100年の時を経て復活!ライムストーンブランチ蒸留所から、おすすめバーボンを見てみよう
バーボンといえばケンタッキー。
これは世界共通の認識と言えます。
アメリカのみならず、全世界で人気を集めるバーボンはほとんどがケンタッキー産。
この地域には古く伝統的な蒸留所が多く存在しています。
ご紹介したい「ライムストーンブランチ蒸留所」もその一つ。
しかしずっと蒸留を行ってきたわけではなく、最近復活を果たした蒸留所です。
ライムストーンブランチ蒸留所とおすすめバーボンを見てみたいと思います
目次
ケンタッキーはバーボンの故郷!
全世界的にウイスキーブームが続く中、アメリカンウイスキーの代表であるバーボンも売り上げをのばしています。
この人気を受けて、バーボンの生産量は過去の150%を記録しているのです。
そんな人気の高いバーボンは、アメリカでしか生産されないウイスキーです。
アメリカの規定ではバーボンはアメリカ合衆国内でつくられねばならない、とあります。
しかし実際のところ、生産されているバーボンの95%はケンタッキー産。
有名どころのバーボンはほとんどケンタッキー州内でつくられているのです。
バーボンの始まりはケンタッキーから!
バーボンの歴史はアメリカの歴史。
つまり、バーボンが生まれたのは1789年、アメリカ合衆国発足の年と言われています。
創始者は「エライジャ・クレイグ牧師」。
「バーボンの父」と呼ばれています。
バーボンの名前の由来はフランス王朝「ブルボン家」からきたものです。
「バーボン」は「ブルボン」の英語読み。
当時、合衆国独立を支援してくれたブルボン家に感謝の意を示すため、ケンタッキー州の一部を「バーボン郡(bourboncounty)」と名付けたのです。
この地域で生産されたアメリカンウイスキーはいつしか「バーボン」と呼ばれ、愛されるようになりました。
バーボンウイスキーってどんなもの?
アメリカンウイスキーとして人気の高いバーボン。
他の有名なウイスキー、スコッチやアイリッシュとは味わいやまろやかさが異なります。
それは原材料の違いや製法の違いからくるもの。
スコッチウイスキーはメインに大麦を使用しますが、バーボンは原材料の半分以上にトウモロコシを使用しなければなりません。
その他の穀物としてはライ麦が一般的。
ライ麦はピリッとスパイシーで、刺激的な口当たりが特徴的です。
バーボンを口に含むとちょっとピリッとしますが、これはライ麦からくるものなのです。
逆に、ライ麦の代わりに小麦を使用したバーボンもあります。
メーカーズマークなどはその代表で、小麦によるなめらかで優しい口当たりが特徴。
女性や初心者にもおすすめのまろやかさです。
また、カクテルベースとしてもクセが少ないのでおすすめ。
バーボンといっても原材料や熟成期間によって様々な風味が楽しめます。
バーボンの歴史を分断した?禁酒法時代
建国以来バーボンを初めとするウイスキーがあちこちで製造されていたアメリカ。
しかし、ある時期を境に蒸留所の数が激減してしまいます。
禁酒法時代です。
これは1920年から1933年まで続きました。
この期間は消費のためのアルコールの製造、販売、輸送が全面的に禁止されたのです。
医療用としてアルコール製造を許された蒸留所もありましたが、それはごくわずか。
殆どの蒸留所はバーボンの生産中止を余儀なくされてしまいました。
「ムーンシャイン」が流行!
アメリカの禁酒法は1851年から段階的に施行されてきました。
この頃から禁酒法が廃止されるまで、合衆国のあちこちでは「ムーンシャイン」、いわゆる密造酒が盛んに作られるようになりました。
これは専らギャングたちの資金源となり、社会的にも大きな問題となります。
品質的にも劣悪な密造酒が多く、健康被害を訴える人も多かったそうです。
現在でもバーボンを作っている蒸留所で「ムーンシャイン」という名前のアルコールを販売しているところがあります。
これは政府の認可をきちんと受けたもので、厳密な意味での「ムーンシャイン」ではありません。
当時の雰囲気や味わいを感じることが出来るようにアレンジされたもので、人気カテゴリーの一つとなっています。
ライムストーンブランチ蒸留所(LIMESTONE BRANCH DISTILLERY)
ライムストーンブランチ蒸留所が作られたのは2012年のことです。
創業者は「スティーブ・ビーム(SteveBeam)」と「ポール・ビーム(Paul Beam)」の兄弟。
彼らの祖先は禁酒法時代によって蒸留が禁止されるまで、5世代にわたってウイスキー製造を続けていました。
ビーム兄弟はこの家族の歴史の分断の歴史を終わらせたいと願い、自分たちで蒸留所を再開することを決めたのです
ビーム家の歴史を簡単に見てみよう
バーボンと呼ばれるアメリカンウイスキーの製造を始めたのは「ジェイコブ・ビーム(Jacobean)」。
彼は自宅の農場で独自にバーボンを生産していたのです。
そして1795年頃に初めて製品としてバーボンを販売。
彼のバーボンは「オールド・ジェイク・ビーム」と呼ばれ、現在のライムストーンブランチ蒸留所の基礎となっています。
その後、禁酒法時代が到来。
蒸留作業は全て違法となり、当時のビーム家のマスターディスティラーはカナダへと出国しました。
その後祖先のジェイコブから数えて7代目となるビーム兄弟が家族の伝統を再開させることを決意。
もともとの蒸留所から数マイル離れた場所に「ライムストーンブランチ蒸留所」を立ち上げました。
ケンタッキー州でも古く、最高の歴史を持つ蒸留所の伝統とレシピを持って、ライムストーンブランチ蒸留所は新たなウイスキーの蒸留を始めたのです。
イエローストーンハンドセレクテッドエイジド7イヤーズ105プルーフリミテッド・エディション
イエローストーンは1960年代にケンタッキー州でベストセラーを誇っていたバーボンの一つでした。
もともとはビーム兄弟の祖先の一人が所持していた「MCビーム」によって造られた蒸留所で製造されていました。
このブランドは「Luxco」の手に渡っていたのですが、ビーム兄弟が蒸留所を始めるにあたり、パートナー契約を結びました。
製造はライムストーンブランチ蒸留所で行い、事業管理と販売は「Luxco」が担当します。
長い間ビーム家から離れていたイエローストーンはやっと家族のもとに戻ったのです。
そしてこのバーボンの生誕105年を記念して、プルーフ105のケンタッキーストレートバーボンがリリースされました。
カラーは深く豊かな琥珀色。
香りは砂糖漬けのイチジクやシナモントーストの甘い香りです。
オーク由来のバニラ、カラメルも感じます。
味わいは深くまろやか。
タフィー、ドライフルーツ、ライ麦由来のスパイシーな口当たり。
シリアルナンバー入りの限定生産です。
イエローストーンセレクトケンタッキーストレートバーボン
スムーズで豊かな味わいのバーボン。
ビーム兄弟によって慎重にセレクトされた原酒をボトリングしました。
全ての工程は手作業で行われています。
カラーは深い黄金色。
香りは革製品のようなドライさを感じます。
さらに、スモーキーオーク由来のドライフルーツも香り、複雑で繊細なアロマです。
口に含むとスパイシーなライの風味。
ドライチェリーとカラメルの甘いなめらかさがあります。
黒砂糖のような甘さが長く残ります。
まとめ
禁酒法時代に途絶えた家族の歴史を復活させた「ライムストーンブランチ蒸留所」。
伝統のレシピと情熱で新しいバーボンを作り続けています。
この蒸留所ではバーボン以外に「ムーンシャイン」も人気。
中でも変わり種は「ムーンパームーンシャイン」です。
ムーンパイとはアメリカで古くから愛されてきたお菓子。
チョコレートとマシュマロがメインで、日本で言うと「エンゼルパイ」のような感じです。
この「ムーンパイ」味の「ムーンシャイン」が大好評。
甘く懐かしい味わいだそうです。
ライムストーンブランチ蒸留所のバーボンと同様、チェックしてみて下さいね。