バーボンの”コク”と”世界”をさらに深める豆知識集
スコッチ・アイリッシュ・カナディアン・ジャパニーズとくれば、残りはお分かりでしょうか?
そう、”バーボン”です。
生産地によるウイスキーの区分のことですね。
さて皆さんは普段からバーボンウイスキーを楽しまれているでしょうか?
あの穀物の甘味と木樽に由来する渋みは、バーボンならではですよね。
しかし、味や風味だけでは語れない魅力というものがバーボンには存在します。
今回はそれをご紹介して、皆さんによりバーボンとの付き合いを深めて頂ければと思います。
バーボンは飲むけど、”バーボン”ってなんだっけ?
知識は味にコクを与える
さっそくバーボンウイスキーがお好きな方にお聞きしますが、“バーボン”の語源や歴史背景について語れるでしょうか?
バーボンが好きだといっても、そういった“うんちく”要素を気にしたことはないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
確かに、お酒なんてものは飲めればいいと言われればそれまでです。
しかし、ウイスキーをはじめとしたスピリッツは、歴史を追っていくと様々な時代背景や、昔の人の努力が背景にあります。
それらを知ることで、お酒の味わいに“イメージ”や“知識”が深みをプラスすることもあるものです。
バーボンの語源はフランスから来ている
アメリカ西部劇でよくガンマンが飲むような、男らしくアメリカンなイメージからは想像もできないかもしれませんね。
バーボンは英語の綴りで「Bourbon」と書きます。
これをフランス語読みすると、「ブルボン」になります。
フランスのルイ14世の時代に栄華を極めた、あのブルボン朝が由来となっているのです。
関係ないですが、あの大手お菓子メーカーも、ブルボン朝が由来と言われています。
アメリカの独立戦争の際、フランスが援助してくれたことに感謝する意味をこめて、ケンタッキー州にバーボン郡が生まれたのです。
バーボンは生まれるべくして生まれた
バーボンの絶妙なコーンの甘味や、荒々しい飲みごたえは特徴的ですよね。
バーボンが製造された時代を振り返ると、アメリカはまだ開拓期でした。
ウイスキー製造のノウハウをたっぷり溜め込んで入植した当時のイギリス系の移民によって、バーボンのプロトタイプが誕生します。
そして、西へ西へと開拓していくと、ケンタッキー州のバーボン郡に付き当たります。
この地はトウモロコシの生産地であり、鉄分をろ過する特殊な石灰石“ライムストーン”が地盤に含まれています。
トウモロコシはバーボンに深くコクのある甘さを与え、ろ過された水は、お酒を発酵させる時に発生する酸を抑制し、バーボンの雑味は荒々しい旨みへと昇華されていきます。
バーボン郡は、バーボンウイスキーのためにあったのです。
ジャックダニエルはバーボンの仲間なのか?
テネシー州で作られたバーボン?
バーボンウイスキーの定義として、トウモロコシを51%以上使用し、アメリカのケンタッキー州で蒸留されたことが主な条件となっています。
おそらくバーボンの中でもよく周知されている“ジャックダニエル”という銘柄があります。
このウイスキーは、バーボンウイスキーとして数えられていますが、実は一部条件を満たしていないのです。
ジャックダニエルは、“テネシーウイスキー”といって、アメリカのテネシー州で製造されています。
製造地の段階で、バーボンと矛盾していますよね。
それだけでなく、蒸留して熟成させた後、“サトウカエデの木炭でろ過したもの”という条件もバーボンとは異なります。
結論:厳密にはバーボンではない
結論から言うとジャックダニエルは、法律上・製法上はバーボンと変わりません。
しかし、製造地や独自のろ過で、わずかに区別する要素があり、身も蓋もないことを言えばメーカー側が「テネシーウイスキー」と主張しているため、狭義の意味ではテネシーウイスキーと呼ぶということになります。
日本で見るテネシーウイスキーはレア?
ジャックダニエルが著名過ぎてあまり知られていないかもしれませんが、日本で流通しているテネシーウイスキーは他にもあります。
「ジェントルマンジャック」と「ジョージディッケル」です。
そう、実はジャックダニエルを含め、3種類しか存在しません。
上の2種類はあまり酒屋さんで見ることはないかもしれませんね。
バーボンと他のお酒の相性とは?
バーボンのコクを引き立てることがミソとなる
他のお酒との相性、つまり、カクテルを作るならばバーボンと何が合うか?
ということです。
単体でも十分美味しいお酒なので、バーボン特有のコクを引き立て、邪魔しないパートナーが必要になってきます。
皆さん、ハイボールでバーボンを飲むことはあるでしょうか?
簡単ですが、ソーダで割って、レモンを少し垂らす組みあわせが本当におすすめです。
ウイスキーというのは、加水することで風味が大きく変わるスピリッツです。
大胆にソーダを加えても、バーボンの強いコクは炭酸には負けませんし、風味がストレートの時よりも華やかに広がります。
バーボンのコクに負けないコクを持つものをぶつけると・・・
ハイボールを例に挙げましたが、これでは元々誰でもやるような飲み方ですので、少し面白い組みあわせをご紹介します。
それは、「カカオ」です。
ウイスキーボンボンはご存知でしょうか?
ウイスキーが中身に入ったチョコレートのことです。
チョコレートのコクとウイスキーのコクがぶつかり合うかと思いきいや、なかなかどうしてこの2つのコクは仲良しなのです。
シェイカーをお持ちの方なら、バーボンをベースにカカオを半分、残りはレモンやベリー系のリキュールを使ってシェイクすれば、さわやかでコクのある、飲むウイスキーボンボンを作ることができるので、是非ともおすすめします。
おすすめのバーボン3選
ジェントルマンジャック
先ほどご紹介したテネシーウイスキーの一つです。
最大の特徴は、ジャックダニエルの蒸留所のろ過の過程を、“2度”も行うことです。
雑味を取り払うためのろ過を繰り返すことによって、味わいになめらかさが表れます。
それだけでなく、サトウカエデの木炭をゆっくり通過することで、琥珀色の美しい色合いも実現しています。
ジャックダニエルとはまた違った深みのある味わいが楽しめるので、おすすめです。
ブッカーズ
最近では少し有名になってきたでしょうか。
63度というパンチの効いたアルコール度数と、バニラを思わせる甘い芳香のギャップが魅力です。
ブッカーズは“クラフトバーボン”と呼ばれます。
クラフトバーボンとは、原料のこだわりから始まり、仕込み~貯蔵までの過程で、製造者の意図や思想が強く反映されたバーボンを言います。
ブラントン
ブッカーズと並び、是非飲んで頂きたいバーボンです。
お値段が少々高めですが、ちゃんとした理由があります。
通常ウイスキーは、木樽(カスク)で熟成させるとき、品質を安定させるために樽同士でブレンドします。
ブラントンは、この過程を行わず、一つの樽で熟成し、ボトルに詰めているのです。
非常に難易度の高い管理が必要となり、手間暇かけて仕上げられているのがブラントンということです。
芳醇な香りとまろやかな味わいが、この塾製法によって約束されています。
まとめ
如何だったでしょうか?
今回はバーボンの歴史背景からちょっとした豆知識、おすすめのバーボンを挙げてきました。
バーボンの持つ深みは、ケンタッキー州の大自然の力と、長い時間をかけて築きあげてきたウイスキー製法ノウハウの結晶から成り立っています。
知ることによって、味わう際に“イメージ”が広がるのです。
一口バーボンを傾ければ、ライムストーンを流れる水の音や、トウモロコシが風に揺れる音が聞こえてくるかもしれませんね。