個性に乏しいとは言わせません!ローランドのスコッチウイスキーのおすすめ。
スコッチウイスキーには大別して5つの産地があるのはご存知かと思います。
ハイランド、アイラ、スペイサイド、キャンベルタウン、そしてローランドです。
一般的に個性が乏しくソフトなウイスキーと評されることの多いのがローランドのスコッチウイスキーです。
確かに他の地域ほどインパクトはないかもしれませんが、飲みやすくソフトで繊細な味わいはスコッチファンならずともおすすめ。
どんなものがあるのでしょうか。
目次
ローランドってどこにある?
ローランドとはスコットランド中部の低地帯を指します。
北部のハイランドと対で使われますが、ハイランドほど言及されることはありません。
どこか地味な存在と言えます。
広義にはクライド川河口のダンバートンと北海沿岸のストーンヘイヴンを線で結び、スコットランドを南北に分けた南側を指すこともあります。
北部よりはイギリス文化の影響が強く感じられる地域です。
有名な都市としてはグラスゴー、エディンバラがあります。
スコッチウイスキーに関しては、1784年に定められた「ウオッシュ法」によりハイランドとローランドは区別されました。
この法律はイングランドとローランドのみを対象にした新しい税制で、ウオッシュの生産量に対してのみ酒税を課すというものでした。
ハイランドでは変わらずスチルの容量に対して課税が行われたので、イングランドとローランドの方が優遇された形になります。
この法律の地図上の境界線が「ハイランドライン」と呼ばれ、ハイランドとローランドを分ける境界となりました。
ローランドにおけるスコッチウイスキーの歴史とは
穏やかな気候と豊かな平地のおかげでローランドでは大麦の栽培がさかんに行われました。
また、木炭の供給も多かったことから、この地域には多くの蒸留所が作られたのです。
製麦に木炭を使用するのがローランド流と呼ばれます。
発芽した大麦に加え、未発芽の大麦・小麦も使用して、3度蒸留するのが一般的でした。
ですから飲み口や香りは軽快そのもの。
ピーティなものの多いハイランドとは違った個性を感じさせます。
そんなローランドには1830年代までは115もの認可蒸留所が存在していました。
その後スペイサイドなど堅牢なシングルモルトが好まれるようになるとローランドの歴史的な蒸留所の多くは閉鎖に追い込まれてしまいます。
現在残っているのはわずかしかありません。
しかし、新たに蒸留所が建設されるなど復活の兆しも見え始めています。
また、シングルモルトの蒸留所はなくなってしまいましたが、グレーン・ウイスキーの蒸留所は健在で、最も有名なブレンドに使用されるウイスキーもこのローランド地方から提供されています。
Ailsa Bay Distillery(アイルサ湾蒸留所)
この蒸留所はWilliam Grant & Sons(ウイリアム・グラント&サン)社が保有しています。
エアシャー海岸のすぐそばにある岩の島にちなんで名付けられました。
2007年に創設されましたが、稼働を始めたのは2008年です。
当初スチルは4つのみでしたが、2013年には16ものスチルを持つようになりました。
Ailsa Bay Single Malt
アイルサ蒸留所で最初にリリースされたシングルモルトウイスキーです。
アメリカン・オーク樽使用。
カラー:淡い金色香り:燻製したベーコン、塩を感じる。
バニラ、スポンジケーキの甘さもある味わい:クリーミーでマイルドな口当たり。
マカダミアナッツ、バニラエッセンス一般に知られるローランドウイスキーとは少し違う個性を持つシングルモルトウイスキーです。
Glenkinchie distillery(グレンキンチー蒸留所)
スコットランドの首都・エディンバラの東にある、ペンケイトランド村にあります。
こちらで生産されたウイスキーは「エディンバラモルト」とも呼ばれます。
Diageo(ディアジオ)社が所有。
もともとは1825年に設立されたミルトン蒸留所(Milton Distillery )であったとされています。
1853年に工場は製材所へと変わりましたが、1881年に再開。
ディアジオ傘下に入ったのは1925年のことです。
ヘイグ社がライセンスを持っており、ヘイグ社のブレンディッドウイスキーの基酒として使用されています。
近年はシングルモルトウイスキーも注目を集めるようになりました。
Glenkinchie 12years
甘く新鮮でバランスのとれた味わいが特徴です。
デリケートでライトな風味。
ローランドウイスキーらしい一品で、ローランドを試してみたいという方におすすめです。
- カラー:黄金
- 香り:マイルドで甘く、フローラル。
最終的にはナッティでダークなチョコレートの香り
- 味わい:少しボリューミーな口当たり。
ミルティでレーズンの甘さ。
Glenkinchie Distillers Edition
グレンキンチー蒸留所でテイスティングに使用されているシングルモルトウイスキーです。
- カラー:オレンジがかった琥珀
- 香り:フローラルで乾草とモルトの香り
- 味わい:まろやかな甘さ。
タフィーのまったりとした口当たり。
AUCHENTOSHAN distillery (オーヘントッシャン蒸留所)
スコットランドの大都市グラスゴーから北西へ16キロほど進んだ、クライド湾を見渡す斜面にあります。
1817年の創業で幾度かのオーナー変更を経て、現在はモリソン・ボウモア社の傘下に属しています。
こちらの蒸留所はローランドの伝統である3回蒸留を現在も行っていることで知られています。
通常のシングルモルトウイスキーは2回蒸留のみ。
蒸留後のアルコール度数はおよそ70%ですが、3回蒸留を行うオーヘントッシャンの原酒はアルコール度数およそ80%と高めな仕上がりです。
3回蒸留を行うことにより、もろみのアルコール分は10倍以上に濃縮され、香味成分は精溜されています。
ですから全体的な仕上がりはローランドらしい華やかで軽快そのもの。
交通の便も良いので、ローランド伝統の蒸留所を見学してみるのもおすすめです。
single malt scotch whisky 12 years AUCHENTOSHAN
ローランドモルトの名門蒸留所のシングルモルトウイスキーです。
スタイリッシュで繊細な味わいが楽しめます。
スムースな飲み口で、女性にもおすすめ。
- カラー:金色
- 香り:クリームブリュレ、シトラス、ナッツ
- 味わい:オレンジやライムの柑橘系の甘さ。
ジンジャーやナッツの余韻もある
single malt scotch whisky 21years AUCHENTOSHAN
アメリカン・バーボン樽とスパニッシュ・シェリー樽が使用されています。
スムースでデリケート、そしてオーセンティックな味わいです。
カラー:琥珀香り:グースベリー、バニラ、ハチミツ、そしてかすかなオークの香り味わい:ミントを添えたグリーンフルーツ。
甘いチョコレートのまろやかさが長く続く
Bladnoch Distillery(ブラドノック蒸留所)
スコットランド南西部のダンフリース・ガロウェー地区にあります。
西はアイルランド海峡に面し、南側のソルウエー湾の対岸はイングランドです。
大都市グラスゴーからはおよそ150キロ離れています。
ブラドノック蒸留所の創業は1814年。
その後所有者は幾度か変わり、1993年には閉鎖されてしまいました。
しかし現在のオーナーであるアームストロング氏によって、2000年に操業を再開。
ポットスティル2基の中小蒸留所として生産を続けています。
フルーティーで豊かな味わいが特徴です。
SAMSARA lowland single malt whisky
ブラッドノック蒸留所の再生と最初を象徴するウイスキーです。
カリフォルニア産赤ワインとバーボン樽で8年以上熟成して仕上げられています。
フルボディで豊かな味わいが楽しめます。
- カラー:赤銅色
- 香り:凝縮された果実のコンポート。
バニラ、オレンジ。
甘いワインと乾燥したアロマ
- 味わい:スパイシーなバニラ
TALIA lowland single malt whisky
バーボン、シェリー、ウイスキー樽を使用して25年もの間熟成されています。
最終的にはアメリカン・オーク樽でフィニッシュ。
キャスクからストレートにボトリングされ、何も加えず、引かれていない自然の強度を持つローランドウイスキーです。
- カラー:ディープゴールド
- 香り:磨かれたオーク、シダー、古い革。
ジンジャーやバニラも感じる
- 味わい:絹のような口当たり。
かなりスパイシー。
まとめ
スコットランドの中でもローランドはエディンバラやグラスゴーと言った大都市があるため、比較的交通の便の良い地域です。
蒸留所の数ではハイランドやスペイサイドには劣りますが、伝統的な蒸留所のツアーは充実しています。
スコットランドを訪れる機会があれば、ローランドの蒸留所ツアーを旅程に加えてみてはいかがでしょうか。
蒸留所には歴史的な建造物も多く、ウイスキーに興味のない人でもきっと楽しめることでしょう。
ツアーでの試飲もありますし、スコットランドの良い思い出となるのではないでしょうか。