ブランデー「アルマニャック」を知るための6つのポイント
ブランデーといえば「コニャック」や「アルマニャック」が一般的です。
その名前は知っていても、なんだか高級そうだとか味の違いが分かるか不安で手を出しづらい人も多いでしょう。
しかし、リーズナブルなものももちろんありますし、フルーティーで意外に飲みやすいのがアルマニャックの特徴でもあります。
今回はアルマニャックに焦点を当て、もっと身近にアルマニャックを感じていただきましょう。
1.原料となるぶどうの品種
1-1.ユニブラン
ヨーロッパでも特にイタリアとフランスを中心として栽培されている白ワイン用ぶどう品種です。
イタリアではトレッビアーノという名前で一般的に呼ばれています。
寒い地方だとアルコール度数の低いお酒になるのでそれを利用してブランデーに使用されます。
柑橘系を思わせる爽やかで強めの酸味が特徴で、とてもフルーティーな風味を持っています。
1-2.フォル・ブランシュ
19世紀後半の害虫被害で絶滅の危機に瀕した希少価値の高いぶどうでコニャックやアルマニャックに使用される品種です。
皮が薄く、香りは豊満で特別な品種です。
コニャック地域では手間のかかる品種として知られ、身の詰まったぶどうと合わせ、房は小さいので、コストの高く栽培が難しいと有名です。
1-3.コロンバール
主にフランスやアメリカで栽培され、自然な酸味を元来持ち合わせています。
フランスではガスコーニュ地方で栽培されたものを中心にアルマニャックの原料に使用しています。
2.製造方法
収穫後、3月31日までにアルマニャック型と呼ばれている半連続式蒸留器を使用して1回蒸留します。
ガスコーニュもしくはリムーザン産のカシの樽で熟成した後、ブレンドさせていきます。
アルコール度数は40度以上にもなります。
3.等級制度
樽による熟成の度合いによって、三つ星
2年以上
V.O., V.S.O.P, レゼルヴ
5年以上
X.O., エクストラ, ナポレオン, ヴィエイユ・レゼルヴ
6年以上
オール・ダージュ
10年以上
という等級に分けられます。
しかし、この分類は公に決められたものではないので、製造メーカーや製造者によってその等級には差が出ます。
4.銘柄
4-1.シャトー・ロバード
バ・アルマニャックと呼ばれている最高級のアルマニャックのみを生産していることで広く知られているメーカーです。
しっかりとした風味の中にもフルーティーさは失わず、その強いこだわりから高品質を保持し世界各国で行われている幾多の品評会に出品して、数々の賞を受賞するほど評価が高いです。
4-2.ジェラス
150年以上に渡って、一族での伝統的な経営を貫き通しているアルマニャックブランドです。
1875年ものなどのヴィンテージブランデーを持っているほど、こだわりの強いブランドで、高品質なアルマニャックを生産し続けています。
高貴でまろやかな飲み心地と複雑な香りが特徴です。
古酒のスペシャリストと呼ばれ、幅広い層に支持をされています。
4-3.シャボー
「シャボー」は16世紀のフランス海軍元帥の名前から取られたアルマニャックのブランドです。
フランスで1番の輸出量を誇り、アルマニャックといえば!
というほど、定番のブランドとして知られているので、アルマニャックを始めたい人にはシャボーから始めていくのがおすすめです。
優雅な香りと確かな味わいは伝統的な製法で製造されていて、熟成された原酒のブレンド技術が高く評価されています。
日本でも度々目にする定番のアルマニャックブランドで、日本での販売元はサントリーとなっています。
4-4.マルキ・ド・コサード
ボトルに描かれている青い蝶の紋が印象的で美しいアルマニャックです。
滑らかな口当たりと鍛え抜かれた味わいが特徴で、その名前はアルマニャック地方の旧家「コサード伯爵」から取られたと言われています。
高貴な風味の割に価格はリーズナブルで現代人向けのアルマニャックの製造に力を注いでいるブランドです。
4-5.アルマニャックドモンタル
12世紀から続く旧家の名前からきているアルマニャックです。
バ・アルマニャック地区で製造され高級志向品としての要素が強いです。
バナナやグァバ、チェリー、洋なしなどのフルーツの風味が特徴のアルマニャックであり、他のアルマニャックとはまたひとつ違った味わいを提供しています。
5.土の質の違い
アルマニャックの産地であるガスコーニュ地方はその土の質の違いで地区が区分されています。
それにより作られるぶどうの質が変わり、アルマニャックの質ももちろん変わってきます。
5-1.バ・アルマニャック地区
中心都市はオーズでバ・アルマニャック産のアルマニャックがアルマニャックの中では最高級と称されています。
最も西部に位置し、酸性で鉄分が多い粘土砂質の土壌が特徴です。
土壌は黄褐色となり、製造されるアルマニャックはフルーティーで繊細な味になることも特徴になります。
5-2.アルマニャック・テレナーズ
中心都市はコンドンでアルマニャックの中央に位置するのがテレナーズです。
重い粘土石灰岩質の土壌が特徴です。
バ・アルマニャックに比べてコクが少し強い味わいになります。
5-3.オー・アルマニャック
中心都市はオーシュで南部と東部に広がっている地域がオー・アルマニャックです。
石灰質の土壌が特徴です。
6.コニャックとの違い
どちらもブランデーであるコニャックとアルマニャックですがその違いは生産される産地の違いにより名前が分かれます。
シャンパンやスコッチウイスキーと同じ塩梅です。
シャンパンはフランスのシャンパーニュ地方で作られたスパークリングワインのことをシャンパンと呼び、スコッチはスコットランドで製造されたウイスキーのことです。
製造基準による違いももちろんありますが、シャンパンもスコッチもその地方で生産されたものだけをその名前で呼ぶことができるようになっています。
同じようにコニャックはコニャック地方、アルマニャックはアルマニャック地方で生産されることでその呼び方が変わってくるわけです。
6.アルマニャックの歴史
イタリアやフランスでは12世紀頃からすでにワインを蒸留したお酒を飲んでいたという記録があります。
ブランデーとして確かな形を持って登場してきたのは、1411年の南フランスのアルマニャック地方が最初となります。
「アルマニャック」という地名はクロヴィスに仕え、ガスコーニュに領地を与えられた騎士エレマンの名前が由来とされています。
14世紀にフランシスコ会の修道院長を務めた「ヴィタル・デュフール」によりアルマニャックは健康維持に効果のある薬として40の効能が発表されました。
この記録が現存する古い記録として残っていることで、アルマニャックが最古のブランデーと言われるようになりました。
そこから広まっていき15世紀以降にはアルマニャックは名産品として商取引における重要な地位を確立することとなります。
そのアルマニャックとしてのブランドを守り続けていくために、1936年からは原産地呼称統制法(AOC)によって保護、管理されています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ブランデーは大人の飲み物の印象も強く、普通の大衆居酒屋には置いてありませんし、どんな風に飲んだらいいのか、分からないことも多いのではないでしょうか。
しかし、これをきっかけにアルマニャックがもっと身近なものになって、自由に嗜めるようになれば一歩先をいく大人の仲間入りができるかもしれませんね。