ブランデー好きなら是非!シングルコニャックのおすすめ!
世界で愛されるブランデーの中でも、最もポピュラーで人気が高いのは、コニャックですよね。
数多くの名品があり、中にはとんでもない値段がついているものもあります。
そんなコニャックの中でも「シングルコニャック」と呼ばれているものをご存知ですか?
フランスでは「プロプリエテコニャック」と呼ばれるものですが、どんなものか気になりませんか?
シングルコニャックのあれこれを見てみたいと思います!
シングルコニャックってつまり何?
ブランデー造りでは、出荷するまでに様々な工程がありますよね。
原材料の栽培、発酵、蒸留、熟成、ビン詰め…。
それらの作業を全て自家地で行っている生産者をプロプリエテールと呼びます。
これはワインでも同様の呼び方がされます。
そして、この生産者によって造られたコニャックがシングルコニャックと呼ばれるのです。
最も、この呼び方は日本オリジナルのようで、フランスでは「プロプリエテコニャック」と呼ばれています。
これと反対に、畑を持たず、生産者から原酒を仕入れてブレンドし、出荷する販売者を「ネゴシアン」と呼びます。
日本ではさして気にされず、大した違いはないように思われていますが、一般にはプロプリエテールによって造られた製品の方が価値は高く、ネゴシアンの製品は格下とみられています。
職人による一貫した手作りというのはやはり希少価値が高いようですね。
シングルコニャックの特徴って?
原材料の栽培から行うとなると、どうしても生産規模は小さくなります。
そもそも自家の畑でとれたブドウのみを使わなければプロプリエテールは名乗れませんから、大量生産が必要な大手メーカーは、原材料の仕入れの時点でアウトですね。
そんなプロプリエテールも昨今は大手メーカーの積極的な販売に押され気味です。
大量生産ができませんから、手間の割に大手ほどの儲けもなく、廃業に追い込まれる生産者も少なくありません。
しかし、生産者オリジナルの味が出せ、高品質をキープできるのが少量生産の特徴でもあります。
品質にこだわり、独自の技術で独自の味わいを強く打ち出せるのです。
大手に負けないシングルコニャックを造る、と言われているメーカーはあまり多くはありませんが、いくつかを見てみたいと思います。
ポールジロー
ブランデー好きなら必ず押さえておきたいブランドですね。
コニャックといえばコニャック地方で栽培されたもののみを指しますが、その地域の中も細かくランク付けされています。
6階級にランク付けされた土地のうち、最良と言われるのは「グランドシャンパーニュ」と呼ばれる地域です。
ポールジローはこの最高地区にあるブードビル村にブドウ畑を持っています。
ジロー家がこの地に住み始めたのはおよそ400年前。
コニャックの製造を始めたのは1800年代に入ってからです。
それ以来今日まで、伝統を守って高品質のコニャックを造り続けてきました。
現在もブランデー造りにかかる一切の作業を手作業で行っています。
「コニャックは自然の賜物」これがジロー氏のコニャック造りの根底にあります。
自然にまかせて無理をせずコニャックに向き合う。
そのように作り出されたコニャックは現在も世界から絶大な信頼と関心を集め続けているのです。
ポールジローは別格?
大手メーカーが次々と機械化し、大量生産する中、ポールジローは少量で高品質なコニャックにこだわり続けてきました。
全てのブドウを一つ一つ手で摘み、品質を確認します。
醸造も、イーストを用いた短期発酵ではなく、自然に任せてその様子を細かくチェックしています。
大量に蒸留はせず、樽に詰めるタイミングもすべて人の目で確認。
ポールジローのコニャックにかけられている手間と時間は、膨大なものです。
そのように造られたコニャックは、やはり大手の画一化された味わいとは一味もふた味も異なります。
ブランデー愛好家からは「別格」と評され、芸術的ともいわれるのはポールジローのコニャックだけです。
華やかで上品な、奥深い香り。
複雑な味わい。
ポールジローのおすすめコニャックを見てみたいと思います。
ポールジロー エクストラ ヴィユー
ポールジローのブランデーとしては1万円以下で入手でき、コスパ抜群ということで、入門ブランデーとしてはぴったりではないでしょうか。
ポールジローのブランデーには等級表記ではなく年数が記されています。
こちらは25年ものですから、等級に変えるとXOクラスというところでしょうか。
カラーは赤味がかった琥珀。
口に含むと、オーガニックな華やかさが広がります。
まろやかで飲みやすく、普段飲みにおすすめです。
ポールジロー・ヘリテージ50年
こちらがポールジローのブランデーで最も長い熟成年数を経ているものです。
お値段はネット通販で3万円からちょっと足がでる…くらいでしょうか。
しかし、それだけの価値あるコニャックです。
カラーは濃い飴色。
飲み始めから飲み終わりまでの味の変化をはっきりと楽しむことが出来、まさにコニャックの醍醐味を味わうことができます。
香り・味ともに深みと重厚感があり、余韻が長く続きます。
ポールジローの神髄を味わいたいなら、是非ともおすすめの逸品です。
レイモンラニョー
有名コニャック評論家、ニコラス・フェイス氏の著書において、数少ない高評価を受けたブランドです。
プロプリエテールの代表格ブランドの一つですね。
こちらもコニャック地方最高ランクの土地、グランドシャンパーニュに47haのブドウ畑を所有しています。
土地の所有は1860年ですが、ブランデーの販売を始めたのは1941年頃、当時の当主であったレイモンからでした。
以降娘、孫とその伝統は受け継がれ、現在も高品質の製品を造り続けています。
ちなみに、トップ・プロプリエテールメーカーとして、「ラニョー・サボラン」も名が上がりますが、こちらはレイモンラニョーとは親戚関係にあります。
初代当主が兄弟だったそうで、2社はオフィスと農園も近く、徒歩で行き来できる距離です。
レイモンラニョーのコニャックは?
レイモンラニョーのコニャックは「プレミア」「プレステージ」「ピノー」「カラフェ」の4種類です。
カラフェはデキャンタに入っており、日本で入手するのは困難かもしれません。
おすすめを見てみたいと思います。
レイモンラニョーヴェイユレゼルブ
15年もののコニャックです。
「プレミア」クラスの中では最高ランクです。
価格は通販ですと、6000円くらいでしょうか。
こちらもシングルコニャックとしてはコスパがいい、と言えますね。
赤味がかったブロンズカラーが美しく、ラベルの赤とマッチしています。
香りは華やかでフルーティ。
口に含むとスパイスとブドウの甘みを強く感じます。
グランドシャンパーニュの華やかな味わいです。
レイモンラニョーヘリテージ
プレステージクラスの最高ランクのものです。
家族経営だからこそできた、長期熟成の神髄を味わえます。
100年ものの樽からとった原酒を使用し、開けた瞬間から沸き立つ香りに圧倒されます。
その品質と少量生産のため、お値段は10万円で買えるかどうか…くらいです。
しかしトッププロプリエテールのコニャックですから、試してみたいですね。
カラーは鮮やかな琥珀。
ウッディでフルーティな香りが複雑に香り、口に含むとナツメグやシナモンが広がります。
フルーツ、洋ナシ、シガーの苦みも感じ、複雑で繊細な味わいを楽しめます。
まとめ
「コニャック」と名乗るだけでも大変なことなのに、「シングルコニャック」となると、さらに条件が厳しくなるのですね。
全ての工程が熟練した職人によるものというのは、私達の周りにもなかなか見当たらないのではないでしょうか。
代々受け継がれてきた歴史の重みを感じますね。
大量生産で安定品質の大手ブランデーもいいですが、ブランデー好きなら、こうしたプロプリエテールの造るコニャックにも、是非トライしてみたいものですよね。