シトラス、バターの複雑な味わい。
フィニッシュはバターチョコレートのような濃厚さ。
こちらもストレートがおすすめです。
ノブクリークKNOBCREEK
こちらも有名なケンタッキーのブランドです。
ブランド名「ノブクリーク」とは、ケンタッキー・ヒルにある小川の名前。
ここはアメリカ合衆国第16代大統領エイブラハム・リンカーンが幼少期を過ごした土地です。
そんなノブクリークが目指したのは禁酒法時代以前の、力強いバーボンの味。
水で薄めた粗悪品が出回る以前のバーボンです。
具体的には以下の通り。
●1蒸留所で1年のうち1度だけ蒸留したものを樽詰め。
●政府監督のもとで4年以上熟成。
●アルコール度数50%以上でボトリング。
上記は1897年に制定されたボトルド・イン・ボンドという法律の規定です。
これが守られていた時代のバーボンはリッチで高品質でした。
ノブクリークが目指したのはそのような味わいを持つアメリカらしいバーボンなのです。
ノブ クリーク シングルバレルリザーブ
ノブクリークを作る、ノウ家の6代目、伝説のディスティラー、ブッカー・ノウがバーボン復古を目指して作り上げたバーボンです。
熟成期間は長めの9年。
マスターディスティラーによって厳粛に樽選びが行われています。
ボトルは禁酒法時代をモチーフにした、独特の平べったい形。
人々はブーツにお酒を隠していたため、フラスクボトルが使用されていたとか。
「ノブ クリーク シングルバレルリザーブ」は当時を思わせるようなアンティークな仕様で、雰囲気を盛り上げています。
カラー:深くて暗い琥珀色。
香り:ややスモーキーなバニラ・カラメル。
味わい:まろやかでリッチ。
バニラ・ナッツ・オークの複雑なミックス。
まとめ
各ブランドの手間暇とこだわりを感じるシングルバレルバーボン。
その手間と要する時間から、バーボンの中でも高級なものとして認識されています。
味わいは力強く、通常のバーボンよりきつく感じるかもしれません。
バーボン初心者なら水やソーダで割ったり、氷多めで頂くのがおすすめです。
もちろんまったりとストレートもおすすめ。
シングルバレルバーボンはどちらかというと深夜に一人でまったりと頂くのがお似合いかと思います。
個人的には、おつまみさえも不要ではないかと感じます。
それだけで完成された味を持つ、シングルバレルバーボン。
是非お気に入りを探してみて下さいね。