スコットランド・アイラ島の個性豊かなウイスキーを楽しもう
ウイスキーはお好きですか?
好きだという人も、その好みも様々だと思います。
スコッチが好き、バーボンが好き、ニッカウイスキーのファンなどなど。
ウイスキーの産地も様々ですが、ウイスキー好きなら避けて通れないのがスコットランドのアイラ島。
この地で製造されるアイラウイスキーは、強烈な個性の塊です。
一度は試してみたいアイラウイスキーについてご紹介します。
スコッチ・ウイスキーのおさらい
スコットランドはウイスキーの世界的産地の一つです。
スコットランドで作られるのがスコッチ・ウイスキー、略してスコッチです。
ピート香とは
産地としてのスコッチの特徴は、独特のビート香にあります。
ウイスキーの原料、麦芽を乾燥させる際に燃料として泥炭を使うのですが、この香気がつくことで、独特の香りが生まれます。
泥炭は地中に埋まっている化石燃料で、石炭のなりかけのようなもの。
現在では技術も進んでいますから、泥炭を使って麦芽を乾燥させる必要はありません。
泥炭を使うのは本来の目的のためではなく、麦芽にスモーキーフレーバーを付け、個性豊かなウイスキーを生み出すためといっていいでしょう。
スモーキーフレーバーと称されるピート香をたたえたウイスキーは、好きな人には病みつきになるものですが、苦手な人にとってはとことん苦手です。
薬品の匂いと感じる人も、決して珍しくありません。
アイラウイスキーとピート香
アイラ島のウイスキーは、このピート香がスコッチの中でももっとも強いとされているのです。
ウイスキーのピート香をこよなく愛する人にとっては、まさに聖地アイラといえるでしょう。
ウイスキーの聖地アイラ
Islayと書くアイラ島は、アイレイと読んだ時代もありますが、現在では日本でもアイラで統一されているようです。
グラスゴーから西に100km、南北に長いブリテン島の北西部にある、淡路島程度の大きさの、人口4000人の島です。
南側にはアイルランド島を臨みます。
アイラのウイスキーブランド
アイラ島は、スコットランドで最も美しいと評する人も多い、自然豊かな土地です。
世界初の商用波力発電所もこの地にあり、潮流発電所も計画されています。
メキシコ湾流により比較的温暖なこの島の風土が生みだしたウイスキーのブランドには、次のものがあります。
- アードペッグ
- ラフロイグ
- ボウモア
- ラガヴーリン
- ブナハーブン
- ブルイックラディ
- カリラ
- キルホーマン
いずれも、ウイスキーのブランド名であるとともに、蒸留所の名前です。
ひとつの蒸留所が作るウイスキーは単独ブランドである場合が多く、これは世界的には普通のことです。
日本のように、いくつものブランドを送り出す大メーカー蒸留所のほうが珍しいのです。
値段は、熟成年数の長くない通常のボトルで4~6千円くらいはしますから、少々贅沢品です。
アードベッグ
アードペッグなど、初めて口にした人は心底驚くでしょう。
どう考えてもお酒というより、薬としか思えない強い味わいが、口の中一杯に広がるはずです。
そんな強烈なウイスキーであるからこそ、アードペッグは熱狂的なファンを抱えています。
じっくり味わうなら、薬臭さの奥に、大自然の香りを感じることでしょう。
このアードペッグは、高名なブレンドウイスキー、「バランタイン」の原酒としても有名です。
アイラ島にあるような8つの蒸留所では、看板ブランドをボトル詰めしているだけでなく、このように大手ウイスキーメーカーにブレンド原酒を供給していることが多いです。
バランタインのような、飲みやすさに定評のあるウイスキーのボディを、強烈なアードペッグが作っているのは不思議ですが、それこそがウイスキーのブレンドの面白さです。
ブレンドも、ウイスキーを魅力的にしているものですが、各蒸留所で丹精込めて作られる、個性的なシングルモルトと呼ばれるウイスキーの魅力があってこそのブレンドです。
不振で一度閉鎖してしまったアードペッグですが、20世紀末に見事復活を遂げました。
ラフロイグ
ラフロイグ、それからボウモアは、現在サントリーの傘下にあります。
バーボンのNo.1ブランドを傘下に収めた世界的メーカーのサントリーですが、アイラウイスキーも取得しているのです。
これらのブランドは、日本でも容易に入手できます。
英王室御用達のラフロイグもまた、アイラの中でも強烈さを誇るウイスキーで、アイラモルトの王と評されます。
ここの蒸留所の所長は言いました「No half measure!」。
好きか嫌いかで、どっちつかずはないということでしょう。
サントリーは、この強烈なお酒のソーダ割をかつて勧めていましたが、ソーダではちょっとラフロイグには太刀打ちできないかもしれません。
それでもソーダで割ってみると、強烈な味わいの中に、不思議な爽やかさが漂います。
ラガヴーリン
アイラの巨人と呼ばれるラガヴーリンは、ホワイトホースの原酒として知られています。
ラガヴーリンもまた、アイラらしいピーティなウイスキーです。
ホワイトホースはマイルドなウイスキーですから、これもまた、ブレンドの織りなす妙です。
ラガヴーリンには、「水車小屋のある湿地」という意味があるそうで、名前の通りの湿度の高い気候をフルに活かし、スタンダードクラスが16年と、長期熟成のウイスキーが生まれてきます。
カリラ
カリラは、ジョニーウォーカーの原酒で、アイラ最大の生産量を誇ります。
ゲール語で「アイラ海峡」という意味を持つカリラは、ピート香はしっかりするものの、やや控えめで飲みやすいスコッチです。
ブナハーブンとブルイックラディ
スコッチの中でもヨード香が強烈なアイラウイスキーですが、すべてがそうではありません。
ブナハーブンやブルイックラディは、ピート香はごく控えめです。
ですが、それらのウイスキーにアイラらしさが足りないわけではありませんし、人気が乏しいわけでもありません。
こちらを味わって、おいしいと思ったら、ボウモアなどに徐々に進んで行くのも楽しいでしょう。
ブルイックラディは、アイラ島栽培大麦を使用し、全てのウイスキー樽を島内で熟成させるなどの取り組みでも注目されています。
キルホーマン
さて、蒸留所はしばらく以上の体制だったのですが、2005年から新たに新顔の蒸留所、キルホーマンが誕生しました。
シングルモルトが出荷されたのは2009年のことです。
キルホーマンは、アードペッグを上回るさらにヘビーな味わいです。
規模も小さく、日本での取り扱いはまだ少なめです。
キルホーマン蒸留所では、モルトの一部を自社の畑で栽培するという、「ファームディスティラリー」を実現しています。
まとめ
アイラ島の風土で育まれる、個性豊かなウイスキーたちをご案内しました。
ダメな人はまったく受け付けないかもしれません。
ですが、落ち着いて味わえば、強烈な口当たりの中に、ちゃんとそのウイスキーならではの調和が感じられるはずです。
日本でも、アイラウイスキーの入手は比較的容易です。
ぜひ一度味わってみてください。