バーボンのあらましと初めて飲むにふさわしい定番銘柄3選
バーボンという言葉は、お酒が好きな方の間では、定番のワードとして使われます。
お酒が好きでない方でも、コンビニのお酒コーナーなどで、自然とバーボンのボトルを見たことがあることも多いと思います。
しかし、よくよく考えてみると、バーボンとは、そもそも、どのようなお酒のことを言うのでしょうか。
よく耳にする言葉ですが、使われ方が曖昧になっているような気がします。
この記事では、バーボンの歴史と、明確な定義を明らかにします。
同時に、代表的なバーボンの銘柄をご紹介します。
読み終わる頃には、バーボンが飲みたくなるかもしれません。
バーボンの歴史
まずは、バーボンとは何か、ざっくりと知るべくバーボンの特徴と歴史をご紹介します。
バーボンが辿って来た歴史と物語を知ることで、きっと、飲んだ時の味わい深さが違ってくることでしょう。
そもそもバーボンとは
バーボンは、正確には、バーボン・ウイスキーと呼ばれます。
英語名も” bourbon whiskey”とそのままの名称です。
バーボンとは、実はウイスキーの一種なのです。
バーボンという通り名があまりにも有名なため、あたかも「バーボン」という種類のお酒があるようですが、実際には、アメリカのある特定の地域で、特定の製造方法を守って製造されるウイスキーのことを、バーボン・ウイスキーと呼んでいるのです。
バーボン・ウイスキーのバーボンとは、アメリカのケンタッキー州にある郡の名称です。
元々の語源は、フランス語の「ブルボン(ブルボン王朝)」に由来すると言われています。
アメリカ独立戦争の際、アメリカに味方したフランスに感謝する意味をこめて、トマス・ジェファーソンが名付けたとされています。
後に、そのバーボンで生産されるウイスキーに地名を取って、バーボン・ウイスキーという名前が着けられたのです。
バーボンを初めて作ったのは牧師さん
地名に由来する名前を持つバーボンですが、実は、初めて製造したのは、何と教会の牧師さんだと言われています。
初めてバーボンを作ったのは、アメリカのバプテスト派の牧師である、エライジャ・クレイグという人物だと言われています。
クレイグ牧師は一度、教会の牧師として叙任されますが、その説法が風紀を乱す恐れがあるとして、短期的に収監された経歴を持ちます。
後に、クレイグは実業家に転じ、製紙業と繊維業で成功しますが、その副業としてウイスキーの製造に手をつけます。
そのウイスキーの製造過程で、誤って内部が焼けた樽にウイスキーを入れたものを放置していたところ、開封してみると、何とも香りの良いウイスキーが出来上がっていた、というのがバーボンの興りであるとされています。
この出来事は、クレイグ牧師がウイスキーの製造を初めた1800年前後のことと言われています。
エライジャ・クレイグは現在、「バーボンの父」としてその名を残し、その名は、現在販売されているバーボン・ウイスキーの銘柄として使われています。
バーボンの定義
牧師さんが、初めて製造したという何ともユニークな起源を持つバーボンですが、現在では、アメリカの法律により、明確な定義がなされています。
国によって分類の方法は異なりますが、多くの国では、アメリカの法律に準拠する形で定義されています。
バーボンの正確な定義
アメリカの法律では、バーボンと呼ぶには、下記の製造法を守ることが必要だとされています。
●アメリカ合衆国で製造された
バーボンの元々の発祥がケンターキー州のバーボン郡に由来するため、当然と言えるでしょう。
ちなみに、他のウイスキーの名産地と合わせ、バーボンは世界5大ウイスキーのひとつとも言われています。
●原材料の中のトウモロコシの含有量が51%以上であること
原材料に使われるトウモロコシの割合の高さはバーボンの代表的な特徴とされています。
トウモロコシを豊富に使用するところが世界で製造される他のウイスキーとの大きな違いです。
●新品の炭化皮膜処理を施したオーク樽を用いる
クレイグ牧師が偶然焼けた樽でウイスキーを製造したというバーボンの起源を忠実に踏襲しています。
バーボンがウイスキー独特の甘ったるさを残さず、ガツンとしたキレのある味わいを保っている秘訣かもしれません。
●80度以下の度数で蒸留され、樽に入れる前は62.5度以上、瓶詰めする際の度数が40度以上であること
法律でお酒の製造方法がここまで厳密に定義されていることは驚きです。
製造方法を厳密に定義することで品質を保っていることが、バーボンが世界的に流通している所以なのかもしれません。
バーボンを代表する銘柄
クレイグ牧師が作って依頼、200年以上の歴史を持つバーボンですが、現在でも、法律により、製造方法が厳格に定義されながら、多くのメーカーが製造を続けています。
ここでは、多くのブランドが流通するバーボンの中から、入門編としてふさわしい代表的な銘柄を3つに絞ってご紹介します。
日本でも有名なお酒ばかりですが、歴史と製造法を知った後では、きっと味わいが深まるに違いありません。
I.W.ハーパー
日本でも定番として扱われるバーボンの代表銘柄です。
ブランドネームは、製作者のアイザック・ウォルフ・バーンハイムとその友人のフランク・ハーパーに由来すると言われています。
優れた品質から世界中の博覧会で合計5つのメダルを獲得し、それが現在のラベルデザインの元になっているそうです。
ガツンと来るアルコールの味が第一印象でありながら、後味は、バーボンの原料となるトウモロコシならではの甘みを残した、バーボンらしい、味わいを持つお酒です。
ストレートで頂き、バーボンのガツンとした味わいを楽しむのも良し、ソーダ割りや水割りにしても個性が生きて独特の味わいが楽しめるお酒です。
フォア・ローゼス
フォア・ローゼスはケンタッキー州のローレンスバーグで製造されるバーボンです。
ブランドネームは、公式ホームページでは、ブランド創業者の意中の女性が、もし、告白を受け入れるならバラのコサージュを身につけると話したことから、取られていると説明されていますが、他にも諸説あり、はっきりとはしていません。
バラという名前を持つだけあり、香りが芳醇なバーボンで、グラスに注ぐと穀物の豊かな香りが広がります。
飲みくちはしっかりとお酒の味わいがしながら、後を引かず、爽やかな香りが鼻に抜けるのが特徴です。
ロックやハイボールで頂くと、香りが開き、華やかな雰囲気を楽しむことができます。
ワイルドターキー
名の通り、ラベルに七面鳥の描かれたデザインが特徴的なバーボンです。
日本のドラマや漫画にもたびたび登場し、お酒を飲まない方にも馴染みの深いブランドではないでしょうか。
ブランドの由来は、バーボンを製造するオースティン・ニコルズ社の社長であるトマス・マッカーシーという人物が七面鳥のハンティング仲間に酒を振る舞ったところ好評を博し、仲間の一人が「ワイルドターキー」と名付けたのが始まりとされています。
バーボンらしいアルコールの味を強く主張する飲みくちですが、喉越しが良く、後に嫌な後味を残さないのが特徴です。
すっきりとした味わいのため、ハイボールにも適しています。
初めてバーボンを飲む方にも飲みやすく、おすすめできるお酒です。
まとめ
バーボンは、日本のバーや酒屋でも多く扱われる定番のお酒ですが、言葉だけが先行し、あいまいなまま使われています。
せっかく飲むお酒ですので、その歴史やブランドの名前の由来を知ってみるのもまた一興です。
バーボンに限らず、今晩の晩酌のお酒について、ちょっと調べてみると、また違った楽しみ方ができるかもしれません。