バーボンの奥深さを感じよう。 スモールバッチバーボンのおすすめ!
アメリカを代表するブラウン・リカー、バーボン。
世界中にもファンは多く、様々な銘柄が楽しまれていますよね。
そんなバーボンの中でも注目してみたいのが、スモールバッチと呼ばれるバーボンです。
少量生産に限定されたものが多く、メーカーそれぞれが製法やブレンドにこだわりを持って造っています。
ブランドのオリジナリティが伺える、スモールバッチバーボン。
どんなものがあるのでしょうか。
バーボンの製造方法って?
バーボンはウイスキーの一種とされていますが、スコッチなどの製法とは大きく異なります。
気になる製法をおおまかに記してみます。
バーボンの材料になるのは…
バーボンの主な原材料としては、トウモロコシ、ライムギ、大麦麦芽があげられます。
中でもトウモロコシは原材料の51%以上使用されなければなりません。
さらにスコッチと異なる点は、使用するモルトは六条大麦であるということ。
酵素力が強く、他の材料をまとめて糖化させるには六条大麦が最適なのです。
まずは材料を砕いて、糖化!
原材料はミルで粉々にされ、その後クッカーと呼ばれる鍋に入れられます。
その後、まとめて煮沸・糖化。
この時使用される仕込水は「ライムストーンウォーター」と呼ばれる、硬質のアルカリ水です。
そして蒸留廃液である「バックセット」も同時に投入。
モルトが良く働くように、鍋の中の酸度を理想的な状態に整えるためです。
この「バックセット」の酸度はPH4前後と少々強め。
この製法は「サワ―マッシュ製法」と呼ばれ、バーボン特有の製法です。
それから、発酵!
バーボンの発酵槽は「ファーメンター」と呼ばれます。
ステンレス製のものがメインですが、メーカーによってはあえて木製の発酵槽を使用しているところもあります。
この発酵槽を使用して発酵を行うわけですが、ほとんどのメーカーでは、自社オリジナルの酵母菌を培養しており、それを使用しています。
発酵期間は大体3~6日。
スコッチと比べると少々長めに取られています。
そして発酵が終わった後のアルコール度数は8~10度。
こちらはスコッチより強めです。
それから、蒸留!
バーボンの蒸留には連続蒸留器と、精留器を使用します。
これはそれぞれビアスチル、ダブラーと呼ばれています。
ビアスチルで取り出されたアルコール分を液体に戻し、その後ダブラーで精留する、という手順が一般的。
合衆国で決められているバーボンの定義によると、蒸留は80度以下で行われなければなりません。
最後に、熟成!
バーボンの熟成に使用される樽は、新品で内側だけを焦がしたオーク樽でなければなりません。
これがバーボンの最大の特徴と言っても過言ではありません。
バーボン特有のバニラ香や深い色合いは、こうした樽を使用することからできるものだからです。
樽詰めされる際のアルコール度数も決まっており、62.5度以下でなければなりません。
スコッチだと、67度前後。
比べてみると、少しバーボンが低めですね。
さらにスコッチとは棚での保管方法も異なります。
スコッチ製造には地面に近い、棚の低層に置くのがベストとされている一方で、バーボンは棚の最上層に置くのが好まれています。
この位置は苦み成分が多く出やすいとされるので、棚内のローテーションは必須です。
さらに、樽を焦がしてあるため、熟成しすぎは禁物です。
バーボン製造では、長期熟成は行われません。
せいぜい10~12年程度と言われています。
また、スコッチが造られるスコットランドよりも、バーボンが造られるケンタッキー州の方が平均気温はかなり高め。
そのため、熟成の際に消えてしまうアルコール分、いわゆる「天使の分け前」は1年目で10~18パーセントにも上るとか。
結構な量が失われてしまうのですね。
瓶詰めで、フィニッシュ!
最後は瓶詰めですが、この際のアルコール度数も規定があります。
40パーセント以上でなければなりません。
香料や着色料の使用も不可。
スコッチはカラメル色素のみは認められているということで、この点もバーボンとはことなりますね。
それでは、スモールバッチとは何?
ざっとバーボンの製造工程をご紹介しましたが、それではスモールバッチとはどんなものなのでしょうか。
実は、スモールバッチとはバーボンの種類を表しています。
通常、バーボン製造者はボトリングの際に、様々な樽からの原酒をブレンドします。
こうすることで品質が安定し、味も均一化できるからです。
通常のバーボンですと、数十種類の樽からブレンドされます。
このブレンド後の原酒を1バッチと数えます。
1バッチの量が10樽以下のものを「スモールバッチ」と呼ぶのです。
大抵の場合スモールバッチバーボンに使われる樽はエイジングや味にこだわったものが使用され、個性が強いのが特徴です。
各メーカーとも気合が入っているので、メーカーのこだわりと自信が伝わってくる、高品質なバーボンばかり。
通常のバーボンよりも高級なランクにあると言えるでしょう。
スモールバッチバーボンのおすすめは…?
バーボンを造るメーカーそれぞれにこだわりがあります。
スモールバッチとなれば、そのこだわりがさらにたくさん詰まっているのが当たり前。
ものすごくはまるものもあれば、全然だめ!
といいたくなるものもあるでしょう。
そんな訳で、万人向けのおすすめは難しいのですが、一般的に評価の高いスモールバッチバーボンを見てみたいと思います。
Michter’s(ミクターズ)
1753年にペンシルバニアで始まったメーカーです。
その後禁酒法時代を経て蒸留所は閉鎖されてしまいましたが、1990年代に入り、バーボンの故郷ケンタッキー州にて再び老舗メーカーの名前は復活しました。
現在もバーボン創世期からの伝統の味を守り続けています。
ミクターズ社のモットーは「コストは度外視」。
とにかく品質にこだわっています。
原材料も最高のものを使用し、作業工程も手間暇を惜しまず最良の方法で行っています。
こうして製造されるバーボンは高級品として、若者からも高い支持を受けています。
ミクターズ US1 スモール バッチ バーボン
アルコール度数は47.5度。
深い琥珀が美しいスモールバッチバーボンです。
プラムやチェリーといったフルーツの甘さが香ります。
樽由来のバニラ、キャラメル、オークも感じます。
まったりとした深い味わいです。
WOODFORDRESERE(ウッドフォードリザーブ)
バーボンの故郷、ケンタッキー州でも最古の蒸留所として知られているメーカーです。
「ケンタッキーダービー」唯一のオフィシャルバーボンを提供しているとして有名ですね。
伝統的なオリジナル製法で、現在も古き善き時代の味を今に伝えています。
ウッドフォードリザーブ
蒸留所のマスターディスティラーによって選別された、特別なバーボンです。
アルコール度数は43度。
石灰岩のブロックでできた、オリジナルの貯蔵庫で熟成されました。
スムーズで驚くほどなめらかな味わい。
バーボンにありがちな尖った部分を一切感じさせません。
ドライフルーツ、シナモン、バニラなど複雑なアロマが混じり合います。
最後はスモーキーさも感じられ、味の変化を楽しめる逸品。
ボトルも端正でスタイリッシュなので、贈り物にもおすすめできますよ。
まとめ
蒸留所のこだわりが伝わってくるスモールバッチバーボン。
バーボン好きなら是非試してみたいですよね。
バーボンのメーカーならかならずこだわりの一本がありますので、興味を感じたらそれぞれピックアップしてみるのも楽しそうです。
ストレートがおすすめですが、ソーダを足したり、ケンタッキーの味・ミントジュレップを作ってみたり…。
お好みの飲み方で、バーボンタイムをお過ごし下さいね。