日本酒はどのように造られているの?
お酒はその国の文化そのものですから、世界中にはたくさんのお酒があります。
果実から造るお酒はワインやブランデーなどで、穀物から造るお酒にはビール、ウイスキーやウォッカなどがあります。
他方、お酒の製造方法で、醸造酒とそれを蒸留する蒸留酒に区別できます。
醸造酒はワインとビールで、蒸留酒はウイスキー、ブランデーやウォッカです。
日本酒は、米をアルコール発酵して造られる醸造酒です。
今や世界中がSAKEブームです。
日本酒についてのウンチクの助けになると思い、日本酒の製造工程を簡単にまとめてみました。
日本酒の歴史
古くは中国の「魏志倭人伝」や日本の「古事記」、「日本書記」にもお酒に関する記述がでてきますが、どんなお酒だったかは定かではありません。
しかし、平安時代の「延喜式」には米からお酒を造る方法が記述されていますから、このあたりから徐々に製造方法が確立していったと考えられます。
鎌倉時代には酒造りを制限する布告があったり、室町時代には京都だけで約350軒の酒造メーカーがあったとの記録もあります。
さらに、奈良の正暦時が酒造した菩提泉に代表される南都諸白など、平安時代から室町時代に奈良の大寺院で清酒(僧坊酒)が造られていたことも判っています。
この時期、すでに日本酒の醸造技術の基礎は確立されていたと考えられます。
酒米
大粒の酒造用に栽培された米が使われ、主食用の米と区別しています。
主な品種としては、山田錦、五百万石、美山錦出羽燦々や雄町などがあります。
特徴はタンパク質、脂肪、無機質やビタミンなどが少ないことです。
デンプン以外は雑味になりやすく、香りや味に影響します。
また、デンプン以外の成分は米粒の外側に偏在しているため、精米で取り除かれます。
どれだけ精米するかによって、お酒の味は変わってきます。
酒造工程・糖化
アルコール発酵とは酵母の作用によって糖分をアルコールに変えることですが、米には糖分が含まれていないため、そのままではアルコール発酵しません。
そのため麹(こうじ)の酵素を使って、米に含まれるデンプンをブドウ糖に変えています。
この工程を糖化とよびます。
ワインは原料の葡萄に果糖が含まれますから糖化は必要ありません。
ビールは大麦を発芽させて、麦芽の酵素を糖化に使用しています。
ライ麦、小麦やトウモロコシなどの穀物を発酵させてお酒を造る前にも、必ず麦芽を加えて糖化を行ないます。
酒造工程・発酵
ワインは発酵だけの単発酵ですが、ビールは単行複発酵といわれ、糖化と発酵が別々の工程で行なわれます。
日本酒は糖化と発酵を同じタンクで同時に行います。
並行複発酵という方法で、世界に類をみない高度な醸造技術です。
糖化と発酵が並行して進みますが、さらに仕込みを段階に分けたり低温に保つことで、糖分やアルコール濃度をコントロールして、酵母が活発に活動しつづけて醸造限界に近いアルコール度数が実現しています。
さらに、じっくり発酵することで旨味や香りが生まれ、日本酒の味わいを高めています。
酒造工程・仕上げ
発酵を終えると、圧搾機にかけて清酒と酒粕に分けます。
搾りたての清酒は、ろ過、約60℃で加熱・殺菌されます。
また出荷の際に再度、加熱・殺菌する場合もあります。
この低温加熱・殺菌法はフランスの細菌学者パスツールが、ワインの腐敗を防ぐために考案した方法です。
しかし、それより何百年も前、室町時代には日本酒で行われていました。
以上のように、日本酒は酒米の栽培から始まり、仕込み水、精米、麹菌、酵母菌、糖化・発酵や搾り・火入れという複雑な工程を経て、約六十日後に出来上がります。
特定名称酒の意味
居酒屋などで日本酒を注文しようとすると同じ銘柄でも数種類がおいてあります。
どれを注文しようか迷った経験はありませんか?
本醸造・特別本醸造・吟醸・大吟醸と純米・特別純米・純米吟醸・純米大吟醸の8種類です。
これは酒税法で米の精米歩合と醸造アルコールの添加有無で区別されている特定名称酒といわれる名称で、普通酒と区別されています。
前の4名称は醸造アルコールが添加してあり、後の純米4名称は醸造アルコール無添加です。
吟醸や大吟醸は精米歩合で、大吟醸は多く精米してあります。
どれがおすすめ?
と聞かれれば、醸造アルコールが無添加の純米酒がおすすめです。
まとめ
日本酒を造る蔵元は約1,600あり、流通している日本酒の種類は約4万になるといわれています。
同じ蔵元の銘柄であっても、精米の程度によっても、香りと味は異なります。
貯蔵や低温加熱殺菌によっても、風味が違ってきます。
それだけ日本酒は多彩なお酒なのです。
飲み方の温度も冷酒、お冷から熱燗まであります。
さらに最近はスパークリング日本酒も発売され、人気を博しています。
もう飲まれましたか?