ウイスキーの聖地・アイラ島に行ってみよう。 宿泊は蒸留所直営のホテルがおすすめ!
スコッチウイスキーといっても、造られる地域によって味は様々なのはご存知の事と思います。
ハイランド、スペイサイド、ローランド、キャンベルタウン、そしてアイラ島…。
これら有名産地の中でも、アイラ島はスコットランド本来の美しさを今に伝える観光地としても人気があります。
そんなアイラ島には、スコッチウイスキーの蒸留所は8つ。
その中には宿泊施設も可能な蒸留所があるとか。
どんな蒸留所なのでしょうか。
目次
アイラ島ってどんなところ?
アイラ島は、スコットランド西側に広範囲に広がるヘブリディーズ諸島の南端にあります。
すぐ横にはジュラ島があり、「ヘブリディーズ諸島の女王」ともよばれる、風光明媚な島。
現在の人口はおよそ3400人と少ないですが、スコットランドらしい風景が残る島として人気の観光地で、バードウオッチングや釣り、ゴルフ、トレイルなど数多くのアクティビティを提供しています。
また、気候はスコットランドの他の地域よりは温暖で過ごしやすいのが特徴です。
それはこの辺りの地域がメキシコ湾流の影響を受けているため。
雪はめったに降らず、降ったとしてもすぐに消えてしまいます。
ただ、スコットランドらしい荒々しい気候は健在で、大西洋から吹き付ける強風が様々な障害となることはめずらしくありません。
特に9月以降イースターあたりまでは短期間で天候が変わる不安定な日が多いとか。
アイラ島へ訪れる際には不安定な気候の変化も想定してプランを組むことをおすすめします。
アイラ島といえばアイラモルト!
自然のアクティビティが楽しめるアイラ島ですが、アイラ島を語る上で決して忘れてはいけないのが「アイラモルト」と呼ばれるアイラ島産のウイスキーです。
スコッチウイスキーの5大産地の一つとして数えられるアイラ島には、現在8つの蒸留所が存在しています。
1880年代に英国内全土の蒸留所の記録を残したバーナードによると、当時のアイラ島には当時9つの蒸留所があったそうです。
現在までに半減したり、ほとんどなくなってしまったという地域が多いのと比較するとアイラ島の人々はウイスキー造りにかける情熱が強いという印象を受けますね。
アイラ島ではなぜウイスキー造りがさかんになったの?
地理的に、アイラ島はアイルランドに近く、アイルランドから様々な技術や産物がもたらされてきました。
ウイスキーの蒸留技術もその一つと考えられています。
ですからスコットランドの他の地域よりもかなり早くから、アイラ島ではウイスキーを造り始めていたのです。
また、アイラ島ではウイスキー造りに欠かすことのできない大麦、水、燃料となるピートが比較的簡単に入手できました。
ウイスキー課税されるようになってからも、徴収官はアイラ島には不在。
その結果、この島では大量の密造酒がつくられ、他の地域よりも長い間製造が行われていました。
密造酒は島の貧しい農家が生きていくための手段の一つとなり、アイラ島の人たちとウイスキー造りが切っても切れない関係になった理由の一つです。
アイラモルトの特徴とは…
ウイスキーを飲みなれない人にとって、アイラモルトはかなりクセの強い味に感じるかもしれません。
しかし一方でこの独特の味わいにはまった人は他のスコッチでは物足りなく感じることもあります。
それほど印象的な味わいであり、特徴を持つのがアイラモルトなのです。
一般的にアイラモルトはピートによるスモーキーさが特徴と言われます。
アイラのピートは燃えると薬品のような強い匂いを放ちます。
これがウイスキーに強烈な風味を与え、他とは違うものにしているのです。
この独特の個性は高く評価され、他のブレンディッドウイスキーに隠し味として使用されたり、ブレンドの特色を出すためには必須のモルトと言われるようになりました。
シングルモルトウイスキーが好まれる現在、アイラ島の独特の風味はさらに人気が高まり、愛好家が増え続けています。
他のスコッチとの違いはピート!
アイラ島はピート原野が島の大部分を占めています。
ピートとはヒースなどの植物の遺骸土で、泥炭または草炭と呼ばれるもの。
100年かかってもわずか数センチしか堆積しないそうです。
そんなアイラ島のピートはスコットランド本土とは少し違っています。
どんな点が違うかといいますと、潮の香です。
前述のとおりアイラ島は海風が強く吹き荒れます。
強風の日は海風に乗って霧の様に海水が飛来し、ピートに染みわたっていくのです。
こうして潮の香がたっぷりとしみこんだピートはスコットランド本土のものとは全く異なるものになり、このピートを使用することによって麦芽は独特の燻香を持つようになるというわけなのです。
ボウモア蒸留所(Bowmore distillery)
ボウモア蒸留所はアイラ島の中心部に位置しています。
アイラ島の中ではもっとも古い歴史を持ち、スコットランドにおいても二番目に古い蒸留所で、島内の蒸留所では唯一エリザベス2世が訪問した場所でもあります。
蒸留所の創業は1779年。
経営の悪化ごとにオーナーを変えましたが、現在は日本の酒類メーカー・サントリーホールディングスの子会社となっています。
サントリーが資本介入する以前にはあまり蒸留は行われず、施設も古かったのですが、サントリー介入後は経営の立て直しが行われました
ボウモア蒸留所のこだわり
スコッチのほとんどの蒸留所が製麦会社に麦芽製造を依頼しているのに対し、ボウモア蒸留所ではいまだに蒸留所内でフロアモルティングを行い、麦芽を製造し、発芽を止める乾燥工程でピートを焚いています。
現在もキルンと呼ばれる麦芽乾燥塔から煙がたなびくのは稀有な眺めと言えますね。
ボウモア蒸留所に宿泊する!
もしアイラ島を訪れる機会があれば、是非おすすめしたいのが、ボウモア蒸留所が経営する宿泊施設「ボウモアコテージ(Bowmore Distillery Cottages)」に滞在することです。
こちらに見学するとボウモア蒸留所の見学ツアーが無料でついてきます。
まさに蒸留所を満喫できる宿泊施設なのです。
コテージはそれぞれ5つほどで、それぞれ2~14人の定員が定められています。
各コテージには名前があり、「Maltman’s Cottage」「Mashman’s Cottage」、「Garden Cottage」、「Stillman’s Cottage」「Distillery House」と、蒸留所に因んだ名前が付けられているのも面白いですね。
スコットランドの4つ星ホテル基準なので、どこに宿泊しても快適です。
部屋ごとにトイレ、シャワー、洗面台が付き、アメニティも揃っています。
さらに蒸留所らしいといえば、どの部屋にもボウモアの無料ボトルがプレゼントされていること。
居心地の良いソファもあるので、ゆったりとくつろぎながらウイスキーを傾けるというのもおすすめです。
朝食はついていませんが、キッチン付きの部屋もあるので自分で調理することも可能です。
裏手はすぐ海という自然豊かな場所。
朝食後にゆったりと回りを散策するのもいいですね。
清潔でグレードも高いことから、かなり人気の宿泊施設のようです。
コテージに宿泊するともらえる「BOWMORE 12YEARS」
各コテージに一つずつ無料でプレゼントされているのがボウモア蒸留所で造られた「BOWMORE 12YEARS」のボトルです。
ボウモア蒸留所を代表する逸品と言われています。
コテージに宿泊したその夜に空にしてしまう人も多いとか。
アイラモルトの真髄ともいえるウイスキーです。
- カラー:琥珀色
- 香り:スモーキーレモンハチミツ
- 味わい:スモーキーでダークチョコレートを思わせる深く温かみのあるコク
ウイスキーが造られた場所で、その名のウイスキーを飲むなんて最高の贅沢と言えますね。
まとめ
アイラモルトの巨人とも言われるボウモア蒸留所。
現在はサントリーの子会社ですが、古くから伝わる製法や手順を厳密に守り続けています。
そんなボウモア蒸留所に行く機会があるなら蒸留所内のコテージに宿泊するのがおすすめです。
とても清潔で広く、スコットランドスタイルなので旅気分も上がること間違いなし。
無料でついてくる蒸留所ツアーに参加すれば、ますますアイラモルトウイスキーのファンになるのではないでしょうか。
かなり人気のようなので、ご予約は早めに行うことをおすすめします。