果実を発酵させて、蒸留してつくる、ブランデーのグレードと種類について
洋酒というと、 ウイスキー、バーボン、ブランデーと種類が色々ありますが、その違いはウイスキー、バーボンが、大麦、ライ麦、トウモロコシなどの穀物を発酵させて蒸留したお酒に対し、ブランデーは果実を発酵させ、果実酒をつくり、それを蒸留したものです。
その果実を蒸留してつくる、ブランデーについての魅力にふれていきましょう。
ブランデーとは
ブランデーとは、果実酒からつくった蒸留酒の総称であり、その魅力は原料果実からくる香りと味に尽きます。
ブランデーの効能
その香りと味は、さながらアロマのようなフレバーを楽しむ事で、気分を良くしたり、落ち着かせてくれる上に、アルコールによる血行の向上は、体内の内臓の動きを刺激することで、食欲を増進したり、ストレスを和らげるプラスの効果もあります。
ブランデーそのものには、果実酒であることより、食後酒としての役割があるので、消化を助ける意味もある上に、食後の充実した時間を楽しませ、リラックスさせる役割があります。
ブランデーのグレード
そのブランデーにも、グレードがあるのは皆さん知っているようで、意外と知られてないと思いますので、そのグレードについて紹介いたします。
普通ブランデーと言った場合は、ブドウが原料のワインを蒸留して貯蔵、熟成作られたものを指します。
そのグレードとしては、1つ星(3年から4年)からエクストラ(70年)まで幅広くありますが、日本国内で一般的に売られている物で馴染みの多いグレードは、VO(11年から15年)、VSO(16年から20年)、VSOP(20年から30年)、ナポレオン/XO(44年から45年)、エクストラ(70年)となります。
有名故に独り歩きしたナポレオン
ナポレオンという呼称が、有名なメーカー(Henessy、CAMUS、REMYMARTINなど)の上位グレードとして一般的に知れ渡ったことから、ナポレオン=高級ブランデーのイメージが先行し、コニャックやアルマニャックのようなラベル規制が無いために、無名のフレンチブランデーでも、その名にナポレオンを称することが出来た。
しかしながら、皮肉なことに、そのナポレオンの名前が独り歩きしたせいで、高級品と価格の差が大幅にある上、その称号に対して品質や熟成度は称号に一致していないので、名称だけで購入するとイメージと異なることが多々あり、ブランデーが流行った当時、ナポレオンを飲んだけど、美味しいとか、美味しくなかったとか、共通キーワードにも関わらず、評価に雲泥の差があったのも事実です。
ナポレオンの称号は、そこからあまり高級というイメージでは無くなりました。
こういった側面は、コニャックとアルマニャックのブランド戦略勝ちであると言えます。
コニャックとアルマニャックのブランド戦略
コニャックやアルマニャックの場合、これらの称号は原酒が一定時間熟成されていなければ名乗ることは出来ないよう、フランスにおける原産地統制名称法により、フランスの優れた産地のワインやブランデー等を保護、管理することを目的として、INAO(アンスティテュ ナショナル ドゥ ロリジン エ ドゥ ラ カリテ)によって運用されており、BNIC(ビューロ ナショナル アンテルプロフェッショネル デュ コニャック) やBNIA(ビューロナショナルインタープロフェッショネルデュアルマニャック)において厳しく規制されている上、商標登録もそう簡単にこれらの称号をおいそれと使う事は出来ないのです。
先に述べたナポレオンに関しても、ナポレオン自体はフランチブランデーとしての名称は使用できますが、コニャック、アルマニャックの中のグレードとしてのナポレオンとなると別の話になり、その使用を規制される対象となります。
では、そのコニャックとアルマニャックの違いについてですが、どちらも原料を白ぶどう(品種:ユニ・ブラン、コロンバール、フォル・ブランシュ)としますが、これらは、ワイン向けの白ぶどうの品種とは異なり、糖分が少なく酸味の強い種類となります。
コニャックについては、コニャック地域で作られた白ぶどう(品種は上記に同じ)を主原料として、コニャック地方で定められた製法で作ったもの、銅製のポットスチルを使った単式蒸留(フルーティな香りが特徴)を2回経て、フランス産のオーク樽による熟成を2年以上行ってのみが名乗ることが出来、ぶどうを栽培する土壌によって、上のランクから、グランド・シャンパーニュ、プティット・シャンパーニュ、ボルドリ、ファン・ボア、ボン・ボア、ボア・ゾルディネールの6ランクに分けられています。
アルマニャックについては、アルマニャック地方で醸造されるブランデーを言い、コニャックと同じ白ぶどう(品種はコニャックと同じ)を、半連続式蒸溜機(野性的で、香りに富むフレッシュな味わいが特徴)を主に使用して、ゆっくり1回行われ、コニャックと同じように、ぶどうを栽培する土壌によって、上のランクから、バ・アルマニャック、テナレーズ、オー・アルマニャックの3つのランクに分かれています
ブランデーの原料はぶどうだけ?
こう書くとブランデーは、ぶどうを原料としたもの以外は無いみたいに思われますが、この他にも、リンゴから作ったアップルブランデーや、サクランボから作ったチェリーブランデー、サクランボの種子ごと使ったキルシュワッサー、キイチゴから作ったフランポワーズ、黄梅から作ったミラベル、すももから作ったケッチ、あんずから作ったアプリコーゼンガイスト、洋ナシから作ったポワールウィリアム、かりんから作ったコワンと種類が豊富にあります。
これらを総称して、フルーツブランデーと呼んで、ぶどうから出来たものと区別しています。
これらのブランデーは、香りと風味が豊かなので、カクテルベースとしておすすめです。
料理に活躍するブランデー
リンゴを原料としたアップルブランデーは、カルヴァドスが有名ですが、これもコニャック、アルマニャックと同じく、フランスのノルマンディー地方で作られるもの以外は名乗ることは出来ません。
アップルブランデーは香り高いがゆえにケーキなどの製菓用としても用いられている上に、料理の世界においても高く評価され、豚肉をつけ込みソテーしたり、ラム肉を加え煮込んだりと、フランス料理を中心に使われています。
カルヴァドス(アップルブランデー)の元となるシードルアップル(醸造酒)には、スイート、ビター、ビタースイート、サワーと4つの種類があり、そのブレンドには熟練の技と知識が必要とされ、天然製法で発酵を行った上、良く乾燥させたオーク材で作られた樽で最低5年間熟成ののち、2回の蒸留を行い造られています。
ちょっと変わったブランデー
その他にちょっと変わったブランデーがありますが、それは、ぶどうの搾りかすを発酵して作るタイプのブランデーで、世界各地で作られている関係上、地域によってその呼び名が、グラッパ(イタリア)、マール(フランス)、オルーホ(スペイン)アグアルディエンテ(南米コロンビア)と異なりますが、これらはほぼ同じものです。
(一部発酵を除いて)何故、このぶどうの搾りかすを発酵させて作るタイプのプランデーが存在するかと言うと、諸説ありますがぶどうを原料とするワインは上流階級の人だけが楽しむ高級品の為、一般庶民は飲めなかった為に、ぶどうの搾りかすを発酵させて作った庶民の為のブランデーと言われています。
まとめ
以上、ブランデーのグレードと種類について紹介させて頂きましたが、ブランデーはブランデーグラスに注いで、手の平にグラスを乗せて転がすみたいな形が、歌手・俳優さん?
の影響でありましたが、今は熟成技術が進化した関係で、今はそんなことはしなくてもいいそうです。
飲み方についても、ストレート限定という訳でもなく、スタンダードな、水割りやロック、はたまた炭酸で割ってフルーツを入れてみたり、カクテルベース、コーヒーとの組み合わせなど、バリエーション豊かな楽しみ方があります。
自分のスタイルで、飲み過ぎないように、食後の時間を楽しんで下さい。