バーボンウイスキーに生卵を入れると、コクのあるカクテルになります
子供のころにたまたま読んだアメリカの小話に、ウイスキーに生卵を入れる、という話がでてきました。
小話の内容そのものは忘れてしまったのですが、田舎町のおじいさんが「バーボンに生卵を落とすと、味がぐんとよくなる」と主張していて、風変わりな飲み方にかなり驚いたものですが、大人になったのちにふと思い出して調べてみると、出てくる出てくる……。
ラムに、ジンに、スコッチウイスキーに、リキュールに、生卵を入れて作るカクテルのレシピは山ほどあります。
小話のおじいさんの言ったとおり、バーボンに生卵を入れるレシピも、ちゃんとありました。
目次
1.都会らしい繊細な味・ロサンゼルス
バーボン+生卵のカクテルではこれが一番ポピュラーではないかと思います。
西海岸の大都市、ロサンゼルスが名前の由来ですが、直接的にどのような関係があるのかはちょっとわかりません。
レシピは、バーボンが45ml、レモンジュースが20ml、スイートベルモットがスプーン1杯(スプーンは基本的にティースプーンを使います)、砂糖がスプーン2杯、卵1個。
バーボンの甘みにレモンの酸味を加えて甘酸っぱくしあげ、卵を加えることでバーボンの個性を口当たりよくやわらげてあります。
軽く繊細な味わいなので、ワイングラスで飲まれることが多いです。
2.ロサンゼルスのアレンジ
上で紹介したのは基本の分量ですが、レモンジュースを減らしたり抜いたりするレシピもありますし、砂糖をコーンシロップに変えてもOKです。
バーボンをスコッチやライウイスキー(ライ麦が主原料のアメリカンウイスキー)にするレシピもあります。
好みで作っていいのですが、やっぱりバーボンが一番合うような気がしますね。
特有のバニラ香がしっかりして、甘みが強めの銘柄がおすすめです。
3.歴史と伝統の味・バーボン・エッグノッグ
エッグノッグは牛乳に砂糖や卵、香辛料などをまぜた飲み物です。
いわゆる「ミルクセーキ」によく似ていますね。
エッグノッグの起源はよくわかっていないのですが、少なくとも17世紀にはイギリスの裕福な人々の間でさかんに飲まれていたようです。
やがてコーヒーやブランデーなどをまぜたエッグノッグも好まれるようになり、アメリカに伝わったのちにはラム、そしてバーボンを入れたエッグノッグが登場します。
4.バーボン・エッグノッグのレシピとアレンジ
バーボン・エッグノッグの材料は、バーボンが30ml、ホワイト・ラムが15ml、牛乳が15ml、砂糖がスプーン2杯、卵1個。
これをていねいにシェイクして、なめらかにまじり合ったらできあがりです。
ホワイト・ラムというのはカラメルを添加していないタイプで、無色透明、香りも基本的にないのでカクテルに時々使われます。
このレシピはバーボンの風味は少し弱めでコクの強い仕上がりです。
バーボンを強調したければラムを省いてその分バーボンを増やしたり、もっとあっさりした味わいにしたければ生クリームを牛乳に変えたりと、好みに応じてアレンジしてみてください。
冷たく冷やしてシェークのように飲んでもよし、エッグノッグは伝統的に寒い日の飲み物ですから、バーボンやクリームを少し温めて(アルコールが飛ばない程度に)ゆっくり飲んでもよし、いろいろ工夫して楽しんでください。
5.ちょっとイロモノ?・プレーリー・オイスター
プレーリー・オイスターとは「草原のカキ(牡蠣)」という意味になります。
もともとはカクテルではなく卵の食べ方で、卵黄にケチャップやソース、酢などを加えてつるりと飲むと、生ガキに似た味とのど越しが楽しめる、というもの。
「プリンにしょうゆをかけるとウニの味になる」の先祖ですね。
東海岸から、海のない中西部などに移住した人々が、カキ料理を懐かしんで考案したといわれています。
カクテルとしてのプレーリー・オイスターは、この卵料理のバリエーションとして登場したようです。
冒頭でおじいさんが飲んだのは多分これですね。
6.プレーリー・オイスターのレシピ
まずはグラスに卵黄だけを入れます。
前述のように、もともとのプレーリー・オイスターはここにソースなどを入れるのですが、これはあくまでも卵を調味するためなので、カクテルの場合は入れない方がいいのではないかと思います(どう考えてもおいしくなさそうですよね)。
バーボンを好きなだけ量そそぎ、好みでレモンやタバスコを少量加えます。
卵黄はそのままでもいいですし、ステアしてしまってもかまわないようです。
卵のにおいが気になる場合は、スパイスのナツメグを加えてもいいですね。
卵のコクはバーボンと相性がいいので、たまにはこんなおおらかなカクテルもいいのではないでしょうか。
まとめ
バーボンと生卵を使ったカクテルを紹介しましたが、残念なことに最近はメニューに載せていないお店も多いようです。
生卵を使うので、食中毒が起こることを警戒して提供しないのだそうです。
幸い、手に入りやすい材料ばかりなので、自宅で作ってみてください。
コツはなめらかになるまでよくシェイクすること。
専用のシェーカーがなくても筒型のタッパーウェアで代用できますし、泡が気にならなければミキサーでまぜてもOKです。