ブランデーの基礎知識
焼酎、ウイスキー、ウォッカ、テキーラなどと並ぶ世界的に有名な蒸留酒がブランデーです。
ブランデーはワインと同じく地域や使用されるブドウ品種によっても味が異なりますが、更に地域や蒸留方法や蒸留器の形状によっても味が変わってしまう繊細なお酒です。
最近はブランデーに本当に利用される白ブドウをブランデーにするための栽培方法で栽培し、収穫したものを利用したジュースが話題になりました。
ブランデーとは
ブランデーは、主にブドウから出来たワインを蒸留した蒸留酒をそういいますが、他にもリンゴや洋ナシ、サクランボやプラムから作られた果実酒を蒸留して作ったものもあります。
こういったブドウ以外の果実で作られたブランデーを、ブドウから出来たブランデーと別けるためにフルーツブランデーと呼ぶこともあります。
名称の由来はオランダ語のbrandewijnからきており、意味はワインを焼いたものという意味です。
品種
主にユニブランもしくはサンテミリオンと呼ばれる白ブドウから作ったワインを利用します。
理由はユニブランは他のブドウ品種と比べて酸が強く糖が低いためで、糖が少なければ雑菌が湧きにくく更に酸によっても雑菌を防げるからです。
この品種から出来たワインは糖が少ないためアルコールが低く、大体ウイスキーの蒸留に利用されるモルトワインと同じ7~8度くらいのアルコールです。
蒸留
これを蒸留するのですが、蒸留器は単式蒸留器と半連続式蒸留器があります。
そして蒸留が終わって出来たスピリッツを熟成させます。
熟成期間は5年から25年以上になりますが、多くのものは5年から8年です。
長期熟成させたものを新しい若い原酒とブレンドして味のバランスをとる場合も多いです。
アルコール度数は40~50度ほどになります。
ブランデーの歴史
フランスのルイ14世が1713年にブランデーを保護する法律を作りました、その後ヨーロッパ各国の宮廷でもブランデーが飲まれるようになり主に王侯や貴族たちに楽しまれていました。
スペインでワインから蒸留されたbrandeviinと呼ばれていたものが見られるようになったのは7~8世紀頃で、現在でもブランデーの産地として有名なランスのコニャック地方やアルマニャック地方では15世紀頃にはすでにブランデーの生産が始まっていました。
地域別特定名称
ワインにはアペラシオン・ドリジーヌ・コントロレという地域ごとに製法、原料となるブドウ品種などを厳しく制限するものがありますが、ブランデーにも同じようにアペラシオン・ドリジーヌ・コントロレがあり、1909年以降にはコニャック地方やアルマニャック地方でも地域ごとに製法が厳しく制限されています。
そのために、シャンパーニュ地方以外で作られたスパークリングワインをシャンパンと呼べないように、コニャック地方やアルマニャック地方以外で作られたブランデーもコニャックやアルマニャックという名称を付けることは出来ないようにされています。
コニャック・アルマニャック地方
コニャック地方やアルマニャック地方では44~45年熟成させたブランデーをナポレオンクラス (XO)と呼びますが、このクラスを超えるものは樽香が強く一見すると麦茶かと思ってしまうほどなので、香りを立たせるための飲み方が重要になります。
グラスや飲み方
ブランデーグラスはピノ・ノワール・ア・ジュ・ブラン種の繊細な香りと味を味わうためのブルゴーニュのワイングラスと同じく、底が広くて口が狭くなっています。
主にブランデーの飲み方はストレートで、ブランデーグラス少量のブランデーを入れて飲むことが多いです。
温度が上がると揮発性の香り成分が揮発し始めるので、グラスの底を下から手のひらで包み込み手の体温で温めたり、空気を含ませ香りを立たせるためにスワリングをしながら飲むのがブランデーのおすすめの飲み方になります。
調理の利用
ブランデーはラム酒と同様に洋菓子の香り付けに利用されたり、肉料理に風味を付け味の骨格を強くするためのフランベにも利用されています。
スーパーマーケットでもよく売っており、料理や洋菓子作りに利用されるVOクラスのブランデーは11~15年も熟成されています。
16~20年熟成させたものはVSOと呼ばれ、次のVSOPクラスになると20~30年熟成されています。
フルーツブランデー
ブドウ以外のブランデーはフルーツブランデーと呼ばれていますが、その中でもそれぞれに呼び名があり、リンゴから作ったアップル・ブランデーは有名なカルバドス、サクランボから作ったチェリー・ブランデーはキルシュヴァッサー 、ラズベリーが原料のものは単にフランボワーズ、プラムやプルーンなどのスモモから出来たものはスリヴォヴィッツ、洋ナシに加えてリンゴを原料としたオープストラーというものもあります。
まとめ
ウイスキーがトウモロコシ、大麦麦芽、ライ麦などから作られる穀物の蒸留酒ですが、ブドウやその他の様々なフルーツで作られる蒸留酒がブランデーになります。
樽熟成を長い期間行うのがヨーロッパの蒸留酒の基本ですが、まず初心者はマールやグラッパなど、果実の香りが残る熟成させないブランデーから試してみるのもよいかも知れません。